夫婦間のセックスレス、多くの人が抱える苦悩とは?

Lifestyle 2022.04.03

最新作『今夜はだめ(Pas ce soir)』のなかで、小説家アメリ・コルドニエは妻に顧みられない男性の現実を描き出している。欲望の消滅とセックスのない日々にどう向き合うべきか? 著者にインタビュー。

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最新小説『今夜はだめ』で、アメリ・コルドニエは欲望の消滅とセックスのない日々にどう立ち向かうべきかを描いた。photography: Getty images

ーなぜこのテーマを選んだのですか?

性生活がなくなるときに同時に消滅するあらゆるものについて考えてみたいと思ったのです。社会学者のジャン=クロード・コフマンは、これを私生活のグレーゾーンと呼んでいます。この小説では、20年以上一緒に暮らしているカップルの物語を心に傷を負った男の視点を通して掘り下げてみました。彼が妻に触れなくなって8ヶ月2週間と4日経ったところから小説は始まります。愛と後ろめたい欲望に死ぬほど苛まれているこの平凡な禁欲者が抱えるフラストレーション、悔しさ、絶望を読者は体験します。妻との距離を縮めようと試みながら、妻を待ち続ける夫の1年を追っています。彼にとって最も寂しいのは、愛の営みがないことより、夫婦間の心の通じ合いとお互いへの優しさがなくなることです。

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ー主人公は男性ですが、物語が進むにつれ妻の苦しみも浮かび上がってきます……

夫婦間のセックスレスは大きなタブーだという直感がありました。友人にせよ面識のない人にせよ、話を聞いた男性たちの多くから、人に話したのはこれが初めてだと言われ、やっぱりそうかと思いました。彼らのおかげでわかったことがあります。自分の浮気の話は抵抗なくする、ときには自慢げに話す人さえいますが、妻に触れていないことを打ち明けるのは想像もできないことなのだと。こうした男性たちにとって苦しみは二重です。セックスをしなくなった苦しみ、そしてそのことについて話せない苦しみ。欲望の不一致によって引き起こされる、人には言えない苦悩にメスを入れ、女性がパートナーと同じように欲望を抱かなくなったときにカップルの間にできる溝を見つめてみようと思いました。無理をするのをやめた50歳の女性の物語を夫の視点から語ってみたかった。娘たちが家を出て行ったように、彼女の欲望は荷物をまとめて立ち去ってしまった。そして彼女は、末娘の部屋に寝室を移します。

ー欲望の欠如には男女差はありますか?

いいえ。そうは思いません。男性にも女性にも関わることです。ただ、先ほども触れましたが、ジャン=クロード・コフマンは実に端的に物事の本質を言い表しています。カップルにおいて、男性は一般的に、長い間セックスをしていないと感じる。女性の方は、ついこの間セックスをしたばかりだと思っている、と。この小説がきっかけとなって、カップル間のセックスレスについて不安や羞恥心を持たずに話せるようになるといいと思います。私たちの社会は性交を義務化し、勃起を神聖視しています。現実には、膨張した男根の神話的イメージから程遠い、傷ついた男性性も存在するのです。女性たちも精神的負担にここまで欲望を押し潰されていなければ、もっとセックスをしたいと望むにちがいありません。

text: Delphine Bauer (madame.lefigaro.fr)

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