名店出身料理長の味で、京の神髄を体感。 おいしくて美しい、京都の仕事を数寄屋建築で味わう。
Gourmet 2019.01.17
カウンター割烹ならではの潔さ、料亭だからこその華やかさ。両者を兼ね備えたこの店は、熟練の技から生まれるお造りが絶品。
コースの山場を彩る、力強くて繊細なお造り。
ぎをん 福志
「カウンター割烹の潔さと料亭の華やかさを楽しんでほしい」と福士店主。樹齢200年のヒノキのカウンター席では、鮮やかな包丁さばきや繊細な盛り付けなど、熟練の技に注目したい。
祇園南側の一等地。引き戸を開けると、茶室を思わせる数寄屋建築の清々しい空間。笑顔で迎えてくれるのは、カウンター割烹の草分けで長らく研鑽を積んだ福士卓義店主。茶懐石の流れを汲んだ、緩急つけたコース展開や細やかな仕事が美しい。特に感動的なのがお造りの力強さ。明石のタイやイセエビなど、信頼のおける担ぎの魚屋から毎日運ばれる旬の魚介を、本来の旨味を味わえるベストの状態で盛り付ける。弾力のあるタイは塩で、脂ののった大トロはたっぷりのワサビと。素材の鮮烈な味わいに、ひと口食べるごとに心を揺さぶられる。女将とのあうんの呼吸の接客も心地よい。
料理はすべて¥16,200のコースから。特注でしつらえた高坏三宝とヒカゲノカズラで華やかに演出したお造り。明石のタイ、三重のイセエビ、ボストンの大トロと一級品揃い。新鮮な魚介をみずみずしく保つため、カウンター下に氷の冷蔵庫を設置。
炊き合わせは、ユズ味噌を鋳込んだ亀甲エビイモ、ウズラの治部煮、湯葉、キクナを和楽の大皿に。細やかな技と滋味深い味わい。

ぎをん 福志
ぎをん ふくし
祇園甲部歌舞練場に近い風情ある一角に立つ。
京都市東山区祇園町南側570-120
tel:075-354-5314
営)12時一斉スタート、17時30分~19時30分最終入店 休)日、第2・第4月曜日
※月1回不定休あり 昼は2日前まで、夜は前日までに要予約
カード不可
http://gion-fukushi.jp
※『フィガロジャポン』12月号より抜粋
photos:SHIN EBISU, réalisation:NATSUKO KONAGAYA