甘え過ぎも困る?いちばん人懐こい猫の品種は......。
Lifestyle 2021.12.19
文/ジェニー・デズバラ
猫は品種の違いより個体差のほうが大きいと言われるが、それでも人あしらいが上手いとか、のんびりした性格と言える品種はある。
甘えてくれる猫と出会いたいけど、甘え過ぎも困る? photo: zsv3207-iStock.
猫を飼うならできるだけ人によく懐く品種がいいと思う人は多いだろう。人間に飼われるようになってからの長い歳月の間に、猫も人との生活に慣れ、人と仲良くできるようになってきたと多くの専門家は言う。
2014年のある論文によれば、イエ猫は野生の近縁種と比べて13の遺伝子に人に慣れて家畜化したことを示す変異が見られたという。とは言え、どの品種が人間に最もフレンドリーと言えるのかを見きわめるのは難しい。愛情深いのはいいが、飼い主の関心を必要以上に求めて困らせる猫もいる。そこで、専門家に人間に対して最も愛情深い品種を聞いた。さらに「かまってちゃん」の度が過ぎる場合の対処法についても聞いてみた。
猫に関して人懐こい品種を挙げるのは難しいと大半の専門家が言うのには理由がある。猫の品種を作出する場合、犬と違って性質より身体的特徴に重きが置かれてきたからだ。
オンライン専門家相談サービス「ジャストアンサー」の獣医学分野の専門家ジョー・マイヤーズは本誌に対し、「猫の品種と犬の品種では考え方がまるで異なる。そもそも猫は真に家畜化されていると言えるかどうかも怪しい」
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中身はいまも「小さな肉食獣」。
マイヤーズによれば、そもそも猫は「ふわふわで小さいけれど、本質はいまもれっきとした肉食動物」なのだ。
ペットシッターサービスのローバー・ドットコムの専門家でネコの行動に詳しいミケルマリア・デルガドも同じ意見だ。デルガドは本誌に対し、どの品種が人懐こいかを知りたければ直接会ってそれぞれの性質を観察するのがいちばんだと語る。「近年、純血種のネコの飼い主から品種によって(性質に)違いがあると証言しているという研究も出てきているが、ネコの品種と性質を結びつけて論じるにはさらなる研究が必要だ」とデルガドは言う。
「これから猫を家に迎えたいと考えていて、“人に懐くこと”を最も重視するならば、実際に猫に会って一緒にうまくやれるかどうか、互いを好きになれるかどうかを確認するのがいちばんだ」
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ペット業界向けに動物関連コンテンツを製作しているベテリナリー・コンテント社の獣医ジョーンナ・ウッドナットはこう述べた。「猫は1匹1匹が違う。性質も独占欲が強い猫から他人行儀な猫までさまざまだ。その上、育ち方も性格に大きく影響する」
つまり、品種より個体差が大きいというわけだ。「いい環境で、こまめに相手をしてくれる熱心なブリーダーのもとで育った猫は、野良猫の子として生まれて後から人間に育てられた猫よりはるかに人懐こい。当然だ」
一方で、人づきあいが上手とされる品種も確かにあるとウッフォナットは語る。ウッドナットによれば、シャムやラグドール、ペルシャなどの品種は、人あしらいが上手だ。シャムは自己主張がはっきりしていて、鳴く時も人との関係でもそれがうかがえる。ラグドールは非常にのんびり屋だ。
ラグドールの子猫、かわいい行動パターン20。
ペットの健康相談サービスであるファジーのエミリー・ウィルソンは、メインクーンやスフィンクスも人によく慣れると言う。「メインクーンは優しい性格の大型の猫だ。子どものいる家庭でもうまくやれることが多い。スフィンクスは毛のない個性的な見た目の猫で、優しくおどけたところのある性格が家族と一緒に暮らす相手としてすばらしい。家族の関心の中心にいたがり、日々の行動を共にすることを望む」
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「かまって攻撃」の原因が病気のことも。
人づきあいの上手な猫と暮らすのは楽しいが、あまりにもかまってもらいたがることに辟易している飼い主もいる。小さい子どもやほかのペットなど、面倒を見る相手がほかにもいる場合はなおさらだ。
デルガドは、困った行動を取る猫に餌をやったり注意を向けるなどの「ご褒美」を与えないのが肝心だと語る。飼い主の方が、猫の思い通りに行動するよう「しつけ」られてしまう。
困った行動を止めさせるには、毎日の日課として猫と触れあうことが大いに役に立つという。「注意を向け、餌をやり、(トイレを毎日掃除するといった)世話を日課としてきちんと行うことは、“愛情に飢えた”猫(の心)を救うことに繋がる」
マイヤーズはまた、猫があまりにしつこい場合は動物病院を受診するのもいいと語る。何らかの病気が隠れているサインかも知れないからだ。たとえば甲状腺機能亢進症や関節炎、歯の病気になると、痛みやつらさへの反応として人にまとわりつく猫もいる。
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飼い主にかまってほしくてたまらない猫たち。
マイヤーズは言う。「ペットが望ましくない行動を取る場合、隠れた医学的問題への対処が重要となることも多い。かまってもらいたがる行動の急増につながっているかも知れないからだ。高血圧といった外からは分かりづらい病気も原因になり得る。獣医師にしっかり調べてもらうことが(解決の)第一歩になる」
また、おもちゃや爪とぎなどを用意して猫にとって自然な行動が取れるようにし、気を紛らわすことができるようにしてやるのもいい。運動や戸外での活動もおすすめだ。ウィルソンは言う。「屋外での体験を強く求める猫にキャティオ(家の外に設置したネコ用の大きなおり)を用意すれば、安全に屋外体験ができるようになる」
「飼い主や家族が出かける場合も、環境を充実させておけば留守番する猫の支えになる。それでも毎日の日課に猫にブラシを掛けたりなでたり遊んだりする時間を組み込むことも重要だ。そうした行動は、飼い主と猫の絆を強める役に立つ」
text: Jenny Desborough