パンデミックのいま、ベルガモットが大人気。
Gourmet 2021.02.13
レモンよ、さようなら——この冬、紅茶、ハーブティー、あるいはお菓子の香りづけに使われてきたレモンは、ベルガモットにその座を譲ることになる。コロナウィルスの話題でもちきりのなか、ベルガモットがその効用によって見直されている。
この冬、フランスで話題のベルガモット。日本でもネット通販などで購入することができる。 photo : iStock
フランスのインターネット上ではこのところ、「ベルガモット」が検索ワードとして話題沸騰中だ。1〜2月が旬で、紅茶やハーブティー、魚や肉料理の味を引き立たせるほのかな酸味を持つベルガモットだが、季節の果物であるという以上に注目を集めているのはなぜだろう。
自然療法士ロール・ベルナールによると、その理由は、この果物が持つ鎮静効果。体に良く、味も良いこのフルーツの秘密を専門家が明かしてくれる。
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レモンよりも苦くて酸っぱい皮
ベルガモットのルーツは、イタリア南部に位置するカラブリア地方。ここでは世界の85〜90%のベルガモットが生産されている。
ベルガモットはスーパーマーケットの棚にはほとんど並ばず、主に食材専門店やオーガニックの店で出会える。表面の隆起が少なく、滑らかなことから、同類のレモンと区別することができる。「ベルガモットの形は、オレンジと似ていて、皮表面のぶつぶつが少ないです」とベルナール氏。若い時は緑で、熟すと黄色くなるこの果実は、風味もほかの柑橘類に比べて個性が強い。「ベルガモットは、レモンよりかなり苦みがあり、酸味もずっと強いです」
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優れた消化作用と抗ストレス作用
ハーブティーとして摂ると、心と体に良い影響をもたらす、とベルナール氏は話す。皮を煎じたアンフュージョンは、消化トラブルや胃けいれんを軽減するだけでなく、ストレスや不安、睡眠障害にも効果がある。今この時期、特に求められているカーミング効果だ。
「パンデミックのいま、孤立や外出制限はストレス、不安、さらにうつにもつながります。ベルガモットは、これらの障害を長期的に和らげることができます」とベルナール氏。「効果を感じるためには、ベルガモットを煎じたお茶を1日3杯、2〜3週間飲んでください」と彼女はアドバイスする。
ハーブティーの作り方は簡単。カップにあらかじめ100℃まで沸かしたお湯を入れ、ベルガモットの皮を数枚入れ、3分から5分浸しておく。誰でも作れるお手軽レシピだ。
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最新のアロマブーム
「ナンシーのベルガモット」という伝統キャンディもあるけれど、ベルガモット人気は、フレーバーティーやハーブティーのブームによるところが大きい。「体にいいと言われるお茶やハーブティーの人気が上昇していますが、そこにはベルガモットがよく使われています」とベルナール氏は言う。
今後もベルガモットの人気は続きそうだ。ベルナール氏によれば、料理人の間でも人気が高まっているそう。「レストランでは、魚介類の盛り合わせに、レモンではなくベルガモットを添えるところが増えています」
「レモン同様、その果汁は魚介類の風味を引き立たせますが、ベルガモットの風味はよりフレッシュです」と彼女は続ける。苦味と程よい酸味は、お菓子でも効果を発揮。オレンジフラワーのように使われている。ベルナール氏によれば、ベルガモット風味のマドレーヌは、老いも若きも飛びつきそうな、新しい人気スイーツになるはず、という。
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ベルガモットシロップのつくり方
ベルガモットの旬は1〜2月。この季節、自宅でその風味と効果を最大限に引き出すため「ベルガモットシロップ」の作り方を、ベルナール氏が教えてくれた。
材料 :
ベルガモット 5個
水 200ml
砂糖 250g
(1) ピーラーを使って、ベルガモット5個すべて皮を剥き、果汁をボールに絞り出す。
(2) 鍋に、水200mlと砂糖250gを入れ、沸騰させる。一度沸騰させたら、鍋にベルガモットの皮を加え、5〜10分煮だす。
(3) 火を消して、鍋に(1)のベルガモットの果汁を加える。
(4) しばらく冷やしてから、皮を取り出す。ドリンクボトルにいれ、涼しいところで1時間半置いておく。
(5) 出来上がったシロップは冷たい水で割って飲んだり、デザートや紅茶に何滴か入れて召し上がれ。
texte : Maria Izapango (madame.lefigaro.fr)