馴れ合いになってしまったカップルに必要な3つのこと。
Lifestyle 2023.05.04
編集部からのアドバイス:カップルとしての生活がルーティンになってしまった時、新鮮さが消えてしまったと悩むことがある。日常に刺激をプラスするためのカギはあるのだろうか。カップルライフの専門家が教えてくれた。
カップルの生活にクリエイティビティをもう一度吹き込むには? photography: Getty Images
一緒に暮らし始めて最初の数カ月間、恋人たちは2人で新しいルーティンを作り上げる。それらは心地よく、安心を与え、心の支えになるものだ。しかし何年も一緒に暮らしていると、不思議なことにこれらは異なって見えてくる。習慣は退屈なものになり、ぼやけた日常には活気がなく、息苦しく感じることさえある。でも自分を責めたり、あきらめたり、愛の終りだと嘆く必要はない。神経科学の教授でありカップルセラピストでもあるオロール・マレ=キャラスさんによれば、これは普通に起きることだ。カップルが長い間一緒にいると「2人の関係以外のことに関心が向くからです。多くの場合、キャリアだったり、趣味だったりします」。結果どうなるかというと、相手がいることが当たり前になり、努力をしなくなってしまう。「寝そべるためのソファと同じように、カップルが休息の場でしかなくなってしまうのです」。とセックス・セラピストであり「La créativité érotique dans le couple(カップルの間にエロチックな創造性を生み出すには)」 (1)の著者であるキャピュシーヌ・モローさんはこう説明した。2人の関係が固まってしまうのを避け、動きを吹き込むための手がかりを専門家に示してもらおう。
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話す
セックス・セラピストのキャピュシーヌ・モローさんは誤った思い込みに気をつけるようアドバイスする。心を頑なにし、息苦しくさせてしまうものもあるからだ。「カップルの“あるべき姿”を美化したり、言わなくても相手は分かってくれる、お互い理解し合っていると思い込んだりするのをやめましょう」。話し合うことはとても大切だ。カップルの片方だけが新しいことを必要としている場合も多い。「自分が感じていることを説明し、アイディアを提案してみたりしてはどうでしょう。何かが起きるのを待っていただけでは、落胆してしまう可能性は大きいです。“私たちの間にはクリエイティビティがない”と責めるより、“あなたと一緒に新しいことがしたいの”と自分の要求をはっきり伝えましょう」。要は“非難する“ではなく“誘う”ことだ。
このような会話をするのは難しい場合もある。相手を傷つけてしまう可能性があるし、感情的な問題に発展してしまう可能性も大きい。変化が欲しいという要求は、私(相手)が満足していないことを意味しているのか? 楽に会話ができるためには普段からコミュニケーションを怠らず、話をポジティブな方向に持っていける習慣を作ることをキャピュシーヌ・モローさんは勧める。「何が良いのか言葉で伝えることに慣れているほど、相手を傷付けずに変化を提案できます。普段から、日常会話の中で2人の関係について話し合えているといいですね。一般的な話題の一つとして」
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“初めての体験”を再び
ソアジグ・キャステルネラク(2)さんはこう確信している。「付き合いたての頃、“初めて一緒に○○をした”は記念として残ります。だから何年も一緒に過ごした後でも、同じ経験を一緒にするべきです」。カップルとしての歴史は2人だけで経験したものによって刻まれるもので、子どもや仕事で成したことは含まれない。カップルのコミュニケーションが向上し、恋愛関係が長続きするための手助けをする書き込み式のノート、Save Your Love Dateというコンセプトのクリエイターでもあるキャステルネラクさんは、お互いを再発見することで関係をリフレッシュできると言う。「新しいことや驚きを伴うことを一緒に体験すると、相手は1年前、10年前に自分の前にいた人とはずいぶんと変わって見えることに気付きます」。例えば、一緒に野宿し星空に感激する、ダンスレッスンに行ってみる、見知らぬ土地に2人だけで旅行してみる。行ったことのないレストランに2人で出かけるだけでもいいとキャステルネラクさんは言う。
知らないことを2人で開拓することによって、カップルはそれぞれがより豊かに成長する場となる。反対に「クリエイティビティのないカップルには互いをつぶし合ったり、閉じ込めてしまったりする傾向があります」とキャピュシーヌ・モローさんは忠告する。
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余白を残す
クリエイティビティを刺激するには、空っぽの時間や退屈な時間が必要だ。つまり2人で過ごす時間の内容をコントロールする必要はない。「始まる前から想像してしまうと予測する能力が働いてしまい、“今この瞬間”を楽しむことが疎かになってしまいます」とキャピュシーヌ・モローさんは言う。そのため “空”の時間を予定に入れることをカップルに勧める。何をするかを決めず、そこから生まれるものを観察してみるのだ。例えば平日に半日や、週末にそのような空白の時間を取ってみるとよいだろう。
自分だけの空間を作る
