十人十色の恋愛・性愛、 私たちの愛の物語。 子どものいる大家族、 夢を実現したふたりの女性。

Lifestyle 2023.01.05

同性愛、離婚約、不倫愛……多様性が謡われる時代だからこそ、愛への考え方やパートナーとの在り方も人それぞれ。生物学上の母と養子縁組をした母という形で4人の娘たちを育てている家族にフォーカス。

子どものいる大家族、
夢を実現したふたり。

コンスタンス〈出産女性のサポーター・40歳〉& オード〈ヘッドハンター・40歳〉

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c Chloe@mespepinsderaisin

 

 「ホモセクシュアリティは最初から自覚していた」というオードさんと、「気付いたのは高校2年生くらいの頃」というコンスタンスさん。ふたりの女性は17歳の時に出会った。高校の写真部で一緒だったけれど、当時はクラスも違い、顔見知り程度の関係。距離が縮まったのは、大学で偶然に再会した時だ。少しの間だけ付き合ったけれど、お互いに別の相手と恋愛もした。「その間はずっと親密な友だち関係だった」と口を揃える。

「再会して少し経った頃、オードは私の子どもの母親になる人だと確信したんです」(コンスタンスさん)
再会した時、言葉では言えない何かを感じていたオードさんも、「ふたりの歴史で、最も大事な瞬間は初めてキスした時。友情が実は恋愛感情だったと理解するのに、出会いから 、7年もかかってしまったというわけ」と話す。
互いにフリーになったタイミングで、特別な友情だと思っていたものは恋愛に変わった。一緒に暮らし始めて以来、ふたりはひと時も離れたことがない。お互いがぴったり合っていて、相手のために生まれてきた」というほど強い思いは、 16年を経ても変わらない。

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現在、ふたりは4人の娘たちの母親だ。
「子どもは私にとってレゾンデートル(存在意義)、幸福の源」(オードさん)
「家族のビジョンは子どもに継承し、子どもとシェアし、ともに生きること」(コンスタンスさん)

ふたりは、子どもを作ることも含めてカップルになっ た。4人兄弟の家庭に育ったコンスタンスさんと、彼女の家族に素晴らしい幸せと愛情を感じたオードさん。ふたりが目指すファミリーモデルは大家族だ。とはいえ、1 9 9 9 年 に P A C S(非婚カップル保護制度)が生まれたフランスでも、同性カップルの婚姻や養子縁組が認められたのは2013年。異性カップル以外の生殖補助医療は、ようやく21年9月に認められたばかりだ。 2000年代初めは、まだ、女性同士のカップルは親になるのを諦めることを意味していた。しかし、ふたりにとって子どものいない家族はあり得ない。ベルギーに渡って人工授精を受け、12年に長女、3年後に3つ子を授かった。ふたりは、生物学上の母と養子縁組をした母という形で4人の娘たちを育てている。
「それぞれのステップを障害と考えず、進歩だと感じてきた。一緒になった時、子どもの認知や結婚は無理だろうと思ったけれど、結局すべて手に入れることができました」(コンスタンスさん)

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出会ってから23年。カップルとして16年の歴史をともに歩んできたふたりの言葉からは、ポジティブなエネルギーがヒシヒシと伝わってくる。
「私たちの関係は、6年間の緊密な友情が基盤。付き合った時はすでにお互いに相手もことをよくわかっていて、秘密も驚きもしなかった。大きな安心感と信頼感がありました」(オードさん)
「私たちは似たような教育を受けてきたから、価値観にも共通点が多い。カップルにアップダウンはつきものだけど、どんな道も一緒に歩ける」(コンスタンスさん)

友情と恋愛と連帯とが、三つどもえにしっかりと組み合わせられた強固な絆。長続きするカップルの秘密はどこにあるのだろうか。
「私たちはチームメイト。大事なのは相手の立場に立つこと。相手が自分のために何かしてくれるのを見ると、 自分も相手にしてあげたくなる」(オードさん)
「関係は変化するし、情熱はいつか消えます。でも私たちの絆は、当初より深く強いもの。いまふたりで歩んでいる人生は、あの頃には想像することさえできませんでした」(コンスタンスさん)

毎朝、お互いの横で目覚める幸せを感じているという。
「いま、私たちは大通りの真ん中を歩いている。ふたりとも母親で、周囲は幸福に満ちている。これが、私にとって愛と家族と人生の意味」というオードさんの言葉が、 ふたりの愛を要約している。

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ともにmere(母)と記載され、子供たち全員の名前が書き込まれた家族手帳(国が発行する公式文書のひとつ)は、ふたりの道のりの象徴。

 

*「フィガロジャポン」2022年3月号より抜粋

text: Masae Takata(Paris Office)

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