おうちで味わう、 名フレンチシェフのひと皿。 世界で最も星を得たシェフが教える、アスパラの美味しい食べ方。
Gourmet 2021.08.16
フランス料理の有名シェフ6人が提案する、色彩豊かなメニュー。世界一たくさんの星を得ているアンヌ=ソフィ・ピックが教えてくれたのは、季節を感じるグリーンとハーブ、夏にぴったりなスパイスをあわせるカレー風味な逸品だ。
南仏ロックオート産のグリーンアスパラガス、カレーとディルのサバイヨンソース添え
【材料(4人分)】
グリーンアスパラガス…12本
ディル・ミント…各適量
〈澄ましバター〉
無塩バター(AOP認定が望ましい)…100g
カレー粉…5g
ディル…15g
〈サバイヨン〉
卵黄…2個
水…25g
レモン果汁…5g
塩…適量
【作り方】
- 前日にバターの下準備をする。室温に戻したバターにカレー粉とディルのみじん切りを混ぜ、24時間冷蔵庫で寝かす。翌日使用する前にバターを溶かし、上澄み部分のバターを濾し、澄ましバターを作る。
- サバイヨンを作る。卵黄、分量の水、塩ひとつまみを鍋に入れ、弱火にあてながらしっかり泡立て続ける。泡立てた時に鍋底が見えるぐらいもったりしてきたら、火から下ろす。澄ましバターを少しずつ混ぜ合わせ、レモン果汁を加える。湯煎などにかけて保温しておく。
- アスパラガスの茎の硬い部分を除き、少量のバターで焼く。できればプランチャ(スペイン料理で使われる鉄板)で調理するといい。
- 皿にアスパラガスを盛り、ミントを散らし、サバイヨンを小さい器に入れて、ディルを添える。
---fadeinpager---
季節の食材に「おめかし」させる、3ツ星女性シェフの味。
暖かい季節を象徴する料理は?
どの季節も好きだけれど、ハーブは私のインスピレーション源。植えてから料理に使うまで何年もかかるけど、その植物を知り尽くさないと、どう生かすか思いつかない。ひらめきの瞬間は春に多いかも。
この時季によく使う食材は?
香草と、アスパラガスが大好き。冬の間お目にかかれなかった「グリーン」をもたらしてくれる。あとは初物の野菜、モミノキの葉と新芽、小さいアーティチョーク、特にカリス種が好き。ルッコラもね。
あなたの季節の一品は?
料理というよりも、季節ごとの象徴的な食材。アスパラガスやアーティチョークは定期的にメニューに再登場して、その都度新しい装いとなる。もちろん、家での定番メニューはあるわ。アスパラガスのソースオランデーズは父から受け継いだメニュー。いま、興味があるのはカレー粉! アスパラガスとカレー風味のサバイヨンソースを組み合わせてみたくなって。ズッキーニはグラタンに。あとはプランチャを引っ張り出してきて、ズッキーニやヴァランス産白ナスをごく薄切りにしたものを焼き、スモーク風味のオイルと食べたり……。

Anne-Sophie Pic
アンヌ=ソフィ・ピック/世界一たくさんの星を得ている女性シェフは、自身が植えたハーブが生える庭の散歩から料理を着想。ヴァランスにある彼女の3ツ星レストランのメニューでも、その時々のひらめきで香草がアレンジされる。気ままにおめかしされるアスパラガスもシェフのお気に入り。彼女の数々のレストラン情報は、https://anne-sophie-pic.comにて。
*「フィガロジャポン」2021年9月号より抜粋
photography: Bernhard Winkelmann (Madame Figaro) text: Vanessa Zocchetti (Madame Figaro) illustration: Seb Jarnot (Madame Figaro) collaboration: Yukiko Hirano