新茶の季節に手に入れたい、作家ものの急須と湯呑み6選。

Interiors 2021.05.22

衣奈彩子

写真・文/衣奈彩子(うつわライター、編集者)

「いい急須ってどんなもの?」「来客にも適した湯呑みはどこで買えるの?」とは、うつわ好きの私が知人によく聞かれる質問のひとつ。そんな時は、作家もののうつわには、ポット型でも和の雰囲気があって日本茶に合う「お茶ポット(と勝手に命名)」も多く出回っているし、見た目に可愛らしい蕎麦猪口(ちょこ)は、湯呑みとしても使うなら断然買いやすい。急須も湯呑みも頻繁に買い足すものではないからこそ、ふらっとお店を訪ねて、好きなものに出合ってしまった時が買い時と伝えている。若々しい味わいの新茶が出回るこの季節は、まさにその時!

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焼物ならではのやさしいブルーをレイヤード。

#01.余宮隆の青釉ポットと沼田智也の染付猪口

210520_P1060717.jpg写真右から:急須を連想させる高さ低めのポットにはぜひ日本茶を。余宮隆作「青釉ティーポット」¥17,600、青色の絵付は新茶の緑を爽やかに引き立てる。沼田智也作「蕎麦猪口」各¥3,300/ともに千鳥 UTSUWA GALLERY

釉薬の流れでうつわに景色を作る余宮隆さんの新作ポットは、味わいのあるペールブルー。釉薬の特性で角度によってさまざまな青を見せる。その美しい青に、春だからこそ合わせたいのは、呉須という青色で絵付けされた染付の蕎麦猪口。軽やかなタッチの蝶々や花の絵柄がたまらない。

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焼菓子とほうじ茶のおやつ時間を日々の楽しみに。

#02.余宮隆の急須と新道工房の白磁猪口

210520_P1060707-2.jpg写真右から:土の味わいを感じさせる余宮隆作「白濁釉急須」¥17,600、横線の彫りがいいアクセントになっている新道工房作「玉白磁垂線猪口」¥3,300、お茶道具をまとめて置くのにちょうどいい加藤良行作「隅切盆」(クルミ)¥16,500/以上千鳥 UTSUWA GALLERY

たっぷり3~4杯は入る急須は、上と同じく余宮隆さん作。ビスケットのようなざっくりとした質感に「ほうじ茶が飲みたい!」とそそられるのは私だけだろうか。冬ならば、ほっこりした土ものがいいけれど、この季節はアイボリー色の湯呑みが気分。トレーも揃えておやつの時間をセンスアップしてみよう。

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香り高き中国茶にもおすすめのエキゾティックなポット。

#03.岡﨑慧佑の青いポット

210520_P1060775.jpg深く傾けても蓋が取れにくい構造で使い勝手も秀逸な岡﨑慧佑作「ポット」(青)¥13,200/うつわ謙心

これまで見たことのない質感のうつわに出合えることは、現代作家ものを選ぶ醍醐味のひとつ。錆びた金属のようなエキゾティックな質感は、黒い化粧土の上に青色を重ね丹念にヤスリで削ることで生まれるそう。蓋が小さめの丸いフォルムは茶葉の香りを閉じ込めるので、香りに特徴のある中国茶にもおすすめ。

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テーブル上での佇まいがとにかく素敵な大きめポット。

#04.桑原哲夫の焼締めポット

210520_P1060744.jpg5~6杯は入る容量も魅力の桑原哲夫作「炭化ティーポット」¥9,350/うつわshizen

家族や来客が多いなら大きめのポットを。テーブルやキッチンに出しておくことが多い分、佇まいのいいものを選ぶと末長く愛用できる。焼物らしさと現代的なフォルムを上手に融合させてしまう桑原哲夫さんのポットは、釉薬をかけない焼締め(やきしめ)の深いブラウンとスムースな手触りがとてもいい。

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使いやすい白い湯呑みは、質感と形違いで賑やかに揃える。

#05.島るり子の粉引と竹下努の青白磁の湯呑み

210520_P1060756.jpg写真右から:焼物の王道、粉引をプロダクトのようなカップ型に落とし込んだ島るり子作「猪口」各¥3,850、オーソドックスな煎茶碗をひとつ揃えておくと安心。竹下努作「青白磁煎茶碗」(大)¥2,750、フリーカップとしてお茶以外にも使いまわしたい竹下努作「青白磁細蕎麦猪口」¥3,080、手編みの竹籠にいれて屋外でお茶するのも素敵。佐竹岳彦作「網代編み手付籠」¥27,500/以上うつわshizen

何にでも合う白い湯呑みは150ccほど入る大きめを選ぶと、普段はたっぷり飲み、来客時は八分目ほど注いで上品にサーブするなど使い方に幅が出る。島るり子さんの粉引は、使うほどに茶しぶが染みていい感じに育つうつわ。竹下努さんの青白磁は、デザインがよくプロダクトの食器とも相性がいい。

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愛らしさにあふれた急須を手放せないお気に入りに。

#06.杉本太郎の白化粧の急須と湯呑み

210520_P1060743-1.jpg写真左から:持ちやすさも抜群な杉本太郎作「急須」¥11,440、ランダムなタッチの縞模様。杉本太郎作「紫縞湯呑み」¥2,530、竹皮のコースターを茶托に見立てて。佐川岳彦作「竹製コースター」¥6,050/以上うつわshizen

おちょぼ口の愛らしい急須は、京都の陶芸家・杉本太郎さんの仕事。たっぷりと厚めに施した白化粧に入った縮れ(土が収縮しでこぼこができること)が美しい。合わせた同作家の縞模様の湯呑みは、和テイスト全開ながら絶妙にモダン。その魅力は実際に手にとってぜひ確かめてほしい。

photos et texte:SAIKO ENA

うつわライター/編集者

フィガロ編集部を経て独立。子育てをきっかけに家族の食卓に欠かせないうつわにはまり、作り手を取材する日々。うつわを中心に工芸、インテリア、雑貨など暮らし関連の記事を執筆。著書に『うつわディクショナリー』(CCCメディアハウス)。Instagram:@enasaiko

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