【日本橋】モダンさと懐かしさが交錯する、スタイリッシュな最新スポット3選。
Lifestyle 2025.10.23
江戸の世から続く伝統と古き良き下町のムードを残しながら、都心ならではの洗練された雰囲気も感じさせる日本橋。急速に変化が進む都内でも、ここでは特に街が持つ本来のムードに敬意を払い、より進化した現代的なライフスタイルを提案してくれる場所が続々と増えている。今回は、この夏から秋にかけてオープンしたばかりの、いま注目すべきアドレスをピックアップ。
SOIL Nihonbashi Hotel
ネイバーフッドに根ざし、ともに成長する地域密着型ホテル。

老舗の商店や飲食店が立ち並び、ひとたび路地へ入ればローカルな空気感を色濃く残す日本橋人形町。この地で9月にローンチしたのが、研ぎ澄まされた建築と自然の息づかいを伝える植物たちが響き合う、14室のスモールホテルだ。実はこれらの植物は、近隣の住民が路地裏で育てたものを株分けし譲り受ける形で調達。この"地域との繋がり"や"おすそわけ"の精神を軸としながら、アットホームな居心地のよさと高いデザイン性を見事に共存させた空間が誕生した。

各部屋には、こちらも近隣や社内メンバーの実家などから集めたカセットテープとプレイヤーが完備され、アナログ音源の楽しさや手間のかかる愛おしさを滞在体験の一部として伝える仕掛けに。また、部屋のドアノブにはホテルの立ち上げメンバーが開業前に新潟県の糸魚川へ赴いて集めてきた石材が採用されていたり、館内の調度品にスタッフ総出で手ずからヤスリをかけた経緯があったりと、そこかしこに"手づくり"の温かみが感じられるのもこの宿泊施設の特徴のひとつ。1Fのフロントスペース横で営業する「Pizza Tane(ピッツァ タネ)」でも、そうした精神がインテリアや店内デザインに踏襲されている。

こちらは近隣のベーカリーカフェである「Parklet Bakery(パークレット ベーカリー)」で育てられてきた酵母を受け継ぎ、つくりあげたピザをメインに提供。旬の野菜をたっぷりと使い店内の窯で焼きあげる、ふっくらモチモチの生地を主役にした料理は、ディナーはもちろんホテル宿泊者のためのモーニングとしての役割も。
上述のパークレット ベーカリーをはじめ、近くのワインスタンド「timsum(ティムサム)」やコワーキングスペース「SOIL Nihonbashi」なども運営。"分散型ローカル複合施設"として確立させていこうとしている点も新鮮だ。スタッフや地域の人々とのやりとりや周辺の環境を味わいつくし、親密な繋がりを感じてもらうための要素が、数多くの場面にちりばめられている。ホテルという存在を通して地域そのものの魅力を伝え盛り上げていこうとするエネルギーを、ぜひ体験してみてほしい。
ソイル ニホンバシ ホテル
東京都中央区日本橋人形町3-2-4
03-6231-0945
https://soilis.co/nihonbashi
Pizza Tane
ピッツァ タネ
営)8:00〜10:30 L.O.、11:30〜14:30 L.O.、15:00〜17:00(ドリンクのみ)、18:00〜21:00 L.O.
不定休
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CASICA KABUTOCHO
東京を舞台とした、アジアのクラフトを感じる新拠点。

近年、魅力ある店舗やイベントを通してますます賑わいを見せている日本橋兜町に、さらなる見どころが加わった。「CASICA KABUTOCHO(カシカ カブトチョウ)」は台湾や中国、タイから集めた食器や日用品を扱うショップと、中華圏で親しまれる蒸し料理を中心としたアジアの味覚を提供する「可視化飯店(かしかはんてん)」が合わさり、美食やうつわ、インテリア好きにはたまらない空間に。タイの編みかごからインドの石皿、ミャンマーの漆器に中国の茶器やれんげ......と、個性豊かなアジアの文化がひとところに集結している。さらにそれらが、ローカルな民芸品から工芸作家によるアートまで、多彩なラインナップを取り揃えているのだから見逃せない。

レストランでは、点心や角煮酢豚、土鍋でサーブする麻婆豆腐などをはじめ、サンバルやナンプラーをアクセントとして用いたり、トムヤムクンやラクサを再解釈したりしたアジアの料理を提供。それらに合わせるドリンクには、ナチュールワインや紹興酒カクテル、アジアでおなじみの漢方シロップである酸梅湯(さんめいたん)を使用したドリンクから台湾茶までを選ぶことができ、味わいにいっそう奥行きが。

またランチやディナーに加え、台湾茶を中心とした喫茶を楽しめる時間帯も。台湾の茶人であるシェ・シャオマン氏が指導と監修をおこなって生み出した、美しい茶器で4種のお茶と茶菓子をいただける本格的なティーセレモニーが振る舞われる。上質なうつわに触れて丁寧にお茶を入れ、茶葉の芳しい香りと味わいをじっくりと楽しむ時間は、忙しない日常の中で深い呼吸を取り戻す機会を与えてくれそう。
カシカ カブトチョウ
東京都中央区日本橋兜町5-1 兜町第1平和ビル1F
03-6231-1127
営)11:00〜19:00
休)月曜、第2・第4火曜
https://casica.tokyo
可視化飯店
かしかはんてん
03-6231-1128
営)11:00〜13:15 L.O.、14:00〜15:30 L.O.、18:00〜21:00 L.O.
休)月、第2・4火耀
https://casica.tokyo/pages/cacica_hanten
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GLITCH TOKYO
土地の持つ物語を繋ぎ、日本ならではの喫茶文化を世界へ。

三越前駅からほど近い日本橋本町には、この8月末に和のテイストを洒脱に取り入れたコーヒーショップがお目見え。シングルオリジンのスペシャルティコーヒーにこだわり、上質なコーヒー豆が産地ごとに見せる個性を伝える神保町発祥の人気店が、日本橋に新たな支店を設けた。土地が持つ歴史に惹かれ、"この場から日本ならではのコーヒーカルチャーを発信していきたい"という思いでつくられたという店舗は、日本に古くから伝わる欄間や薬箪笥などの意匠を取り入れた重厚感のある内装が、こだわりの焙煎機やレコードから流れるジャズを響かせるための大きなスピーカー、展示されているカフェレーサースタイルのバイクと見事に共存しているのが印象的。世界から集められた最高峰のコーヒーを、日本橋ならではの空間で満喫しに訪れてみて。
editing: Misaki Yamashita




