クヴァドラ「レディメイドカーテン」の楽しさ!
デザイン・ジャーナル 2017.06.28
部屋の空気を一変するもののひとつがカーテン。こうしたカーテンを楽しむために生まれた画期的なプロダクトが、デンマークのテキスタイルメーカー、Kvadrat(クヴァドラ)の「Ready Made Curtain(レディメイドカーテン)」です。そのニューエディションの発売が日本でも先日、始まりました。
Photo: Courtesy of Kvadrat
カーテン「レディメイドカーテン Haze」全5色 テキスタイル(H290×W200㎝)、ケーブル(最大500cm)、構造体2個、ランナー20個のセットで¥48,600/クヴァドラ(リビング・モティーフ)Photo: Courtesy of Kvadrat
他に前コレクションより継続の「Frozen」全3色、「Washi」全3色も。カーテン「レディメイドカーテン Ace」全7色 テキスタイル(H290×W200㎝)、ケーブル(最大500cm)、構造体2個、ランナー20個のセットで¥59,400/クヴァドラ(リビング・モティーフ) Photo: Courtesy of Kvadrat
「レディメイド」という名のとおりに、コードを始めカーテンを部屋に取りつけるためのパーツ一式がセットにされているのが大きな特色です。
まずは吊り下げ構造体にコードを固定。テキスタイルをパチパチッと挟むようにして留めたランナーをコードに通すことで、一枚のテキスタイルがカーテンに。この楽しさって? とふと思い、「工作」のわくわく感に似ていることに気づきました。
ランナーを用いることで、テキスタイルをカーテンとするための縫製を行うといった、特別な準備をしなくて良いのも嬉しいことです。お気に入りの一枚を順にカーテンとして使っていくといったことも手軽にできます。
そしてパーツの美しい色。構造体にはレッド、オーク、グレー、ネイビーの4色を、コードにはレッド、ホワイト、グレー、ネイビーの4色を展開。ランナーもレッド、ホワイト、グレー、ブラックの4色。クヴァドラのテキスタイルそのものの色や触感にまず魅力がありますが、パーツもコーディネートできるように考えられているのです。
ここでは数例を紹介しましょう。
センターサポート、吊り下げ構造体、コード、ランナーのセット。Photo: Courtesy of Kvadrat
「レディメイドカーテン」の(上)ケーブル(最大500cm)、(中央)ランナー 、(下)構造体 。テキスタイル以外のパーツセットはケーブル+構造体¥17,280、ランナー20個¥4,320/以上クヴァドラ(リビング・モティーフ)Photo: Courtesy of Kvadrat
デザインを手がけたのはパリを拠点とするプロダクトデザイナー、ロナン&エルワン・ブルレック(ブルレック兄弟)。
これまでにもクヴァドラとのプロジェクトを行い、テキスタイルを活かしたプロダクトを手がけてきたふたり。今回の「レディメイドカーテン」のデザインはなんと、「日本との関連から始まった」と言います。1950年代の日本の本で「三味線」の写真に出会い、三味線に張られている弦の仕組みを詳しく調べたことが、このレディメイドカーテンにつながっているとか。
(右)ロナン・ブルレック(左)エルワン・ブルレック。Photo: Courtesy of Kvadrat
「三味線」と聞き、デザイナーの視点がとらえたものとそこから発想が広げられていくプロセスにはやはり興味を持たずにはいられません。
さらにデザインが始まった段階における彼らのインスピレーションも教えてもらうと、次のような写真が……。
Photo: Courtesy of Kvadrat
「レディメイドカーテン」のインスピレーション。見ているとわくわくさせられる、ロナンとエルワンのデザインプロセスの一部。Photo: Courtesy of Kvadrat
最後にレディメイドカーテンを用いた部屋の写真も、何枚か紹介しておきましょう。一枚のテキスタイルが空間の趣を大きく変えてくれることを、これらの写真も教えてくれます。
一本のコードを活かし、可能なかぎりシンプルな手順で、テキスタイルの魅力をインテリアで満喫できるレディメイドカーテン。デザイナーのすばらしい感性が、私たちの日々の時間を彩ってくれる楽しいキットを生み出してくれました。
リビング・モティーフで販売中。上・下ともに、カーテン「Ace」キット一式で¥59,400/クヴァドラ(リビング・モティーフ)Photo: Courtesy of Kvadrat
リビング・モティーフで販売中。上・下ともに、カーテン「Washi」キット一式で¥48,600/クヴァドラ(リビング・モティーフ)Photo: Courtesy of Kvadrat
Noriko Kawakami
ジャーナリスト
デザイン誌「AXIS」編集部を経て独立。デザイン、アートを中心に取材、執筆を行うほか、デザイン展覧会の企画、キュレーションも手がける。21_21 DESIGN SIGHTアソシエイトディレクターとして同館の展覧会企画も。
http://norikokawakami.jp
instagram: @noriko_kawakami