料理に合わせたパスタの選び方とは?
Gourmet 2019.11.29
ファルシ、ソース、グラタン、サラダ……。パスタの数だけ、さまざまなレシピがある。料理に合う正しいパスタ選びのための、フランスからのアドバイスをご紹介。
どんなパスタを選ぶべきか、悩んだことはありませんか? photo:iStock
フランスとパスタの縁は深い。UN. A. F. F. A(欧州パスタ製造者組合)が発表した最新の数字によると、フランスではひとり当たりの年間8キロのパスタを消費しているのだそう。これほど人気の理由は? 一年中食べられて調理も簡単。腹持ちがよくて値段が安く、そのうえ種類も豊富で調理法もバリエーション豊か。タリアテッレ、ペンネ、ブカティーニ、フジッリ、混乱するほど種類がある。
かのフィリップ・スタルクも1987年、大手メーカーのパンザーニ社にから「マンダラ」というパスタを出したほどだ。「あれは大失敗でしたね」と語るのは、マルセイユにパスタ専門店を準備中の33歳のパスタ製造業者、マチュー・アンジオーニ。彼に料理別のパスタの選び方を指南してもらった。
---fadeinpager---
生パスタか乾燥パスタか
パスタの形選びと調理開始の前に、まずは生パスタと乾燥パスタのどちらを使うかを決めよう。フランスの伝統的な生パスタはデュラム小麦と卵が原料だ。「生パスタは水分が多いので、あまり長持ちしません。3日経つと固くなり、味が落ちてしまいます。生パスタはきちんと包装し、冷蔵庫の野菜室で保存してください」とマチューは説明する。これが台所の棚で何カ月も保存できる乾燥パスタとの主な違いだ。「乾燥パスタの原料は小麦と水です。卵が使われることもあります」
生か乾燥かにはこだわらないマチューだが、パスタを美味しく食べるためのポイントは、なにより茹で加減だという。「どんなパスタでもアルデンテが理想です。フランスではあまり浸透していませんが、アルデンテは“歯ごたえがある’’という意味で、パスタを茹でるときの基本。生パスタなら、沸騰した湯で1~2分茹でれば充分です」。また、茹で上がりに水を切りすぎないこともパスタ料理のコツだ。「ソースや具と和える前に、茹で上がったパスタが乾いてしまわないよう気をつけて。パスタに水分が残っているほうが、ソースとしっかり絡みます」
---fadeinpager---
ソース系パスタ
生パスタか乾燥パスタかを選んだら、次は形。ロングパスタ、太いパスタ、小さいパスタ、どれを選んだらいいの?「それはソース次第」とマチュー。カットした野菜とニンニクを炒めたオリーブオイルベースの軽いソース、トマトソース、アラビアータ、ペストなどのクラシックなソース、ボロネーゼなど肉の煮込み料理をベースにした濃厚なソースの3つにタイプに分けて見ていこう。
軽めのソース:「間違いなく生パスタが合います。リングイーネやタリアテッレのような幅の広いロングパスタが最適。具の少ないシンプルなソースなら、歯ごたえのあるパスタを選ぶといいでしょう」
中濃度のクラシックなソース:「とろみの少ないソースをたっぷり絡めるレシピなら、フォークで刺しやすい中くらいのサイズのパスタを。フジッリ、ファルファッレ、コンキリオーニ(イタリア語で貝の意味)、ラディアトーリもいいでしょう」
濃厚なソース:「幅が広くて長めの大振りのパスタが理想です。ラグーやプロヴァンス風ドーブのような素朴な煮込み料理の付け合わせには、このタイプのパスタが最適です。たとえばすぐに思い浮かぶのは、パッパルデッレですね。太いリボンのような形状をしたパスタです。逆に、コンキリオーニのようなパスタは避けた方が無難です。とくに大型のコンキリオーニは壊れやすいので、煮汁の多い料理には向きません」
---fadeinpager---
パスタサラダ
冷製パスタはソース系パスタに次いでフランスで最もポピュラーな食べ方だ。「サラダに使うなら、変わった形やカラフルなものなど、遊び心のあるパスタもいいですね。ただし、フォークで刺しやすいものを選ぶこと。ペンネ、チェレンターニ、ピペット、ピーペ・リガーテ、オレキエッテ、ルオーテなど豊富にありますから、サラダの具材に合わせて選びましょう。カットした野菜がメインのサラダなら、パスタは小さいサイズがおすすめです」
詰めもの入りパスタ:「いうまでもなく、カネロニがありますね。長くて太い円筒状のパスタで、挽肉やトマトソース、フレッシュチーズ、あるいは野菜などの具を中に詰めます。ちょっと気分を変えたいときは、大型のコンキリオーニを使ってもいいでしょう」
グラタンパスタ:「アメリカでは一般的なパスタの調理方法です。マカロニチーズグラタンが有名ですが、コキエットもおすすめ。子どもの頃を思い出させる小さくて懐かしいパスタです」
スープパスタ:「子どもも大好きで、体調が悪い時にも手が出やすいやさしい料理です。普通はごく小さなパスタや、極細のパスタを使います。“天使の髪の毛”という意味のカペッリ・ダンジェロ、ステリーネ、アルファベットパスタ、プンタレッテなどがあります」。泣く子も黙るスープパスタは、体調を崩しやすい寒い季節の心強い味方だ。
パスタを茹でるなら、パスタ100gにつき、10gの粗塩を加えた1リットルのお湯で。
texte : Megan Arnaud (madame.lefigaro.fr)