ハイブリッド和菓子をいただきます。 日常をちょっぴり贅沢にする、モダンに進化した干菓子。

Gourmet 2018.10.03

日持ちする干菓子は、おもたせの有力候補。ルックスよし&味よしの、もらってうれしいモダン干菓子は、日々の暮らしにほどよくなじみ、デイリーユースにぴったり。

天然素材でつくるパステルカラーの干菓子で、暮らしに彩りを。

薄氷本舗 五郎丸屋「T五」

260年の歴史がある富山の銘菓「薄氷」を、現代風にアレンジ。繊細な味の重なりが楽しめるこの薄い干菓子は、ポップなルックスも魅力的。ここぞのおもたせにも喜ばれそう!

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直径5㎝の円い干菓子には、桜×塩味、抹茶×苦味、柚子×酸味、和三盆×甘味、胡麻×滋味をそれぞれに重ねている。贈答用におすすめの木箱入りのT五は、真綿で守られてまるで宝石のよう。T五(24枚/木箱入り)¥3,240

「薄氷」とは、富山特産の新大正米でつくった極薄の煎餅と徳島の和三盆糖をもとに作られる干菓子のこと。口に入れると雪解けのようにすっと融ける、はかなさが特徴の郷土菓子であり、富山という雪深い風土をそのまま表しているかのよう。その「薄氷」を看板菓子とする老舗五郎丸屋の十六代目店主の渡邉克明氏が、江戸時代から続く相伝の技に、現代の解釈を取り入れて生まれたのが「T五」だ。

味覚の基本である、塩味、苦味、酸味、甘味、滋味を表現するべく、採用されたのは国産の桜、京都宇治の石臼引き抹茶、富山産の柚子、阿波の高級和三盆、無農薬栽培の胡麻といった5つの天然素材。それぞれに異なる風味を含ませた蜜状の和三盆を、薄氷に重ね塗りして、乾燥。一枚一枚に手間と時間をかけて、パレットのように色とりどりの干菓子を誕生させた。

一見繊細そうにみえるT五だが、コーティングのおかげで食感はパリっと固く、その意外性もおもしろい。五味五色それぞれの個性を、中の薄氷が舌の上でゆっくりと融けゆく過程までじっくりと堪能したい。

薄氷本舗 五郎丸屋
富山県小矢部市中央町5-5
tel:0766-67-0039
営)8:00~19:00
休)月
www.usugori.co.jp

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旬の野菜と果実を蜜菓子に。季節の移ろいをひと箱に詰めて。

HIGASHIYA「采衣」

冬瓜、しめじ、セロリ、etc……。四季折々の身近な自然の恵みを、蜜漬けにして干菓子に。身体が欲する素材そのままの味わいだから、日々の暮らしにすんなりと溶け込みます。

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味と見た目のバランスにも美意識が見え隠れ。秋の素材は、冬瓜、しめじ、人参、かぼす、セロリ。天然食材だけに不揃いのまま木箱に収まる姿も味わいがある。采衣 ¥3,240

伝統的な日本の美意識を現代に進化させて、日常の中に息づかせたいという信念のもと、新しい価値を持つ和菓子づくりに取り組むHIGASHIYA。伝統の技を基に、和菓子としては珍しい素材にも次々と着手し、常に驚きと感動あるクリエイションで魅了し続けてくれる。特別な日に限らず、日々の暮らしに寄り添いささやかな幸せをもたらすHIGASHIYAは、まさに現代の御菓子司というべき存在だろう。

新作の「采衣(さい)」は、季節ごとの旬の野菜や果実を主役にした蜜菓子だ。素材の味を生かしてじっくりと丁寧に蜜漬けしているだけに、繊細な味わいと同時に、蜜に閉じ込められた素材の芳ばしい香りまで楽しめる逸品である。秋に登場するのは、冬瓜、しめじ、人参、かぼす、セロリ。もちろん、蜜との相性のいい食材を厳選してのラインナップだけれど、きのこがお菓子になるという発想自体にびっくり。そんな常識にとらわれない攻めの姿勢があるからこそ、未体験のおいしさを開拓できるのだろう。見事なまでに、和菓子に進化した野菜や果実は、お茶請けとしてはもちろん、お酒のあてにもちょうどいい。

HIGASHIYA GINZA(ヒガシヤ ギンザ)
東京都中央区銀座1-7-7 ポーラ銀座ビル2F
tel:03-3538-3230
営)11:00~19:00
無休
www.higashiya.com

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ひとつひとつに物語がある、カラフルに彩られた砂糖菓子。

鶴屋吉信 TOKYO MISE「琥珀糖」「有平糖」

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ともにTOKYO MISE限定のパッケージにセットされており、ギフトにも最適。左から、琥珀糖10本入り1箱¥1,080、有平糖5本入り1箱¥540

京都・西陣に本店を構える京菓子の老舗、鶴屋吉信。1803年の創業から代々受け継いだ伝統をただ守るだけでなく、時代に適ったクリエイティブな和菓子づくりにも挑み、和菓子に新しい息吹を吹き込んでいる。2016年には東京・日本橋に新業態の鶴屋吉信 TOKYO MISEを出店。職人が目の前で生菓子をつくるカウンター席「菓遊茶屋」と茶房を併設するモダンな空間で、新しい京菓子のスタイルを発信する。

ショップでは、日本の四季を表現する色とりどりの生菓子や干菓子を扱っているが、涼しげな存在感で目を引くのがこちらのスティックタイプの砂糖菓子2種だ。

透き通ったやわらかな色彩の琥珀糖は、寒天を乾かしてつくる干菓子のこと。氷のようにシャリっと砕けると、中はしっとりとやわらかいゼリー状。はかなげな食感の加減が絶妙だ。フレーバーには5種類のハーブを採用し、ジャスミン、カモミール、ローズ、ミント、ラベンダーを色とりどりのスティックに込めている。口に含むとアロマが一斉に溢れ出す、その驚きたるや! その仕様の美しさや繊細さも含めて、虜になること請け合いだ。

400年以上前にポルトガルから伝わった南蛮菓子に由来する有平糖には、西陣、嵯峨野、祇園、鴨川、宇治と、それぞれに京都の名所をイメージした彩りを加えている。上質な砂糖を煮詰め、手作業で1本ずつ丁寧に仕上げた棒状の飴は、光沢感と明るい色彩が特徴。粘り気が少なくホロリとした口当たりで、お茶席での添え菓子としても重宝しそう。

鶴屋吉信 TOKYO MISE
東京都中央区日本橋室町1-5-5 COREDO室町3-1F
tel:03-3243-0551
営)10:00~21:00(菓遊茶屋と茶房は19:30L.O.)
休)1/1
www.turuya.co.jp/tenpo/tokyomise_top.html

 

photos : TETSUO KITAGAWA, stylisme : MARIKO KOYAMA, texte : ERI ARIMOTO, collaboration : UTUWA

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