ecojin 柴咲コウが伝える国立公園の魅力と、私たちが自然から享受するもの。

Lifestyle 2024.03.15

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俳優やアーティストとして第一線で活躍し続ける柴咲コウさん。2016年に、持続可能な調和社会の実現に向け「レトロワグラース」を設立、2018年には環境省の環境特別広報大使に任命されました。動画投稿サイトの「レトロワch.」では、日本各地にある国立公園の魅力を自発的に伝え続けています。このような活動を始めたきっかけとともに、自然保護・環境保全に対する考え方をお聞きします。

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人の営みまで内包する国立公園は、自然との共生が大きなテーマに。

環境省の環境特別広報大使に就任後、日本にはたくさんの国立公園があることを知り、興味を持ち始めたという柴咲さん。前回のエコジン・インタビューでは「国立公園を訪れるなら、まずは温泉から調べていきたい」と語っていました。ご自身は気に入ったところを何度も訪れて「愛でる」タイプだと話しますが、最近はなるべく行ったことのないところに行きたい、という思いも芽生えているそうです。

「温泉旅行に行きたいと思う時は、その土地の文化を感じたいというきっかけがあります。せっかくならあちこち見て回りたいし、どういう成り立ちなのか、自然環境に対してどんな捉え方をしていて、どんな取り組みをしている街なのかと、いろいろと知りたくなります。だから初めて訪れた場所では、たくさんの気付きがあるんです」

動画投稿サイトのご自身のチャンネルでは、日本各地にある国立公園の魅力を発信する「sharing trip」を連載。国立公園をより身近に感じてもらうことをコンセプトに制作しています。

「国立公園というだけで、何となくかしこまったような固いイメージがありますよね。でもそこには人の営みがあったり、温泉があったり、アクティビティを楽しめたりと、内包されている魅力がたくさんあります。私自身も、実はよく行っていた温泉地が国立公園の一部だとわかると、一気に親近感が湧きました。より身近なところからアプローチして、『行ってみたい』と感じてもらえたらいいなと思ったのが、動画制作を始めたきっかけです」

実際に数々の国立公園を巡ってみて感じたのは、その広さ。

「現地に行って初めて大きさを知ることができました。その界隈に行っても『どこまでが国立公園なの?』と全体像がつかめないほどの規模感なんですよね。国立公園は山まで含んでいるところが多いですが、そのようなところでは高山植物を見るのも楽しみのひとつです。小さい花がチョンチョンと咲いていて、その景色が謙虚で日本人らしいな、と優しい気持ちになります」

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阿蘇くじゅう国立公園では、中岳河口付近を訪れたり、草原で乗馬を楽しんだりしたそうです。

湧き出る温泉やその土地に根付いている植物など、自然物を守ることはもちろん、国立公園に対する理解を深めていくこと、広めていくこと自体が環境保全に繋がると言います。

「少し利己的な考え方かもしれませんが、温泉やアクティビティなど、自分たちが楽しめるものを享受しているとわかれば『守りたい』という気持ちになると思うので、自然と人とのつながりを広めていくことが大前提だと感じています。私たちは自然からもらいっぱなしなんですよね。でも、環境が変われば自然の恩恵を受けられなくなってしまう可能性がある。私は冬になるとスキーを楽しみますが、気候変動によって雪が積もらなくなったり、大好きな温泉が枯渇してしまったりすることも、今後あるかもしれません。結局は自分たちの身に降りかかることだと認識することが大事。そうすれば自分ごと化できて、環境保全に対しても関心を持ってもらえるのではないでしょうか」

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北海道暮らしで感じた「生きる楽しさ」。野菜づくりは健康や美にも繋がる。

現在、柴咲さんは北海道にも拠点を持ち生活しています。北海道での暮らしを楽しむようになってから、心や身体に変化はあったのでしょうか。

「都市型の生活は時間に縛られているような状態ですが、北海道での暮らしはそこから解放される感覚がありました。本当に生きていることが楽しく思えるんですよ。生活を愛するということは自分を愛でることだし、自分が食べたいものを食べて、寝床も快適にして、どうやったら気持ちよく眠れるかを追求する。それこそが豊かな暮らしだと思うので、衣食住にまつわることばかり考えています」

北海道で新たに始めたのが畑仕事。土づくりから行っていて、自分が食べたい野菜を丁寧に育てています。

「畑を始めたのは、純粋に興味があったからです。口に入るものを育てるわけですから、自分の健康や美にも繋がるだろうという思いもありました。『持続可能な環境づくり』といった大義を掲げるまでいかなくても、『野菜を育てて健康に』という気持ちで環境にやさしい循環を楽しくできたら、なんて美しいんだろうと思います」

