0-3歳児の発達を育む、クリスマスギフトの選び方。

Lifestyle 2024.12.18

幼児に特大サイズのぬいぐるみや洋服を与えることでは、アインシュタインやキュリー夫人のような偉人に近づくことにはならないだろう。幼児の知的および運動学習をサポートする贈り物の選び方について、神経心理学者がヒントを教えてくれた。

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3歳未満の子どもの発達をサポートする、気の利いた贈り物とは? photography: Getty Images/iStockphoto

おしゃべりがままならず、歩くこともほとんどできない幼児にも、クリスマスの朝には山積みのプレゼント(たいていは、自分の背丈よりずっと大きい)が待っていることだろう。その中身は多くの場合、年齢や発達にはあまり適していないおもちゃだったりする。では、今年はどうすれば的外れな贈り物にならず、プレゼントの中身よりもパッケージに興味を持たれてしまうのを避けられるだろうか? 幼児の興味を引きつつ、言語能力を刺激し、さらには3歳になる前に歩くことを促すようなアイテムは、どのような基準で選ぶといいだろうか?

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見るもの、触れるもの

0~5ヶ月の子どもは、まず視覚が育まれる。フランス国立科学研究センター(CNRS)の神経心理学者で研究責任者であるシルヴィ・ショクロン氏(1)は、視覚機能をサポートするものとして、3ヶ月までの子どもには白黒のコントラストが利いた物、たとえばカードゲームやベビーベッドガード、掛け布団、ぬいぐるみといったものを挙げ、その後の月齢では反対色やさまざまな模様のもの(水玉模様、ストライプなど)を与えるようアドバイスしている。一方で、パステルカラーは避ける方が無難だ。パステルカラーは親にはとても人気があるものの、「子どもにはあまり認識されない色です」とショクロン氏は断言する。

そして1歳までの乳児は、触覚も発達させる。神経心理学者によると、指や口を駆使するこの貴重な感覚は、周囲の世界を知り、認識するための羅針盤として機能するという。そして、触覚に刺激を与えるという意味で、幼児本は優れた学習ツールとなる。怪我をしないように大きく丸みを帯びたもの、そして絵が豊富でさまざまな肌触りのものを選ぶといいだろう。それも手触りの違いが大きければ大きいほど良いと、ショクロン氏は語る。「滑らかな質感の素材もあれば、傷やしわのある素材も望ましいです」

さらに幼児が1歳を迎える頃には、新しいスキルを習得することだろう。指を使って操作することを覚える重要な段階に入るのだ。その動作を通して、「子どもは自分が見ているものと、自分が作り出すものの間に関連性があることを発見するのです」と神経心理学者は説明する。そうして、幼児は自分の行動に意味があることを理解するのだ。そのためこの時期の子どもには、ゲームやおもちゃを与えて、音、イメージ、匂い、質感、といったものを覚えさせることに関心が集まる。たとえば、ベルの付いたガラガラや、ブロックを高く積み上げて倒すことなどがこれに該当する。

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何を読み、何を聞くか

また、読書は幼い頃から欠かせないものである。なぜなら、読書は世界に意識を向ける足がかりになるだけでなく、言語の習得や認知能力と感情の発達にも貢献するからだ。「本を読むとき、大人は描かれていることに疑問を持てば、ページのあちこちを指差して子どもと一緒にそのイメージに名前を付けようとします」と彼女は説明する。また、本によっては、音や匂い付きで子どもに刺激を与えるものもあるだろう。

"聞く力"を育むことに期待するなら、LuniiYotoToniesなどのオーディオプレーヤーを見逃すわけにはいかない。神経心理学者によると、オーディオプレーヤーは悪者扱いされる存在ではなく、むしろ歓迎すべきだという。「(スマホやタブレットの)画面とは異なり、耳から聴く物語や童謡は、生後12ヶ月以降の子どもの耳の注意力を高め、理解力を豊かにします。さらに、子どもの想像力と言語の発達にも役立ちます」と、ラジオ・フランス・アンテルナショナルで若者向けポッドキャスト「Toudou」の設立者は報告する。一方、ショクロン氏は、子どもがオーディオストーリーを聞く際には、同時に"動き"を取り入れる必要があると強調する。「一緒に聞いている大人と話したり、身体を動かしたりと、何かしら交流しながら聞くことが大切になります」と彼女は指摘する。

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歩行を補助するもの、指を使うもの

幼児期のもうひとつの大きな変化を忘れてはならない。1歳から2歳の間に、子どもは移動することを覚える。それ以降はいつでも動いたり歩いたりするものだが、多少ぎこちない様子の時もあるだろう。従って、子どものフットワークをより完璧なものにするために、歩行を補助するものを与えることも重要だろう。この点で、神経心理学者は、バランスと歩き方を学ぶために、歩行器とバランスバイクを推奨している。車輪に乗ったり、カートのように押したりする木製の知育玩具なども、他のおもちゃと同様に楽しみながら大いに役立ちそうだ。

そして2歳くらいから幼児の手先は器用になり、より複雑な物体をつかむ能力を向上させるという。手と目の動きが同期するのを強化するために、ショクロン氏は運動能力を向上させ、指を駆使することに特化したアクティビティを推奨する。「ミニボウリングで狙いを定めたり、大きなパズルやレゴ®を組み立てるのが適しています。重ねたり繋げたりするキューブやビーズ、シールもよいでしょう」。さらに料理もこれらのスキルを強化するという。「料理をすることは社会的相互作用になるうえ、言語や数字の感覚を育みます。さらにスマホやタブレットの画面から遠ざけてくれる、非常に卓越した認知タスクと言えます」

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鉛筆を持つようになれば、ぬり絵を推奨

ここまでの段階の発達にうまく適応できていれば、次はさらに重要なステップである、グラフィックを認識し、表現する力をつけるようになる。「細かい動作ができるようになれば、鉛筆を正しく持ち、絵を描いたり、字を書くことができるようになります」とショクロン氏。そして、その能力を手助けするものとして、彼女はぬり絵を勧めている。

最後に彼女は、創造性を育むという観点において、クリスマスや誕生日の贈り物をするときに大人が陥りがちなミスを指摘する。それは、良かれと思って用意したものが、子どもにとってはそうでもない可能性があるということだ。「子どもが、自分好みにカスタマイズできない完成品を受け取ると、自由に遊ぶ余地がなくなり、想像力の発達が妨げられます」と彼女は警告する。そうならないためには、毛糸、フェルト、ポンポン、その他DIY材料をストックしておき、大人の保護のもとで子どもに"芸術作品"を作ってもらって、リビングルームに飾るようにすればいいだろう。結果次第では物置きで飾ってもいいのだから。

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(1) シルヴィ・ショクロンは、「Dans le cerveau de...」(Les Presses de la Cité社刊)の著者として知られる。

From madameFIGARO.fr

※この記事は、madameFIGARO.frで掲載されたものの翻訳版です。データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです。

text: Tiphaine Honnet (madame.lefigaro.fr) translation: Eri Arimoto

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