フランスの伝統菓子「フラン」が2年前から人気復活の理由。

Lifestyle 2023.09.18

フランス人にとって「フラン」はおやつに食べる素朴なお菓子で、これまで流行とは無縁の存在だった。ところが最近、人気のお菓子としてブレイクしている。いったいなぜだろう。

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フランの人気が復活した5つの理由。photography : SUFFIEANN SUATAU / Getty Images/iStockphoto

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シェフたちがこぞって手がけるようになった

ノルマンディー地方の中心的都市のひとつ、カーンに店を構える有名パティシエ、アルバン・ギルメがいみじくも言うように、「フランはみんな大好き」だ。しかしながら少し前まであまり顧みられることのない菓子だった。簡単にミックス粉でも作れるフランは腹持ちがいいおやつにすぎず、サンドイッチだけでは物足りない人の腹を満たす効果ぐらいしかなかった。人気が復活したのは、この菓子を愛するシェフたちのおかげだ。アルバン・ギルメは10年前からフランを広めようと頑張っている。パリのホテル・ド・クリヨンのシェフパティシエ、マチュー・カルランが同ホテル内でやっているケーキショップ「バタフライ」でも、フランはいまや店の主役だ。

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ほっとする味

ホテル・ド・クリヨンのマチュー・カルランは、「コロナが終わりかけた頃からフランが流行るようになりました。不安な体験を経て人々はほっとする、昔ながらの定番を求めているのかもしれません」と見る。一方、アルバン・ギルメは、美味しいフランを食べる喜びを、フランス家庭ではおなじみの手作りおやつ、ライスプディングを食べた時の子ども時代の思い出にたとえる。しかも値段もとても手頃だ。「うちの店でフランは他のケーキのほぼ半分の値段です。厳選した原料を使い、原料の価格も高騰してはいるのですが」とアルバン・ギルメ。たとえば同店のミルフィーユが一個5.20ユーロであるのに対し、フランは一切れ3.20ユーロだ。

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シンプルさがいい

フランの材料はとてもシンプル。だからこそ誰からも愛されるのだろう。アルバン・ギルメによれば「美味しいフランはなによりもまず、最高級のバニラ、全乳、上質の生クリームとバターを使っています。当店はノルマンディー地方にあるので、原料のほとんどは地元産ですね」とのこと。マチュー・カルランも、美味しいフランの見分け方として、きれいな色の柔らかいフィリングの中にバニラの黒い点々がはっきり見え、上の部分は茶色で焦げる手前、グラタンのようにきれいにキャラメリゼされていることを挙げた。

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気軽に食べられる

アルバン・ギルメにとって、フランは "万能"お菓子だ。デザートとして食事の最後に出してもいいし、小腹が空いた時のおやつとしても手でむしゃむしゃ食べてもいい。「自分にとっては軽食代わりのお菓子ですね。ラボでチームと会議しながら食べていますよ」

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バリエーションが豊富

アルバン・ギルメもマチュー・カルランも、フランを折り込みパイ生地(パート・フィユテ)で作る。だが練りパイ生地のパート・ブリゼやパート・シュクレで作る店もある。フィリングも各店各様だ。マチュー・カルランは新鮮な卵にこだわるが、アルバン・ギルメは卵の味が強く出るのを嫌って使わない。アルバン・ギルメの店ではオーソドックスなバニラフランのほか、チョコレートフランも売っている。マチュー・カルランのケーキショップ「バタフライ」ではバニラとチョコレートとヘーゼルナッツ入りマーブルフランが同店売上のトップを占めている。

text : Vanessa Zocchetti (madame.lefigaro.fr)

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