犬と暮らす 私と犬 桐島かれんと桐島はんな、犬と暮らす家族の形。

Lifestyle 2023.06.21

子育ても終わり、多くの動物たちを看取ったいまだからこそ、やっと犬との暮らしを楽しめているような気がする、と話す桐島かれん。写真家の上田義彦と結婚した時、彼が飼っていた犬と生活を始めて、すっかり魅了され、犬派になってしまった、と振り返る。

「私はずっと猫を飼っていて、躾が必要で上下関係が発生する犬は苦手だと思い込んでいた。でも一緒に暮らすと、人の欠点など気にせず、愛を注いでくれる犬のまっすぐさを知りました」

無条件に愛してくれる、犬のまっすぐさが愛おしい。
桐島かれん|セザンヌ

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桐島が代々飼ってきた犬たちには、みんな画家の名前が付けられている。15歳のトイプードル、セザンヌはもう目が見えない。「いまはもう介護の日々。セザンヌが最後の子だと思っていましたが、ダリが来て、賑やかになりました」(かれん)

桐島の次女、はんなは生まれてからずっと動物と一緒で、犬が大好きだ。

「幼い時は、犬の絵を描きながら、100匹の犬と暮らすことが夢でした。毎週末、ペットショップに連れていってもらい、お店のケージの中にいる動物たちを全員連れ出し、うちに連れて帰りたいと思っていました」

はんなは、犬や猫、ウサギやモルモットに囲まれて過ごした少女時代を幸せだったと語る。一方、4人の子育て、それから動物の世話に追われていた母のかれんは、構ってほしい人と動物との暮らしはカオスだった、と笑う。

「その頃は、もう子どもも犬も放任主義。子どもたちにとっては、小さくて弱い生き物を大切にし、人より早く老いて、命が尽きる動物の姿を身近に感じられることは、良かったのだと思う。独立した子どもたちは、いまでも犬が飼いたいと言っているので、あの時間は意味があるものでしたね」

子どもの頃の幸せな時間は、いつも犬が一緒だった。
桐島はんな|ダリ

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はんなが葉山の家に戻ると、ダリは腰が抜けんばかりにお尻を振って喜びのダンスをしてくれる。大歓迎の後は、興奮冷めやらず、庭に出て駆け回る。「私が外出する時のダリの寂しそうな表情を見ると、後ろ髪を引かれます」(はんな)

多くの動物を看取り、家には老犬のトイプードル、セザンヌだけに。以前は、これからはもう夫婦ふたりでのんびり暮らそう、と話していたこともあったとか。そんな中、コロナ禍で夫婦ともに出張が減り、家での時間が増えたのだそう。

「元気に家の中を走り回る犬がいないとやっぱり寂しい。結局、シュナプーの子犬を迎え、ダリと名付けました。ダリと出合い、今更ながら子犬の育児も楽しめました。いまは時間にも気持ちにも余裕があるので、しっかりダリと向き合いながら暮らしています」


犬種本来の性質を理解し、自分に合う犬と暮らすこと。

かれんはさまざまな犬種と生活をともにしてきた。だからこそ自分の生活スタイルや環境と、その犬種が持って生まれた本来の性質のマッチングをしっかり考慮して迎えてほしいと言う。

「元来、プードルやビーグルなど猟犬の役割を与えられている犬種も多い。その特性を知り、性質を理解して、自分と合う犬と暮らすのが理想ですね」

Karen Kirishima
1964年、神奈川県生まれ。学生時代にモデルデビュー。写真家の上田義彦と結婚後、4人の母親に。現在、葉山で犬や植物と暮らしつつ、ファッションブランド「ハウス オブ ロータス」のクリエイティブディレクターも務める。近著に、母・桐島洋子との共著『ペガサスの記憶』(小学館刊)。

Hanna Kirishima
1996年、東京都生まれ。ニューヨークのパーソンズ美術大学を卒業後、イラストデザインや動画制作などを中心に、アートディレクターとして活躍。広告から映像作品まで手がける。現在は日本を拠点に、クリエイティブグループ「Fauve」を主宰する。

*「フィガロジャポン」2023年7月号より抜粋

photography: Hiroki Yumoto, Yoshihiko Ueda text: Tomoko Kawakami

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