泳げない子どもに対する施策が話題に! 精神科医が語る、不安を乗り越えるヒント。
Lifestyle 2025.10.19
子どもがプールや海辺を怖がる? 精神科医が不安を乗り越えるコツを丁寧に説明する。
photography : Catherine Falls Commercial / Getty Images
夏休み中、海や湖、川、プールは定番の遊び場だろう。だが、水への恐怖心を持つ子供たちにとっては、水辺を楽しむことは難しい。彼らにとって、水の深さや波の動き、足がつかない状態への恐れは不快感につながる。
精神科医で作家のヴィヴィアンヌ・コヴェス=マスフェティは、水に対する不安と水恐怖症を区別する。「恐怖にも種類があります。水をあまり好きではない子どもたちのなかには、少しの助けがあれば水に近づくことができる子もいます。一方、水を恐怖として感じる子どもたちもいます。それはむしろ恐怖症に近いものです」。どちらのパターンであっても、大切なことは忍耐と思いやりだと彼女は言う。
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子どもの恐怖心を尊重する
子どもが水の中で無理なく快適に過ごせるようにするには、まずは子どもと話し合い、恐怖心の原因を理解することから始めよう。
「無理やり水に入れることは良い解決策ではありません」とコヴェス=マスフェティは言う。子どもが安心できる方法を見つけるためには、まずは話し合いが必要だ。
「子どもの恐怖心を尊重し、少しずつ取り組む必要があります。水への恐怖は不安感と関連しているため、リラックスする手助けをすることが良いスタートになるはずです」。彼女によると、不安を和らげるためのキーワードは「段階的に」だという。
安心できる環境を作る
子どもは安心感を持てば、一歩踏み出すだろう。コヴェス=マスフェティは、子どもの水への恐怖は必ずしもトラウマによって引き起こされるわけではないと説明する。
ときには、親が子どもに恐怖を植え付けることもある。「親が『落ちないようにね、水辺に気をつけて、溺れるかもよ』などと繰り返し言うことで、恐怖心の克服がより難しくなります」。不安を煽る言葉ではなく、安心できる言葉をかけることが大切だ。浮き輪や腕輪を着けるよう促すことで、安全に水辺で遊ぶことができる。「周囲の人の態度が大きな助けになるのです」
水と楽しみを結びつける
遊びは不安を和らげる最良の方法だ。歌を歌う、おもちゃを浮かべる、優しく水飛沫をあげる、泡を作る、水面に映る自分を見る、などを例としてコヴェス=マスフェティは挙げる。
これらを実践するために海まで行く必要はない。プールやお風呂なら一年中遊べる。そして、危険だという思いを和らげることができる。
泳ぎを習う
2022〜23年に実施された調査によると、中学に入学する生徒の3分の1は泳げないという。さらに、そのうちの17%は中学入学後も、学年末になっても泳げないままだ。しかし、水中での正しい反射神経を持つことは、パニックの予防にもなる。
彼女は水泳教室の受講を勧める。3歳から通うことができ、一人で水に入る方法や、水の中で移動する方法、助けなしに水から出る方法などを学ぶ。専門家の指導のもとで、子どもたちはゆっくり自信をつけることができるだろう。
カウンセラーに相談する
恐怖で泣いたり、パニック発作を起こす場合、それは水恐怖症に発展している可能性があるとコヴェス=マスフェティは言う。そうなると、カウンセリングが推奨される。
「この恐怖症は単独で現れることは少なく、水を恐れる人は、動物や注射、血液も怖がる傾向があります。一般的な恐怖症の行動を示すでしょう」。カウンセリングでは、度を超えた反応を制御する手段を与えてくれる。「水への恐怖は軽いものではありません。ですが、深刻な病気でもありません。数回の心理療法で解決できる場合もあります」
From madameFIGARO.fr
この記事は、madameFIGARO.frで掲載されたものの翻訳版です。データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです。
text: Marie-Thérèse Lawson (madame.lefigaro.fr) translation: Shion Nakagawa