十人十色の恋愛・性愛、 私たちの愛の物語。 楽しみだけを見いだせた、私の「買う恋愛」。

Lifestyle 2023.01.03

同性愛、離婚約、不倫愛……多様性が謡われる時代だからこそ、愛への考え方やパートナーとの在り方も人それぞれ。ゲームのように恋愛を楽しむEさんのリアルボイス。

楽しみだけを見いだせた、私の「買う恋愛」。

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E〈経営者・52 歳〉

 Eさんが「買う恋愛」を始めたのは、結婚生活の終わりが見えた頃のこと。「10年前の私にとって彼は世界の中心だった」と振り返るど大恋愛の果てに結ばれた夫。しかし経営者としての人生を選択したEさんにとって、普通すぎる夫はいつの間にか退屈な存在になっていた。

そんな時に目にしたのが、出張ホストや女性用風俗について書かれた記事。好奇心を強く刺激されたが、犯罪に巻き込まれる怖さや既婚者である身を考えて躊躇した。しかし、インターネットを検索する手を止めることはできず、時折思い出しては情報収集すること1カ月。ついにある日、女性用風俗のホームページで気になる男性を見つけた。断片的で不完全な情報だったが、「顔はわからなかったけど、高身長や身体つきに惹かれるものがあって思い切って予約した」という。

会話のない夫婦生活から逃げるかのように、そして、人生の扉を1枚開くように非現実世界に飛び込んだ。長年セックスレスだったこともあってか、かつてない高揚感に包まれ、大きな満足感を得た。
それからサービスを楽しみ始めたEさんは、「あまり年が離れると話が合わないから」と、相手は 30代から40代に絞ってリサーチ。ルックスや清潔感、会話の楽しさでリピートするかどうかを決める。その中から、ひとり、恋ができる相手が現れた。
「恋人になったり結婚したりする相手ではないと割り切れる理性はあるし、お金を払っていることは常に頭にある。でも会っている時は、恋する気分でいたい。ふたりきりの時は本気の恋愛をしたい。いくら身体だけ気持ちよくても、心がときめかないと楽しくないから」 

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彼と会っている時間、そして会うまでの時間は胸が高鳴る。これまでより、いっそう美容にも力を入れるようになった。半年ほど経った頃、ふたりはプライベートでも会うようになった。Eさんの中では割り切っていたものの、彼のほうがEさんにのめり込み始めたのだ。彼が自分の友人に紹介しようとしたり、実家の近くまで連れていったりと、自分に対してただならぬ感情を抱いていることを察知。それから間もなく、Eさんはふたりの関係に終止符を打つことに決めた。

それから一般の男性とデートする機会もあったが、高額なプレゼントをねだられるとげんなりした。
「素人の男性と性的な関係になるのは気を遣う。プロのほうが満足感は高いし、割り切れる」
Eさんにとって、自分を満足させてくれない関係は面倒でしかない。再びお気に入りを見つけ出すべく、サービスの利用をリスタートした。「4、5人に会うと、おもしろい子が見つかるんですよ」というが、良い出会いばかりではない。20%の確率で恋できる相手を見つけるも、 半年から1年経つと、やはりうまくいかなくなる。
「お金が介在しているからこそ、いろんなやりとりに手を抜いてほしくはない。そこは、普通の恋人よりも主張していい関係だと思っています。マメに連絡ができなかったり、きちんとした態度を取れなかったりする人は、仕事ができないと思って見切りをつけますね」

お金によって繋がる縁ではあるが、時にはスリリングな展開も。相手の男性と同棲する20歳の女性からヤキモチを焼かれて、長文のメールが届いたことがある。
「普通に生きていたら、30歳も年下の女の子から嫉妬されることなんてないでしょう。ドラマの世界に入り込んだみたいで、すごくワクワクしました(笑)」
面倒な事態も行きすぎなければ、日常を華やかにしてくれるスパイスだ。恋愛はゲームを地でいくEさんは、「50代女性の希望の星」と友人に称されることも。
「いま遊んでいる4人は、1週間に1回のペースで会っています。人生を狂わすような大恋愛も憧れるけど、いまはこれで満足 」
少なくとも、あと10年は買う恋愛を続ける予定だ。

*「フィガロジャポン」2022年3月号より抜粋

text: Yoko Sueyoshi

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