オータムローズに恋する季節
~心をバラ色にする香りのバラのあしらい~

花のある週末 2015.11.05

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秋もぐっと深まり、今年ももう11月。急に気温が下がり、冬の足音が聞こえるようです。
花屋さんの店頭もハロウィンからクリスマスへ、冬を彩る赤や白の花々や、モミやヒバなど針葉樹の枝が徐々に増えて......! 森の香りに包まれるクリスマスシーズンの始まりですね。

華やかなダリアがひと段落して、いよいよ本格的にバラのシーズンです。年間を通じて花屋さんに並ぶバラですが、旬は春と秋。オータムローズと呼ばれる秋のバラたちはしっとりと色づき、大人の雰囲気が漂います。そして、バラといえば「香り」。バラを目の前にすると思わず鼻をバラに近づけてしまうのは、DNAに刷り込まれた人間の本能なのだろうと思います。今日はそんな香りのバラのあしらいをご紹介しましょう。

遥か昔から人々は、バラの美しさ、麗しい香りに熱狂してきました。歴史的なくだりとバラの系統や昨今のトレンドについては、5月のコラムで詳しく触れていますので、ぜひそちらもあわせてご覧ください。

バラがバラである以上、「香り」は永遠のテーマといえます。そしてバラと人間との古い関わりの中で、バラの香りが人間(特に女性の美......!)にもたらす効用がたくさんあることも解明されています。

本来バラには強弱こそあれ芳香はあるとされますが、切花として茎をカットされた後もその芳香が続くことが希少とされます。香りのバラと一言で言っても、複数品種のバラを比べてみると香りにも様々な系統があることがわかります。バラの香りは、「ダマスク・クラシック」「ダマスク・モダン」「ティー」「フルーティ」「ブルー」「スパイシー」「ミルラ」「ブルガリアン・ローズ」の8タイプに分類されるそうですが、その中の代表的な5つの香りの種類と効用について、画像(下の図)の解説をご参照ください。目の前にバラがなくても、何となくイメージできますか......??

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(出典:日本ばら切り花協会展示資料)

花屋さんで手に入りやすい「香りのバラ」で最もポピュラーな品種は、今回のアレンジでも使用していますオペラピンクが華やかな「イブピアッチェ」という品種になります。この「イブピアッチェ」の香りは、古代から香料の原料とされてきたダマスクローズの香りを受け継ぎつつより洗練された、「ダマスク・モダン」の香りと分類されています。青みのピンクや濃い紫など、モーヴ系の色合いのバラたちは、ほぼ裏切ることなく麗しい香りをはなっていますので、花屋さんで香りのバラを探す時のご参考に!

「ダマスク・モダン」の香りは、ワインのテイスティングで「バラの香り」と表現される際の香りだとか。また、古くはワインを造るための葡萄畑では、葡萄を病害虫から守るために周辺にバラを植えていたそうで、今でもワイナリーに行くとその名残を見かけます。バラが病害にかかっていないかチェックすることで、葡萄の病害をいち早く察知し予防できると考えられていたそうです。葡萄を守るバラ、バラの香りがするワイン......人とバラとワインのゆかりの深さを感じるエピソードのひとつですね。

秋の夜長、ワイングラス片手に語らうテーブルにはぜひ、ワインの香りに溶けあうバラや、フレッシュなハーブなどを少しずつあしらってみてください! 香りのマリアージュを楽しむ優雅でエレガントなひととき、ウィークエンドの夜の素敵な過ごし方ですね♪

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(山梨県一宮市のワイナリーにて筆者撮影)

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【ワインのあるテーブルにダマスク・モダンの香りを添えて】

◆材料
バラ・イヴピアッツェ(イブピアジェ/濃いピンク) 2本
バラ・エレガントドレス(淡いピンク)       2本
アフリカンバジル                 1~2本
秋色アジサイ                   1本(1房)

花器          大小複数、食器でも可
切花栄養剤(最近は小袋をつけてくれる花店が増えています)

◆作り方
1.秋色アジサイは、できるだけ斜めにカットし、茎の中の白い綿状のものをハサミの刃先などを利用して取り除きます。(画像ご参照) ※秋色アジサイはドライフラワーになります。
2.バラも水に浸かる部分の葉は取り除き、茎をできるだけ斜めにカットします。
3.空のペットボトルなど利用して、水に切り花栄養剤を分量どおり希釈し、複数の器に移しいれます。
4.バラ、秋色アジサイ、アフリカンバジルを小分けに挿し、テーブルの上の食器とコーディネートするように配置すれば出来上がり!

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左:秋色アジサイの茎の処理方法 右:バラの中央がハート型に!

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バラといえばLOVE!まさに愛の花です。

バラの美しいシーズン、特に誕生日や記念日でなくても、週末にさりげなく愛する人にバラを贈っていただけたら、と思います。「えっ、どうして!?」と驚くパートナーに、「バラが美しい季節だからね」と一言さりげなく......! それだけで女性は心までバラ色になってしまいます。もうズキューンですよね(笑)。何度でもFall in love、恋できちゃいます♪

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花材:バラ・シェドゥーブル(白)、スプレーバラ・M-ヴィンテージピンク、レースフラワー・ダウカスボルドー、アフリカンバジル、グーニーユーカリ(葉)

こんな風に贈られたらすごくトキメクと思いますが、1週間がんばった自分のために週末にお気に入りのバラを選ぶのも素敵です。バラの香りは「癒し」の香りなのです。より美しくなりたい方にはぜひ「ミルラ」香のバラがおすすめ! スパイスのアニス(八角)に似た、少し個性的で甘やかな香りが特徴で、最近の研究では美白効果も認められているそうです。画像(上)のブーケの中の白いバラ「シェドゥーブル」はミルラの香りのバラ、画面からは伝わらないのが残念ですが、本当にアニスの甘い香りがするのです。

前述の図のとおり、バラには香りの種類によって様々な生理的な効果があるようです。女性ホルモンに働きかけるという話はとても有名ですね。アロマセラピーの世界では、そのとき自分にとって心地良いと感じた香り=今の自分の精神や身体にとって一番必要な香り、という考え方がありますが、自分自身の感覚を大切にしようというこの考え方、私の経験上とてもしっくりきています。花屋さんでいろいろなバラの香りを試してみて、そのとき心地良い! と感じた香りのバラをお部屋に連れて帰ってみてくださいね♪

ではでは皆さま、バラと素敵な週末を......!

<INFORMATION>

c04-waku-weekendflower151026.jpg花の国日本協議会では、今秋より本格的に
「WEEKEND FLOWER」企画をスタート!

家族や友人が集う食卓に、一週間がんばったご褒美に。ウィークエンドに花があるだけで、会話がはずんだり、笑顔が増えたり、心がほっとしたり。"日常の素敵"― 花のある暮らしを提案します。


◆WEEKEND FLOWER ティザーサイト
http://www.floweringjapan.com/weekendflower/

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