年末年始に飲みたい!シャンパーニュやスパークリングワインの魅力を総まとめ!
Gourmet 2024.12.20
ワインの中でも特別なのが、シャンパーニュを筆頭に心ときめく"泡"! 伝統製法によるキリリとした味わい、ナチュラルで優しい泡立ちなど、バラエティ豊か。泡の製法や生産国の特徴を知って、お気に入りを見つけよう。
グラス中で螺旋を描く気泡に、心ときめかせて----。美しい泡は幸福な時間の象徴だ。お祝いや記念日はもちろん、親しい友人とのひとときを彩ってくれる。そんなスパークリングワインはいつ生まれたのだろう? 最も古いスパークリングワインは、フランス・ラングドック地方のブランケット・ド・リムーで、16世紀前半に修道士たちによって発見されたという説がある。だが考えてみれば、ワインは紀元前6000年頃から造られてきた。ワインに発酵はつきもの。ブドウの果皮に存在する酵母が糖分をアルコールに変えると同時に、炭酸ガスが生まれる。つまり泡は自然に発生するのだ。おそらく、太古の昔から人々は泡の立つワインを楽しんでいたのではないだろうか。
その泡をボトルに封じ込めるべく、さまざまな工夫を凝らしたのがフランス・シャンパーニュ地方の人々だ。17世紀に生きたオーヴィレール大修道院のドン・ピエール・ペリニヨン修道士は泡立つワインを発見し、「おお神よ、私はいま、星を飲んでいます!」と叫んだというが、おそらくこれはロマンティックな伝説だろう。だがそれほどに泡立つワインの味は甘美だったに違いない。史実としては、ペリニヨン修道士は異なる品種やクリュ(畑の区画)の"アッサンブラージュ(ブレンド)"を試みた人物で、シャンパーニュの生産技術において大きな役割を果たした。また、17世紀末には泡を封じ込めるコルクがシャンパーニュ地方に初めて登場し、18世紀初頭には気圧耐性のあるガラスのボトルが用いられるようになったことで、次第に瓶内二次発酵が確立され、"伝統製法"としてスペインのカバなどに影響を与え、世界各地に広まっていった。
そして現在、世界には魅力的な"泡"があふれている。フランスにはピノ・ノワール、シャルドネ、ムニエを基本の3品種として造られるシャンパーニュのほか、クレマン・ダルザス、クレマン・ド・ブルゴーニュ、クレマン・ド・ボルドーと産地ごとにスパークリングが生産されるようになった。アルザスならリースリング、ボルドーならソーヴィニヨン・ブランと、それぞれの土地固有の品種の特徴が際立っている。また、イタリアではフランチャコルタやプロセッコが、スペインではカバが世界的成功を収めている。
注目すべきはイングリッシュスパークリングワインで、シャンパーニュ地方と類似した白亜質土壌から生まれる凛とした酸味が泡好きの英国人を魅了し、いまやバッキンガム宮殿の公式晩餐会にも用いられる存在に。ほかにもアメリカ合衆国やニュージーランド、オーストラリアなどのニューワールドからも素晴らしい泡が続々誕生、そのポテンシャルの高さに着目し、各国に参入しているシャンパーニュメゾンも多い。だが、なぜ私たちは、こんなにも"泡"に惹かれるのか? それはきっと、グラスに注いだ瞬間、"魔法"をかけてくれる飲み物だから。そんな幸福な魔法に満ちた世界へ、ようこそ。
ワインに泡が生まれる、3つの代表的な製法とは?
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*「フィガロジャポン」2025年2月号より抜粋
photography: Hironobu Maeda (Stijl) styling: Mafumi text: Kimiko Anzai collaboration: Comité Champagne