セックスの喜びについて、知っておくべき6つのこと。

セックスと性の喜びについては、肝心な情報が男性のアンテナをすり抜けていることが多く、女性たちは呆れるばかり。認識不足を少しでも解消するために、フランスのセックスセラピストが真相を明らかにする。

女性に性的快感をもたす方法を知りたければ、女性にきくのが一番。photography: Getty Images

2017年に発表されたアメリカの調査によると、異性愛男性の95%は、多くの場合、あるいは必ず、性交時にオーガズムを経験しているという。ところが異性愛女性ではわずか65%。これは「オーガズム・ギャップ」と呼ばれる、男女間の性的快感のズレ。溝と言ってもいいかもしれない。その原因のひとつは、女性の喜びについての男性側の認識不足だ。その証拠に同じ調査では、多くの場合、あるいは必ず、性交時にオーガズムを経験すると回答したレズビアン女性は86%に上っている。

男女間のこの悲しい性的不均衡を是正すべく、専門家に解説してもらおう。インスタグラムOrgasme et moi開設者でソルボンヌ大学で教鞭を執る、セックスセラピストで性の健康インストラクターでもあるシャルリーヌ・ヴェルモンに、女性の快感について男性たちが知るべき大切な情報を挙げてもらった。

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気まずさの中に喜びはない。

2020年にYouGovが実施したアンケートによると、自分の身体にコンプレックスを持っている女性は67%。なかでもコンプレックスが強いのは35～44歳の女性たちだ（82%）。「女性たちは自分の性器に引け目や恥ずかしさを感じています」とヴェルモンは言う。だが「気まずさの中に喜びはないものです」とセックスセラピストは言う。

このことわざを裏付けるのは、2016年にアダム・サフロンがアメリカで行なった神経科学の研究結果。オーガズムは自分自身に対するジャッジを司る脳の領域が「オフになっている」ことに直接関連しているというものだ。この研究によれば、女性は男性に比べてこの領域をオフにすることがかなり苦手なのだという。ゆえに、パートナーが気持ちを解放できるように、男性は遠慮なくパートナー自身、そして彼女の性器を褒めるべき。「性器が不格好だとか、味や匂いが変だといったことを気にしなくなれば、女性は肩の力を抜いて、喜びを感じられるようになります」とヴェルモンは説明する。「性器はひとつとして同じではなく、非対称で、小陰唇が大陰唇からはみ出していたり、体毛が生えていても、それは普通のことです」

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ペニスはオーガズムに不可欠ではない。

「挿入には人を惹きつけるものがすべてそろっている。はめるという非常に機能的な動作はブロック遊びを連想させる。好まれるのは当然だ」と、有名なマニフェスト『挿入の彼方に』で、マルタン・パージュはこのように書いている。“当然”かもしれないが、女性の快感の観点ではさほど効果的とはいえない。フィンランドのオスモ・コントゥラ教授の監修のもとに2016年に実施されたFinsex調査がそれを証明している。

この調査によれば、ヴァギナへの挿入のみでオーガズムを得る女性はわずか6%。クリトリスへの刺激でオーガズムを得ている女性は34%。挿入とクリトリスへの刺激がセットになるとかなり効果的で、54%の女性が、二重の刺激によってオーガズムを得ると答えている。というわけで「ペニスのことは忘れましょう。ペニスは万能ではありません」とヴェルモン。「もしペニスがオーガズムに不可欠であれば、すでに知られているはずです」。また、フランス人女性の20%が挿入時に痛みを感じる性交疼痛症を抱えていることも、ヴェルモンは指摘する。したがって、彼女は膣内部への刺激にこだわるより、唇や舌、指を使って外陰部を刺激することをすすめている。「やり方は無数にあります。同時に複数のゾーンを刺激してもいいのです」

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全身が性感帯

挿入の有効性が相対的なものとわかったら、あとは何が残っている？ それは、ほかのすべて！「“生殖”を重視するセックス観のもとに育った私たちは、挿入は快感を得るための道具のひとつにすぎないことを忘れています。挿入は快感に至るための道筋のひとつでしかなく、実際にはほかにもたくさんの道があるということを」とヴェルモンは説明する。