時には離れていた方が、再会した時に相手に対する気持ちが増すことがある。「カップル以外の空間で、1人で運動をしたり、展覧会に行ったり読書をしたり、友人と会ったりする。これらの活動によって話題が広がります。要は、相手がその人自身でいられるようにしてあげれば、クリエイティブでありやすくなります」とキャピュシーヌ・モローさんは説明する。
その後、自分が好きなアクティビティをパートナーと一緒にしてみたり、相手が好きなことに自分が挑戦してみたりすることによって、お互いの世界を見せ合うことができる。
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もう一度相手のことを思いやる
クリエイティビティは誰もが生まれ持っているわけではないし、カップルをもう一度活性化させるアイディアを見つけるのも簡単なことではない。そのため、ソアジグ・キャステルネラクさんはランニングしていたり、お風呂に入っていたり、独りでいる時に考えることが大事だと言う。特に相手のことを考えることが大切だと強調する。もう一度、相手のことをよく考えてみるのだ。「彼が好きなものは何か。彼は何を話題にするか。昔から話している事柄。最近の話題。どんなことをするのが好きなのか。相手について考えを巡らせてみましょう。周りにいるカップルからヒントを得てもいいですね。どのカップルのどんなところが好きか、キラキラしていると思うか、などです」
ソアジグ・キャステルネラクさんによると実際には、どんなことでもいいとのことだ。「カップルの間には3つの要素が必要です。何が待ち受けているか分からないドキドキ感(相手に何を予定しているか明かさないこと)、欲望(2人で行うアクティビティに対して好奇心をかき立てる)、そして熱意です」
それぞれ交代で企画を立てるのもいい。「例えば、1カ月おきにデート担当になる。そうすれば3つの要素(ドキドキ、欲望、熱意)が揃います。どんなことが予定されているのか、いつそれが起きるのか相手は分からないからです」
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もう一度相手に触れてみる
性生活に新たな風を吹き込むのは、必ずしも普段と違うことを試すことではない。倦怠期にスワッピングを試してみるなんて、あまりにも安易な考えだ。まずは自分と相手の身体を再発見することから初めてみよう。日常的に愛情表現をすることはその準備段階になり得る。「優しく触れたり、キスをしたり、花束を贈ったり、相手の好きな料理を作ったり……これらの思いやりが、相手を求めているという気持ちを伝えることになります」と臨床心理学者であり性科学者のキャロリーヌ・ルルーさんは強調する。
触れ合う場合、必ずしも「最後まで」行く必要はない。「一緒にお風呂に入ったり、マッサージをしたりと、最終的にセックスをしなくても官能的な時間を過ごすことはできます。こうすることによって肉体的クリエイティビティが増します」とキャプシーヌ・モローさんは言う。ここでも、相手が新鮮さを求めていることを受け入れ、そのことを理解するためのコミュニケーションが大事だ。そして的外れなことをしないためにも、相手の希望や欲望についてアップデートし続けることも怠たらないようにしよう。
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クリエイティビティとオリジナリティを混同しないこと
カップルにクリエイティビティを吹き込むために、奇想天外なアイディアを取り入れなければならない訳ではない。「日常的なことでいいのです。一緒に料理を作っていて楽しいと感じるなら、それはすでにクリエイティブなことを2人で行っている証です。重要なのは、いま共に居ることの自覚、そして相手を思いやることです」
同様に、世界の果てまで行く航空券を買う必要もない。家の周りを散歩したり、寝る前にお互いの身体に触れ合う儀式を行ったり、日中にメッセージを送り合ったりするだけで十分なのだ。要はパートナーのために時間を割くこと。付き合い始めた頃のように。
(1) La créativité érotique dans le couple, de Capucine Moreau, aux Éd. La Musardine, 206 p., 17€. Un carnet pratique, Cahier d'exploration érotique, est paru le 22 septembre 2022, 12 euros.
(2) Save Your Love Date : 12 rendez-vous pour booster votre couple, de Soazig Castelnérac, disponible sur le site saveyourlovedate.fr, 52 euros les deux carnets.
Soazig Castelnérac est également l'auteure de Viens on s'aime, notre carnet de couple, paru le 5 octobre 2022, (Éd. Albin Michel), 192 p., 16, 90 euros.
Elle co-anime le podcast Au cœur du couple, avec la psychologue Marylise Richard.
text: Lena Couffin(madame.lefigaro.fr) translation: Hana Okazaki, Hide Okazaki