猫はいつでも飼い主を思っていた......! 研究で明らかに。

Lifestyle 2021.11.27

From Newsweek Japan

文/ハンナ・オズボーン

飼い主が見えない場所にいるときでも、猫は『ここにいるだろう』と思い描いているらしいことが分かってきた。猫は、飼い主が見えないところにいる時でも、その居場所を「頭の中で思い描いている」ことが、研究で明らかになった。猫は、飼い主の声を頼りに心的イメージをつくりあげながら、その動きを追いかけているのだという。

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よそよそしいようで実は飼い主思い?photo: Jarek Fethke-iStock

京都大学で心理学専修博士課程を修了した、麻布大学特別研究員の高木佐保を中心とする研究チームは、飼い主と見知らぬ他人の声を使って、猫に関する一連の実験を行った。米国獣医師会(AVMA)によると、2017~18年にアメリカで飼われていた猫は5838万5725匹。4世帯に1世帯が、少なくとも1匹のはを飼っていた。猫は一般的に、犬よりも飼い主に対する態度がよそよそしいと考えられている。2013年の研究では、猫は飼い主の声を認識しているものの、無視を決め込んでいることがわかった。

査読付き学術誌「PLOS ONE」で2021年11月10日に発表された今回の研究では、高木を筆頭とする研究チームが3度の実験を行い、猫が環境的な手がかり(この場合は飼い主の声)をもとに、飼い主の居場所を自発的に追いかけているかどうかを検証した。

1度目の実験では、飼い主がネコの名前を呼ぶ声を録音した音声を5回、猫に聞かせた。そして、5回目のあとに、設置されたスピーカー2台のうちの1台で、見知らぬ他人が名前を呼ぶ音声か、飼い主が名前を呼ぶ音声のいずれかを再生した。1台のスピーカーは室外に、もう1台のスピーカーは室内に設置されていた。録音された声は、さまざまな組み合わせで再生されたという。

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思わぬ場所からの声に驚く猫。

猫が飛び抜けて驚いた様子を見せたのは、室内に設置されたスピーカーから、飼い主が猫の名前を呼ぶ音声が流されたときだった。ほかの2度の実験では、別の猫たちの鳴き声と、声以外の音声が流された。刺激に対する驚きについては、相関関係はみられなかった。

研究チームはこの結果について、部屋にいないと思っていた飼い主の声が室内で聞こえたことに猫は驚いたのではないかと述べている。

「実験結果は、猫が予想していなかった別の場所に、飼い主が『瞬間移動』したように思えたことで驚いたことを示している。一方、非社会的な刺激を用いた実験では、猫はそうした反応を見せなかった」と論文には書かれている。

「こうした結果は、猫が飼い主の声をもとに、目に見えないところにいる飼い主の心的イメージをつくりあげ、その居場所を思い描いていることを示唆している。これは、猫が社会空間認識能力を有している証拠だ」

研究チームは、猫が驚いた理由が、飼い主が予想外の場所に現れたからなのか、あるいは飼い主がいるだろうと「思い描いていた」場所にいなかったからなのかは不明だとし、さらなる研究が必要だと述べている。

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translation: Galileo

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