パリ10区、知っておきたい、
食のアドレス2つ。
Gourmet 2009.09.30
大村真理子の今週のPARIS
2007年に公開されたクリストフ・オノレ監督の映画「レ・シャンソン・ダムール」。男1人と女2人が愛をめぐって右往左往するのは、レピュブリック広場と東駅とサン・ドゥ二門が結ぶ10区の三角地帯だった。その辺り、カタカナ職業につくボボの若者たちのテリトリーといった様子が、映画を通して感じられた。
その三角地帯の底辺を走るルネ・ブーランジェ通り。ブティック、レストランが立ち並ぶこの通りは、並行するサン・マルタン大通りに比べると、ぐっと細く、どことなく歩行者専用通りといったのどかな風情がある。そこにカラフルなタイル、闘牛のポスター......と、スペイン風につくられたインテリアのタパス・レストラン「ロザリート」が夏前にオープンした。午前7時のオープン。ランチがとれるのはお昼からだが、その後は開店時間中いつでもタパスが食べられる。最近は少し事情が変わったとはいえ、ランチタイムが14時30分まで、あとはディナーの20時までクローズという店がまだま多いパリゆえ、「ロザリート」はとてもうれしい存在だ。
(左)レピュブリック広場から、そう遠くない。赤いテントが目印。(右)気さくな雰囲気のタパス・バー。
ランチタイムは13.5ユーロのセットメニューもあるけれど、やはりタパスを食べなければ。タコ、イカ、野菜の鉄板焼き、イベリコ・ハム、パエリア......。タパスなので1皿のボリュームは小さいけれど、一人よりは二人で行くほうがホット・タパスもコールド・タパスもいろいろ試せる。お供の飲み物は昼ならビールかサングリアで、夜はスペイン・ワインにしようか......。デザートはやっぱりクレーム・カタラン?
(左)手前はハムのクリームコロッケ(クロケット・ジャンボン)2ユーロ、後ろはジャガイモ入りのオムレツ(トルティーヤ・エスパニョラ)4ユーロ。(右)シンプルな野菜のグリル(レギューム・プランチャ)6ユーロ。イカ、タコのプランチャもある。
もう1つは、すごく新しいアドレスではないけれど......。東駅から、少し下ったところなので三角地帯からほんの少し外れるが、アンドレがプロデュースするビストロの「ラ・フィデリテ」が人気を呼んでいる。白い外観はいささか殺風系だが、丸い照明が天井からぶら下がる店内は、昔ながらのビストロを彷彿させる内装。とてもクリーンなので、どことなくNYのフレンチ・ビストロを思わせる、という声が多い。というわけで、気取らず、でも、ちょっと洒落た気分のディナーを!という若いボボやファッション・ピープルで、夜は要予約の混雑である。
(左)地下鉄の東駅あるいはシャトー・ドー駅が最寄駅。(右)昔ながらのパリのビストロといった内装に和む。
昼は界隈のおじさん?という感じの客も混ざっていて、また、別の雰囲気だ。ランチは前菜、メイン、カフェのセットか、メイン、デザート、カフェのセットで15ユーロ。メニューからもオーダーできる。もっとも月曜は市場との関係でオーダーできない品があるので、要注意。昼も夜も、お勧めデザートは、もっちりしたブリオッシュのフレンチトースト(パン・ペルデュ)の塩バターキャラメルソースがけ(7.5ユーロ)。以前はオテル・アムールで見かけたアンドレの姿が、今は、このビストロでも。
(左)ランチメニューは前菜、メイン、カフェで15ユーロ。この日の前菜は、エスカルゴのサラダ(写真)。メインはウサギの煮込み。(右)昼、夜ともア・ラ・カルトは同じ。写真はカジキマグロのラタトゥイユ・ソース 19ユーロ。
(左)ランチメニューはメイン、デザート、カフェでも15ユーロ。当日のデザート(写真はチェリーのパンナコッタ)は単品でもオーダーできる。6ユーロ。(右)いささか素っ気ない白い壁の外観。
どちらの店も観光客相手ではないのが、いい。知っておいて悪くない2つの食のスポットだ。
75010 PARIS
tel 01 42 03 30 16
営) 7時~翌2時
無休
12、rue de la Fidélité
75010 PARIS
tel 01 47 70 19 34
営) 12時~15時、20時~23時30分
休) 日