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柴咲さんの畑で育った空心菜や胡瓜などを、ご自身で調理。

野菜づくりで天敵となるのが鹿やイノシシ、鳥などの野生動物。柴咲さんの畑も影響を受けたそうです。

「生態系の乱れや猟師不足など、いろいろな要因が重なって野生の鹿が増えているようです。農作物を作られている方も被害に遭いやすいと思うし、間接的に自分たちの日常が脅かされることもあるだろうから他人事ではないですね」

北海道は野生動物との遭遇率が高く、柴咲さんも車を運転中に鹿が目の前を横切り、肝を冷やしたことがあると言います。

「野生動物はただかわいいだけではなく、接触することもあります。だからある程度の距離が必要だと痛感しました。かわいいと思ってむやみやたらに近づいてはいけない。やはりそういうことは実際に体験してみないとわからないものですね」

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小さなことでも生活に取り入れて、楽しみながら続けることで心が豊かに。

都市型の生活では、どのようなことが環境保全につながるのかを常に考えている柴咲さん。最近は毎日出る生ゴミを乾燥させて、観葉植物の肥料に活用しています。

「生ゴミ処理機を使っているのですが、生ゴミのカサが減るし、臭くもならない。毎日使うのでキッチンをきれいにリセットできるし、本当に最高です!バナナの皮がとても小さくなるんですよ」

環境への取り組みを話す柴咲さんは、なんだかとても楽しそうです。

「ワクワクに変換できた時が『勝負の時』です。海洋プラスチックの問題も、『若い男の子がプラスチックを吸い取る機械を発明した』と聞いた時、『うわー、すごい!』とワクワクしたので、チャンスが来たと思いました。こういうきっかけひとつで興味を持ってくれる人が一気に増えますから、それが転換期であり、好機だと思います」

ただ、環境問題に対しては、課題が大きすぎてしまうと個人ではどう動いたらいいのかわからなくなってしまうもの。

「私もひとつの大きなことに力を入れているわけではなく、小さなことの積み重ねを念頭に置いて生活しています。小さいことでも継続できれば自分の自信になるし、環境問題を自分ごとと捉えれば生活のクオリティーを上げてくれる要素のひとつになる。それが継続する力にもなると思います」

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すべての原動力は、好奇心。自然から表現力に影響を受けることも。

環境特別広報大使として環境問題を考え、自ら積極的に行動し、ご自身の生活環境も変わっていく中で、歌手や俳優としての表現に何か変化や影響はあるのでしょうか。

「周囲の自然や生き物からインスパイアされるものはたくさんあります。北海道に行って衣食住に専念すると決めても、自然のパワーに触発されて創作意欲が湧いたり、詩が浮かんできたりというのはよくあること。自然に共鳴しているというか、その音や存在を直に感じ、刺激を受けている部分があると思います」

芸能活動も環境への取り組みも豊かな感性で向き合い、多くの人にその思いを届けている柴咲さん。どちらもパワフルに活躍していますが、その原動力はどこからくるのか聞くと、こう即答しました。

「それは、好奇心です。俳優として活動している途中で歌手活動をスタートしたのも、会社をつくったのも自分がやってみたかったから。人任せではなく、自分で動いて、つくる側の苦労などを知りたかったからです。個人事業主ではなくひとつの団体をつくることによって、自分ひとりでは成し得ないサポートや協力ができ、手を取り合えば叶えられることも増えていくと思いました」

好奇心を持ってご自身の道を切り拓いてきた柴咲さんは、どのような人がエコジン(エコロジー+人)だと考えているのでしょうか。

「たとえば、北海道で出会った林業従事者や猟師の方たちは、まさにエコジンではないでしょうか。自然相手の仕事をしている人は『物の理(ことわり)』をよく知っていらっしゃるんです。重んじている理を学びながら、生活の中に取り入れて生きることができる人、という感じがします。そういう人たちからはいろいろな意見を聞きたいと思うし、学んでいかなければいけないと思います」

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柴咲コウ(しばさき こう)
8月5日生まれ、東京都出身。16歳より芸能活動を始め、映画『GO』(2001)で日本アカデミー賞最優秀助演女優賞などを多数受賞。2017年にはNHK大河ドラマ『おんな城主 直虎』で主役を演じたほか『GOOD LUCK!!』、『オレンジデイズ』(TBS)、『Dr.コトー診療所』、『ガリレオ』 (フジテレビ)など、人気ドラマに多数出演。旅とサステナブルをコンセプトにしたファッションブランド『ミヴァコンス』などのプロデュースも。

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環境省発信のエコ・マガジン「ecojin(エコジン)」。環境のことを考える人がひとりでも多くなることを目指し、脱炭素、気候変動、リサイクル・省資源、食品ロス、自然環境、生物多様性、復興などをテーマにしたコンテンツや、エコジン(エコ人)へのインタビュー記事を掲載している。

www.env.go.jp/guide/info/ecojin/index.html

photography: Tomoaki Makino text: Etsuko Nakano hair&makeup: Mayumi Watanabe(GON.) styling: Kei Shibata (tsujimanagement) collaboration: HOUGA、PRMAL、Rieuk

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