有名パティシエ、セドリック・グロレのブッシュ ド ノエルがSNSで炎上。
Lifestyle 2023.12.06
パリの大人気パティシエのクリスマスケーキは斬新すぎて、ネットユーザーも唖然。
セドリック・グロレのBonhomme des neigesケーキ。https://cedric-grolet.comのスクリーンショット
フランスでクリスマスケーキと言えばやっぱりブッシュドノエル。だからどのケーキ屋も力が入る。セドリック・グロレの今年のケーキは力が入りすぎたのかどうか、とにかくネットでは不思議がる人、からかう人が続出した。事の発端はジャーナリストのノラ・ブアズーニによるSNSのX(旧ツイッター)の投稿だった。そこには、スターパティシエの2023年ブッシュ ド ノエルについて、「笑い転げたわ。ここまでぼったくりが極まると、新しい用語を発明しなくっちゃ」とあった。子どもが作ったスノーマンが溶けかかった、と形容できそうなケーキの形状と95ユーロという値段が相まって、ネットではこのコメントがあっという間に拡散した。もっとも95ユーロというのは有名ケーキ店としては妥当な価格だ。
je suis morte de rire. c'est un tel niveau d'arnaque qu'il faudrait inventer un nouveau mot.
-- nora bouazzouni (@norabz) November 27, 2023
(et je sais même pas comment décrire ce truc en ALT) pic.twitter.com/yyyopbepnT
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現代アート?
値段はともかく、ネットユーザーが注目したのはその形状だ。「ううむ、コンセプトとして実に素晴らしいかも。客人に手作りって言って出せば誰も疑わないだろうし(家に4歳児がいればなおさら)」、「スズメバチの大群に襲われたスノーマン、セドリック・フレロン作」等々のコメントが見られた。多くの人がこのケーキの形を魅力的に思えなかったようだが、これはひとつの美的選択で、より現代的でアーティスティックなケーキと捉えられなくもない。
38歳のパティシエは、以前から本物の果物そっくりのケーキなどで有名で、まるで金銀細工のような巧みな作品は何度も高く評価されている。特に権威ある"The World's 50 Best Restaurants(世界のベストレストラン50)"でベストパティシエ2018に輝いた。しかしネットユーザーはそんな経歴に無頓着だ。「味はいいかもしれないが、とにかくこれをよく売る気になるな。値段は非現実的(中略)」というコメントに対し、ノラ・ブアズーニは、「観光客向けよ」と応じた。
シェフの客層を揶揄する声もあった。「グロレのケーキは付加価値税を200%にすればいい。インフルエンサーをちやほやするパティシエからぼったくられる余裕があるのなら、国庫に寄与する余裕もあるだろ」
Go mettre la TVA à 200% sur les gâteaux de Grolet. Si tu as les moyens de te faire arnaquer à ce point juste parce que le pâtissier arrose les influenceurs, tu as les moyens de renflouer les caisses de la nation.
-- Pythakwak (@AvadaPythagore) November 27, 2023
金額に関してはジャーナリストのラファエル・グラブリーをはじめとしてパティシエを擁護する声もある。「どのブッシュ ド ノエルも95ユーロだ。ピエール・エルメは少し安いがそんなに違わない」
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「グロレする」
セドリック・グロレのケーキの美的センスが話題となったのは今回が初めてではない。昨年6月には、へたがついたままの苺のタルトがネットで叩かれた。タルトは6人用で、値段は80ユーロだった。
Bahahahajzkdkdjehsj y'a Anton Ego (François Simon) qui est allé chez Cedric Grolet. Il le massacre froidement à la petite cuillère putzin, quel délice pic.twitter.com/99kDnJAU6k
-- Not Saint Paul (@PaulEtSonMonde) July 8, 2023
この夏、有名な料理評論家のフランソワ・シモンはSNSで動画を公開し、セドリック・グロレの店を評価した。その結論は、「今日は本当にうんざりした。2人で100ユーロ使った。また行くかと聞かれれば答えはノーだ」というもの。いずれにせよ、フェミニスト派メディアのデキュロテは、ジャーナリストのノラ・ブアズーニの「新しい用語」の求めに応じて、ぼったくりの新しい表現として「グロレする」を提案し、この騒動に最後の一撃を与えた。
text: Alexandra Marchand (madame.lefigaro.fr)