フランスの子どもの7割が睡眠不足!恐ろしい影響も。
Lifestyle 2023.04.08
フランスの国立睡眠・覚醒研究所(INSV: Institut national du sommeil et de la vigilance)は2022年3月に「親子の夜間行動に関する調査」を実施。その結果、フランスの3歳までの子どもの7割強が睡眠不足だということが明らかになった。以来同研究所は、幼児の睡眠時間が不十分で、規則的でないことについて警鐘を鳴らしている。
生後6カ月から3歳までの子どもの76%が、ウィークデーの睡眠時間を11時間未満としている。photography: Getty Images
赤ちゃんが泣き叫んだり、子どもが抱っこをせがむのは、睡眠負債が原因かもしれない。フランスの国立睡眠・覚醒研究所(INSV)は、MGEN(1)と共同で、生後6カ月から10歳までの子どもを持つ1015人の親を対象に調査を実施し、幼い子どもたちの疲労状態について警鐘を鳴らした。
具体的には、フランスの生後6カ月から3歳までの子どものうち76%が、1週間のうち十分な睡眠をとっていない、つまり夜間の睡眠時間が11時間未満だったと指摘している。
この数字は「すべての勧告に反している」と、リヨン2区の女性・母子病院睡眠病棟の小児科医で研究者のパトリシア・フランコはプレスリリースで懸念を表明した。フランコは、アメリカの睡眠財団(National Sleep Foundation)の調査に基づき、子どもの必要睡眠時間は生後4〜11カ月の乳児で12〜15時間、1〜3歳で11〜14時間だとしている。
INSVの調査は、平日の子どもの就寝時間が遅すぎる、もしくは起床時間が早すぎると報告している。6歳以下の約38%は平日は夜9時以降に就寝。さらに週末は67%がこれより遅い時間に就寝しているという。3歳未満を合わせると、「全体の45%が、睡眠時間が不規則だ」とフランコ医師は指摘する。
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「2歳まではスクリーンの使用を禁止すべき」
また、夜中に目が覚める生後6ヶ月から10歳の子どもは全体の48%であるのに対し、3歳以下の子どもは66%と、子どもの中でも夜中に多く目が覚めるのは幼児であることがわかっている。
通常頻繁に起こる覚醒だが、調査によると、ふたつの好ましくない効果によってその頻度が増えているようだ。まず、スクリーンを過剰に観ている。生後6カ月から3歳までの子どもの66%が、家庭内でテレビやスマートフォンに触れている。「この年齢では、スクリーンが認知発達、学習、精神運動発達に影響を与えることが証明されています」と小児科医のパトリシア・フランコは言い、2歳まではスクリーンの使用を厳しく禁止するよう推奨している。
子どもの夜間覚醒に対する、親の反応も重要だ。親のうち21%は、我が子が眠りにつく直前まで食事を与えようとし、5人に1人は子どもを親のベッドに連れて行くこともあるという。小児科医によれば、これらは不適切な反応であり、長期的に自立した睡眠を促すものではないと言う。
さらにこの調査結果には、悪い夜の過ごし方が子どもと親の絆に与える影響が表れている。神経精神科医でINSVの科学評議会メンバーであるマリー=フランソワーズ・ヴェッキーニ博士は、プレスリリースで「睡眠の質に影響があるほど、親子関係が悪くなる」と要約している。そのため老若男女を問わず、疲労感や夜間覚醒、いびきなどの症状が現れたら、すぐに医師に相談する必要がある。
(1)調査会社オピニオンウェイが2022年1月10〜17日に18歳~65歳の1015名を対象に実施した調査。CAWIシステムによる自記式オンラインアンケートと、地域と社会階層に基づくクオータ方式を採用。
text: Tiphaine Honnet (madame.lefigaro.fr) translation: Hanae Yamaguchi