オレンジジュースを朝に飲まないほうがいい、ふたつの理由。
Lifestyle 2024.07.31
朝食にオレンジジュースを飲む人は多いだろう。おいしいし、なんだかシャキッとする。しかし、本当に健康にいいのだろうか?
血糖値の上昇と疲労感
栄養学に関するYouTubeチャンネルを運営しているフランスの栄養士、イザベル・デカンに言わせれば答えはズバリ、ノーだ。オレンジジュースの問題点はふたつ。糖分が含まれていることと、液体であることだ。ジュース好きの人をがっかりさせるかもしれないが、人間の身体は朝から糖分を急速に吸収するようにできていない。朝食では「卵やチーズ、バター等のタンパク質を摂取するのが理想的です。なぜなら一日のスタートにあたり、集中力とエネルギーをもたらす神経伝達物質のドーパミンが必要だからです」とイザベル・デカンは言う。「糖分を摂ると、ドーパミンのレセプターに作用し、ドーパミンの働きを妨げてしまいます」
オレンジジュースを飲むと、血糖値が急激に上昇する。「すると膵臓からインスリンが大量に分泌されます。インスリンとは血中ブドウ糖を細胞に取り込むのを助けるホルモンです。それにより血糖値は急激に下がります。これが反応性低血糖と呼ばれるものです」。その結果どうなるかと言えば、疲労感が生じ、集中力がなくなる。血糖値が乱高下すると一日中食欲に悩まされ、昼食や夕食を食べすぎてしまう。
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オレンジを丸ごと食べる
血糖値が急速に上がるのは、果物を果汁の形で摂取しているからだ。糖分自体はオレンジの果実でも果汁でもそれほど変わらない。100gの果実に含まれる糖の量は7.9g、同量の果汁は9.6gだ。それなのになぜジュースが良くないかと言えば、「果汁の場合、果実の繊維質が除かれています。ところが血糖値の急激な上昇を抑えてくれるのは繊維質なのです。つまり、果汁には水分と糖分とビタミンしかないのです」とイザベル・デカンは指摘した。たとえば空腹時血糖値が100mg/dLで、オレンジを丸ごと食べると115mg/dLまで上昇、しかしジュースを飲むと150mg/dLまで跳ね上がったりする。「果物を丸ごと食べれば、穏やかに徐々にエネルギーとなるのです」とイザベル・デカンは言う。フランスの国民健康栄養プログラム(PNNS)がジュースを「果物」のカテゴリーから「甘味製品」のカテゴリーに格下げしたのは、ちゃんとした理由があってのことだったのだ。
要するに、オレンジジュースはあくまでも「嗜好」品であって、「健康に必要な」食品ではない。だから控えめに飲むべきなのだ。とりわけ市販のジュースは加糖されていたり添加物が含まれていたりするため、なるべく控えよう。朝食にオレンジが欲しいなら、果実をそのまま食べたほうがいい。それが果物のメリットをフルに享受する唯一の方法だ。「食品の組成は全体として有益なのです。つまり、含まれている栄養素やビタミン、ミネラルを合計してもあまり意味がありません。大事なのはこうした要素が相互作用することです。これがフードマトリクスの考え方です」とイザベル・デカン。しかも果物を食べると咀嚼するので飲み込むまで時間がかかる。こうして糖分はゆっくりと胃に届く。
それでも朝食においしいフレッシュドリンクが欲しい人に、イザベル・デカンがすすめるのは、たとえばミントの葉を加えたレモン水。これを常温で飲む。しかも「水にレモンやリンゴ酢を加えた少し酸味のある飲料は、朝食の血糖値上昇を25%抑える効果もあります」とのこと。一石二鳥というわけだ。
text: Ophélie Ostermann (madame.lefigaro.fr)