セシリエ・マンツのデザイン、「ヒビト(HIBITO)」の風合い。

夏の休暇の話題が楽しい季節になりました。自宅でゆったりと過ごす時間のための、また親しい方々と楽しく過ごす時間のためのテーブルウェアをご紹介しましょう。

デンマーク、コペンハーゲンを拠点として世界的に活躍しているデザイナーのセシリエ・マンツがデザインし、日本でつくられている「ヒビト(HIBITO)」。今春の発売以来、注目を集めているコレクションです。

190711-HBT1.jpgPhoto : Courtesy of ACTUS

「サンプルが完成するとすぐ、家族で使いはじめました」。そう語るセシリエ。それまではデンマークを代表するデザイナー、カイ・ボイスンのデザインのカトラリーを使っていたそうですが、ヒビトのプロジェクトに関わって以来は、自作のカトラリー、グラス、うつわ類を愛用する日々に。「時間をかけてデザインをしてきたというのに、使ってみると、また新たな魅力や使い方に気づきます」と目を輝かせていました。

190711-HBT2.jpg以前、コペンハーゲンにあるセシリエのスタジオを訪ねたことがあります。多種多様な素材が置かれていて、丁寧なリサーチに始まるデザインプロセスを大切にしていることが伝わってきました。

190711-HBT3.jpgセシリエのデザインから。日本の木工技術が活かされた曲線の美しい「MOKU DINING TABLE」と「MOKU CHAIR」。製造企画・販売は「ヒビト」と同じくアクタスで、デンマークのデザイン・ミュージアムのパーマネントコレクションに。ペンダントライト「カラヴァッジオ」も代表作、こちらはデンマークのライトイヤーズ社の製品。

本人のことばとともに、ヒビトのデザインを紹介しましょう。

スプーンやフォークは、食の道具の産地として歴史のある、新潟県の燕三条でつくられています。「製造に関わる皆さんのディテールに対するすばらしい知識、技術力を活かしてもらえました」

「大切なこと、それはディテールが大きな違いを生みだす、ということです。スプーンを例に挙げると、両端の部分が上の唇にどう触れるのかはとても大切。エッジ部分をはじめ、なめらかな形状とし、スプーンの角度などを細かく検討しました」

「ひとつひとつを丁寧に仕上げたいと思い、職人さんたちには、丁寧に磨きあげてください、と、お願いしました」

190718-HBT4.jpg

カトラリー6種(各¥600より)

190711-HBT4.jpg

持ちやすさ、料理を口に運ぶ際の使いやすさをしっかりと探った結果でもある細部のこだわり。たとえばフォークの枝先は少し丸みを帯びた形状に。

「初めてデザインしたカトラリーでしたが、仕上がりには満足しています。口に触れるときの感触を、やさしく、繊細なものに仕上げることができました。スプーンもフォークも、使う際に口に触れていることを特に意識しないのではないかと思います」

---fadeinpager---

そして、グラス類。3種類あり、国内の老舗ガラスメーカーでつくられています。同じくディテールには神経が配られていて、口あたりの感触の心地よさを大切に、ガラスの薄さが丹念に検討されていることがうかがえます。手にとった際の安定感、持ちやすさの面の追求ももちろん。

190711-HBT5jpg.jpg

グラス3種(各900円より)

ヒビトには他に、セラミックのプレートやカップ、ボウル、豆皿があります。プレートを重ねた際の美しいバランスからも、セシリエのこだわりが伝わってきました。

プレートでは、中央に施されたリング模様も特色。カップを置いてカップ&ソーサーとして使うためのものだけでなく、デザインそのものの魅力があります。このリング模様のサイズにもセシリエの考えがありました。「プレートを重ねた際に傷がつかないよう、サイズを考えてのデザインです。大きなプレートでは、ナイフを使う際に使いずらくならないよう、リング模様を最も小さなサイズにしています」

190711-HBT6.jpg

190711-HBT7.jpgセラミック6種(各¥1300より)。長崎、波佐見焼の工房でつくられています。「ナイフを使う際の使いやすさ、ヨーロッパの食卓でも使えることも考えました」

今秋にはプレートの縁にラインが入ったシリーズ(次写真)も登場します。「これは着色ではなく、鉄がもたらす色。このブラウンの色も気に入っているんです。このコレクションは素材の風合いで構成されていて、そのことが、ヒビトのあるべき姿だと考えています」

190711-HBT8.jpg

「今回のデザインでは、ベーシックであることを心がけました。でも、ベーシックでありすぎると、ありふれたものになってしまいます。そこで柔らかさを感じるディテールを実現したいと考えました。製造の場での高い技術を誇る日本だからこそ実現できたプロジェクトだと感じています」

セシリエ・マンツの美意識と日本の産地のものづくりが出会うことで生まれたディテールと風合い。手にとり、日々愛用するほどに魅力を楽しめるコレクションです。
この夏の食卓でも、私もたっぷり楽しんでみたいと思っています。

ヒビト
アクタス青山店
tel : 03-5771-3591
www.actus-interior.com
Share:
  • Twitter
  • Facebook
  • Pinterest

フィガロワインクラブ
Business with Attitude
キーワード別、2024年春夏ストリートスナップまとめ。
連載-パリジェンヌファイル

BRAND SPECIAL

Ranking

Find More Stories