パリのマルシェでやってはいけない5つのNG行為とは?
Lifestyle 2023.07.04
商品に触れる、写真を撮る、あちこちでサンプルのつまみ食いをする……マルシェで誰もが犯してしまいそうな行儀の悪い行動をフランス・マルシェ連盟の代表が教えてくれた。
値切る、写真を撮る、商品を触る……誰もが気付かずに犯してしまう無作法な行動。photography: Getty Images
果実、野菜、チーズにお花……。フランスのマルシェは人が集まる生活の場であり、いつ行っても楽しいひと時を過ごせる。美味しそうな食べ物を求めて通路を散策していると、ここは商人たちの仕事場であることをついつい忘れてしまう。フランス・マルシェ連盟の代表モニク・リュバンは、商人にとっては耐えがたい、無礼な行動をリストアップする。これらは誰でも少なくとも一度は犯したことがある行いばかり。そうとは気付かずに……。
熱烈に値切る。
モニク・リュバンにとって値段の交渉はマルシェの文化の不可欠な一部だ。「昔、市場は交渉の場であり、多くの文化ではいまもそうです。フランスのマルシェは売り手も買い手も国際色豊かなので、交渉すること自体はまったく問題ありません」
値切ること自体は歓迎されているが、作法には気を付けたいところ。「私はマルシェで帽子を売っているのですが、常連客や丁寧で感じの良い方と交渉をするのはいつでも楽しいことです。逆にしつこく交渉してくる人や、いきなり『いくら払うから』と頭ごなしに言ってくる人は耐えられないわ」
良い取引をしたいなら頭に入れておくべき交渉術だ。
商品に触れる。
観察して、触って、感じて、交換して……マルシェでの買い物はほぼ肉体的な経験だ。でもコロナ禍以降、多くのことが変わった。「以前はお店の人はばら売りをしていて、客が自分で商品を取って選んでいました。しかしコロナが流行し、客が商品を手に取ることが禁じられました。客が減ってしまうのではないかととても不安に思う商人もいました」
しかし、驚くことに、明らかな利点があった。「商品が傷まなくなり、ロスが減ったのです。ある商人は一日に3かご分の節約ができていると話してくれました。それ以降、多くの商人が事前に小さなかごを準備しておくようになりましたね」
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サンプルを悪用する。
「マルシェはフレンドリーで温厚、ヒューマンな場所です。基本的にはそこにいるすべての人たちが尊重し合っています」。しかし、たまに商人の気前の良さを乱用する客もいる。「ずるをして、自分のかごに後からいちごを一つ二つ足す人もいます。お店の人が怒るのも当然ですよね」と上記の専門家は笑う。
見物人用のサンプルも同様だ。「客が文句を言ったり、商品をけなしたりした挙句、何も買わなかったら反発を買います。すべてはお互いのリスペクトの問題です。お店の人たちは分かち合うことを大切にしているので、好奇心を持った感じの良いお客さんが来たら、喜んでチーズを一切れ分けてくれますよ」とモニク・リュバンは締めくくる。
もぐりの大道商人から買う。
フランスでは、無許可販売人とマルシェの商人との間に大きな衝突が起きている。「海賊版や偽作の販売が原因でさまざまな問題が起きています。時には深刻な衝突に繋がることもあります」
税金をまったく支払っていないため、無許可の販売人は通常よりも大幅に低い価格設定で一部の客を引き付けている。「この現象は特に大都市で広がりつつあり、商人はその影響をこうむっています」。このような「野蛮な商人」は避け、マルシェの常設店から買うようにしよう。
民芸品の作品の写真を撮る。
SNSの時代であるいま、何でも写真を撮る理由になる。「果物も野菜も……とても美しくて、いつも許可を得て写真を撮らせてもらっているわ」。新鮮な野菜をカメラに収めるのは支障はなさそうではあるが、手づくりの品々の場合は別だ。「例えば洋服の場合、後からネットで同じ物をより安く買うために写真を撮ったり、もっとひどいのは、その商品の偽造品を作ろうとしたり。当然ながら嫌な顔をされます。その作品が作家のオリジナルであればなおさらね」とモニク・リュバンは説明する。
彼女曰く、スマホを取り出す前にお店の人に一言許可を請えばいい話。スマホを取り出した時点でそれなりに目立っているしね。
text: Alexandra Marchand (madame.lefigaro.fr) translation: Hana Okazaki, Hide Okazaki