そこは自分のための小さな美術館 ピンク色のユーモアがあるセンスのいいお部屋。
Lifestyle 2022.10.05
アートはいま、より身近に、親しみやすい存在になってきた。洋服を選んで着るみたいにアートを部屋に取り入れる……そんな自由な発想で飾る矢野悦子の場合は?
矢野悦子 セプテンバーポエトリー オーナー
廃材を用いたアートユニット、マグマによる照明器具。
TVボードは同じくマグマに特注したもの。リビングルームの壁にはスーザン・チャンチオロ(左)や谷口真人(右)の作品を。
「洋服を着るのと同じような感覚で、家をスタイリングしているイメージです」。2月に惜しまれつつも閉店したランプ ハラジュクでディレクターを務め、現在はセプテンバーポエトリーを主宰している。引っ越したばかりの葉山の自宅は、アート作品が映えるよう古い物件を白く塗ってリフォームしたそう。20年以上も前にギャラリー360°で購入したスーザン・チャンチオロをはじめ、谷口真人、原田郁、そして廃材をアートピースに仕立てるマグマのTVボードや照明器具まで。それらをお気に入りショップのDMを自分で額装したものと並べ、不思議と日常生活の中に溶け込ませている。
エイチ・ピー・デコで購入したリスディンのカトラリーランプ。ナタリー・レテのリトグラフ(左)と譲り受けたというケイト・ピーターズの写真(右)とともに。
「私はピンクを好んで着ますが、気が付けば、飾っている作品にもピンクがよく使われていますね(笑)」。現在は2、3カ月に1度、オープンショールームとして自宅を開放している。8月にはマグマの照明器具を展示・販売する予定だ。「ファッション、アートといった垣根なく、日々の暮らしを美しく、楽しくしてくれるものを紹介していきたい」
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「素敵で捨てられなかった」という大阪のエッセンシャルストアのDMを自ら額装して。
窓際にはセプテンバーポエトリーでも取り扱うDOKIMIZUHOの土器が並ぶ。
ランプ ハラジュク時代からの付き合いという原田郁の作品。
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ナンヅカ アンダーグラウンド
矢野さんが懇意にしているアーティスト谷口真人も所属しているコンテンポラリーアートギャラリー。現代アートのみならず、ストリートから漫画、ファッション、音楽まで、幅広いジャンルのクリエイターたちを紹介している。昨年6月に渋谷区神宮前に移転オープンした。
Nanzuka Underground
東京都渋谷区神宮前3-30-10
tel:03-5422-3877
www.nanzuka.com
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ボイルド
東京で活躍する若手アーティストの作品を中心に展示。キュレーター伊勢春日が「洋服を選ぶようにアート作品を楽しみ、日常に取り入れてほしい」との思いから、2014年にオープンした。「伊勢さんのセンスが好き。作品はもちろん、ステッカーやカードなどもおすすめ」
Voilld
東京都目黒区青葉台3-18-10 カーサ青葉台1F
tel:03-5457-2166
www.voilld.com
*「フィガロジャポン」2022年9月号より抜粋
photography: Wataru Kakuta