挿入というプリズムだけを通して性交渉について考えるのをやめると、もはや性器だけではなく全身が快感の領域となる。「身体のあらゆる部位が性感帯となる可能性を秘めています」とセックスセラピストは言う。「乳首、首、耳、口、足、あるいは膝の裏でも……。人それぞれですから、どこが感じるか相手にきけばいいのです」。その意味で、「前戯」という言葉は忘れてしまおう。「この言葉はセックスに本物と偽物があるというイメージを与えます。まるでオーガズムに至るための行為、つまり挿入に移行する前の前置きであるかのように」。先ほど確認したように、これは間違い。「実際には、すべてがれっきとしたセックスなのです。相互にマスターベーションをしたり、一緒に並んでマスターベーションをすることも、もちろん」

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セックストイを活用する。

確かに、口や舌、10本の指でパートナーに喜びを与えることはできる。しかし、素晴らしい活躍をするとはいえ、そこには限界もある。乗り越えるための手段として、セックストイがある。「セックスは何がなんでも“自然な形で”しなければならないという思考ブロックを解除する必要があります」とヴェルモンは語気を強める。「私たちは視力の補正に眼鏡を使います。セックスの質を向上させるために道具を使ってはいけないわけはありません

セックストイは「セックスの別のやり方」であり、快感を追求し一緒に楽しむための機会であると、セックスセラピストは利点を強調する。確かにセックストイはひとりよりふたりで使用されることが多くなってきているようだ。2021年に発表されたフランス世論研究所のアンケートによると、フランス人の46%がパートナーとセックストイを使用したことがあると回答している。それに対し、ひとりで使用したことがあると答えたのは34%だ。その上、2017年に発表されたフランス世論研究所の別のアンケートで明らかになったように、セックストイの活用に関心を示しているのはとくに女性たちだ。この年の調査ではフランス人女性の58%がパートナーとセックストイを使用する気がある、あるいはすでに使用したことがあると回答している。パートナーがいる女性たちに限るとこの数字はさらに増え、75%が「パートナーからセックストイをプレゼントされたら、性戯に刺激を与えるために使用したいと思う」と回答している。

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Gゾーンを見つける。

都市伝説に反して、女性の身体にGスポットはない。その代わりGゾーンは存在する。「Gゾーンは膣口から5cmほどの位置にあります」とヴェルモンは言う。「見つけ方は簡単。人差し指と中指の先を曲げて膣に差し入れてみれば、ほかの部分とわずかに違う感じがするゾーンがあるのがわかります」。クリトリスが勃起しているときならより見つけやすい。「まずは外側を刺激することから始めましょう。クリトリスが勃起すると、Gゾーンの感触がより明確になり、感度も高まるからです。その状態になったら、Gゾーンをさらに刺激するようにするといいでしょう」とセックスセラピストは解説する。陰核亀頭と呼ばれるクリトリスの外側の部位は神経終末が集中しているため、時間をかけて丁寧に扱うこと。「亀頭を刺激することで、快感を与え、オーガズムに導くことも可能です」と専門家は強調する。

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コミュニケーション

堅く守られてきた秘密というには程遠いが、もう一度確認しておきたいことがある。それは、女性に性的快感を与えるすべを知るには、本人に聞くのが一番だということ。「性交渉の前、最中、そして後、いつでもいい。喜びの鍵はコミュニケーションです」とヴェルモンは断言する。

なにより大切なのは、パートナーが何を求めているかを確認することだ。「相手はセックスではなく、ただ触れ合ったり、愛撫されることだけを求めているのかもしれません。とくに自分の喜びのためにパートナーに無理強いをしていないか確かめることは重要です。これは考えている以上によくあることです」。性行為の間も「あらゆる瞬間」がコミュニケーションのタイミングとなり得る。「雰囲気を”壊す”と考えるのはやめたほうがいい」と専門家は強調する。「セックスの最中でも、パートナーにいま行っている行為が好きかどうか、痛くないかどうか、また、もっと喜ばせるにはほかにどんなやり方があるか、躊躇せずに聞くべきです」

痛みを感じるのは「普通」のことではない。相手が痛がったら、やめるべき。セックスの後に、ちょっとしたデブリーフィングをすればなおいい。「とくに、セックスに関しては、到達すべき目的も成果もないということを覚えておきましょう」とヴェルモンは力説する。「大切なのは喜びなのです」