体重を減らしたい時に実行してはいけない5つの食事法とは?
Lifestyle 2024.01.05
夜は糖質を摂らない、痩せるためにレモンジュースを飲むなど、広く浸透しているある種の食事法は、時として健康上の問題を引き起こすことがある。2人の栄養学のプロに解説してもらおう。
夜は糖質を摂らない、痩せるためにレモンジュースを飲むなど、広く浸透しているある種の食事法は、時として健康上の問題を引き起こすことがある。photography: Hinterhaus Productions / Getty Images
奇跡のダイエット、奇跡の食べ物等々。SNSやダイエット専門ウェブサイトには、あっという間に痩せる方法だの、元気を取り戻す必殺技などのアドバイスがあふれている。だが口コミで広がるそうした情報には、間違ったものや、時には危険なものまで含まれる。
レモンジュースでダイエット
栄養学者のロランス・プリュメイ(1)は、「レモンでは痩せません」と断言する。柑橘類であるレモンは、ビタミンCの重要な供給源であるだけで、それ以上の効果はない。痩せるという評判が立つのはレモンの酸味のせい。レモンが胃の中で食物の消化を助けるのではないか、というわけだ。
しかし、「口の中で酸っぱいからといって体内でも酸性とは限りません」と、心理栄養学者のディミトリ・ジャックはばっさり。「レモンは酸性ですが、摂取するとアルカリ性になります」。しかも朝、胃を目覚めさせる効果はほかの飲み物と大差ないし、ぬるま湯で割っても特に消化器系が活性化するわけでもない。デトックスレシピのファンには耳が痛いことだろう。
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体重を増やさないために夜、糖質は摂らない
栄養学者のロランスによれば、「夜に糖質を摂っても、少量で野菜と一緒に食べれば害はありませんし、太る要因にもなりません」と言う。「夕食ではソースたっぷりの料理、アルコール、甘いデザートを避けましょう。夜寝ている間はカロリーを消費しないので、余分な脂や糖分は体脂肪に変わります。ですから夜は肉、魚、卵を少々、そこに野菜、パン、乳製品、果物をつけ合わせましょう。それで十分です」
心理栄養学者のディミトリも同意見だし、時代遅れの研究に基づいた根強い「迷信」に過ぎないとさらに手厳しい。日曜の晩御飯にサーモンパスタを食べる習慣のある人には朗報だろう。
もっとも生理学的には、晩御飯は軽めに済ませたほうがいい。理由は簡単、眠っている間はエネルギーを消費せず、最後に食べた食事のカロリーを保持する傾向があるからだ。夜7時以降は軽く食べるほうが安心だ。
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痩せるための水分ダイエット
特に有名なのがキャベツスープダイエットだ。これはダイエット法として良くないどころか、とても危険だ。栄養学者のロランスに言わせると、(タンパク質がほとんどなく)「あまりにも極端で栄養バランスが悪く、痩せにくくなるし悪影響だ」そうだ。「栄養が不足して脂肪と同じくらい筋肉を失い、代謝が落ちてしまいます。体重は上がったり下がったりを繰り返し、ほとんどの場合、最終的には体重増加に繋がります」
水分しか摂取しないので、身体は機能を維持するために脂肪よりも筋肉を分解しはじめる。「これは代謝にとって深刻な事態であり、肥満の要因になりうる」そうだ。
体重を減らしたいのであれば、専門家の指導を受けて食事のバランスを見直し、運動もする。多少時間がかかっても長期的に見ればその方が期待通りの結果が出るはずだ。
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消化を助けるために小さじ1杯の酢を飲む
一見無害に思えるかもしれないが、このダイエット法により、敏感な腸内フローラの働きが阻害される可能性がある。すべての酢が同じように作用するわけではないが、ほとんどの場合、酸が強すぎるため、ほかの食品と別に単独で摂取することはすすめられない。膨満感や痛みの原因となりえるからだ。
消化をよくするためには、「時間をかけて食べ物をよく口の中で咀嚼すること」と心理栄養学者のディミトリは言う。実際、ディミトリは多くの患者に対し、噛むことで食べ物ときちんと向き合い、健康的な食習慣を身につけるよう指導している。「私たちは食べ物を味わうことを忘れがちですが、それはとても大切なことなのです」
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疲労、抜け毛などの対策にサプリメントを飲む
奇跡的な効果を喧伝するサプリメントを急いで買いに走るよりも、日々の食事を見直してはどうだろう。食事バランスを改善する方がはるかに効果的だ。心理栄養学者のディミトリは、「健康トラブルを未然に防ぐためにも、やみくもにサプリメントを摂取することはやめましょう」と忠告する。「いまの時代、バランスよく食べるために時間をかける人は少なくなりましたが、それが健康を維持するための早道なのです。それに手間をかけなくても美味しいものは簡単に作れます。誰にでもできることです」と栄養学者のロランスも言う。
結論は平凡だ。とりわけ食事のように生きるのに必要不可欠なものの場合、奇跡を起こすアドバイスなど存在しない。迷った時には専門家に相談するのが一番だ。
(1) ロランス・プリュメイ博士著『Le grand livre de l'alimentation』Eyrolles出版
text: La Rédaction (madame.lefigaro.fr)