スマホやタブレット、2歳以上の子どもにはプラスに?
Lifestyle 2021.12.17
文/ブレー・アン・マッカーサー(カルガリー大学子供発達因子研究所博士研究員)、シェリー・マディガン(同研究主任、准教授)
コロナ禍で親子共に増えてしまいがちなスクリーンタイム(電子機器の画面視聴)。教育用コンテンツなら問題ないのか。どんな用途なら脳の発達に役立つのか。研究で分かっていることは?
幼い子どもの長過ぎるスクリーン使用が発達に悪影響を及ぼす可能性が研究で示されている。photo: iStock
新型コロナウイルスのパンデミック下では、これまでの習慣が変わったり崩れたりしてしまうのも無理はない。
保育園や学校が休みになり、親は自宅でリモートワークを強いられ、ソーシャルディスタンスを日々心掛け、子どもたちは友達と遊ぶこともままならない。
だから、子どもも大人もテレビやデバイス、タブレット、ビデオゲームなどのスクリーンを見る時間がいつもより増えてしまうのはうなずける。
さらには、2~5歳の子どもは1日1時間まで、1歳半までの乳幼児は0時間に(ただし親しい人とのビデオチャットの時間は除く)、との推奨時間をオーバーしてしまうのも仕方ないだろう。
児童心理学者でありスクリーンタイムについて研究する筆者らは、前例のないこの状況下で子どものスクリーンタイムをどう管理したらいいか、と悩める親たちからよく質問を受ける。
さらに彼らはこう聞いてくる。「何時間を超えたらアウトなの?」「電子機器使用が役に立つ場合もあるの?」
そこで、研究結果に基づいて、幼い子どものベストな電子機器の使用法をアドバイスしよう。
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質の高い教育プログラムを選ぶ。
2歳以上の子どもなら、スクリーンタイムがプラスになる場合もある。筆者の研究では、『セサミストリート』のように教育目的で開発されたプログラムは、子どもの言語能力の発達にわずかながら役立つ可能性があることが示された。
質の高いプログラムは、明確なストーリー展開と幼児の発達段階に合わせた内容で、幼児のニーズに応えるよう調整されている。しばしば物の名前を呼んだり視聴者に直接語りかけたりすることで、新しい言葉や音を学ぶ助けになる。
たとえ教育用コンテンツであっても、2歳以下の場合にはスクリーンから学ぶことはほとんどないことが研究で示唆されている。
だから、2歳以下の子どもは家族や友達とのビデオチャットのみに使用を限定するか、10~15分のごく短時間の一時的な使用にとどめよう。
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親も一緒に参加する。
子どもと保護者がスクリーンを一緒に見ると、子どもが新しい言葉を覚える可能性が高まるようだ。
一定のコンテンツに子どもの関心を直接引き付け、画面上に見えるものについて話し合い、学んだことを日々の出来事と関連付けることで、学びを促進してやれる可能性がある。
つまり、できる限り子どもと一緒に座り、そろってメディアを楽しむことだ。
画面上に見えるものについて話し、イエスかノー以外で答えられる興味深い質問を投げ掛けて考えさせよう(「今日はXちゃんに何が起こった?」「Xちゃんは悲しんでるね。あなたはどう思う?」)。画面上のものを言い表したり名称を言ったりするのもいい(「ドーラはリュックを背負って紫色のブーツを履いてるね!」)。
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スクリーンを人と人との結び付きのために使う。
小児科のガイドラインでは、乳幼児の場合でも家族や友達や親しい人とのビデオチャットを行うことは推奨されている。社会的繋がりは子どもにとって重要であり、デバイスの使い方としても健全だとみられている。
パンデミックの間は、離れて暮らす家族や隣人、友人と社会的つながりを維持するために積極的に連絡を取るよう心がけよう。
ビデオチャットの相手に、わが子と一緒に歌ったり踊ったり、絵本の読み聞かせをしてもらうのもいい。
スクリーンタイムとほかの活動のバランスを取る。
両親や兄弟姉妹、祖父母との交流や会話に熱中しているとき、子どもは最も学んでいる。
こうした「双方向のやりとり」は、脳の発達のための構成要素になる。コロナ禍の間は、子どもの脳と身体を育てる双方向のやりとりをたっぷりしてやろう。
この状況下では親もスクリーンタイムの制限をつい緩めてしまっているかもしれないが、ルールをすべて放り出すのは考えもの。
特に幼少期の長過ぎる画面視聴が、脳の発達を妨げ、(歩く、話す、書くなどの)発達段階の遅れにつながる可能性が研究で示されている。
効果的なのは、就寝、食事、読書や学習、家族の時間などのオフラインの活動と同じく、オンラインにもスケジュールを設けることだ。
また、就寝前の画面視聴は睡眠に悪影響を与える可能性がある。計画を立てるときには就寝前60分はデバイス禁止タイムにしよう。
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親が健康的なデバイス習慣の手本になろう。
誰もが新型コロナ関連のニュースやSNSに苦しめられているいま、自覚もないままデジタルの世界に溺れ、デバイス使用に時間を奪われがち。
最新情報を追いたい気持ちはあっても、親自身がメディア使用の状況を見直すことが重要だ。親のスクリーンタイムが子どもの使用にも影響し、親子の双方向のやりとりも阻害する可能性があるからだ。
親は、健康的なデバイス習慣を示すことで子どもの手本になることができる。休憩時間をつくり、デバイス抜きの活動(読書や料理、食事、ウオーキングなど)を優先する姿勢を見せるといい。
最後に、子どもに新型コロナについて話すこともあるだろうが、テレビやネットの報道にさらすのは避けること。不穏なニュースを頻繁に目にすると、子どものストレスレベルは上昇してしまう。
パンデミックはいずれ終わる時が来るはずだが、先の見えない不確かな時期に、子どもたちに正しいスクリーン使用を手ほどきしてやることは重要だ。
Brae Anne McArthur, Postdoctoral Research Fellow, Determinants of Child Development Lab, University of Calgary and Sheri Madigan, Associate Professor, Canada Research Chair in Determinants of Child Development, Owerko Centre at the Alberta Children's Hospital Research Institute, University of Calgary
This article is republished from The Conversation under a Creative Commons license. Read the original article.
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text: Brae Anne McArthur,Sheri Madigan