これ、食べても大丈夫? 劣化しない食品をおさらい。

Gourmet 2021.12.02

まだ手をつけていない米の箱、まだ封を開けていないジュースのパック……賞味期限は過ぎているけれど、まだ食べられそうな気がする。本当のところどうなのだろう? 専門家の解説とともに、家庭の食品棚で保管してもほとんど劣化しない食品についておさらいしよう。

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“日もちする”食品の保存方法を専門家に聞く。photo: Getty Images

棚の上段にしまっておいたビスケットの箱。賞味期限はかなり過ぎているけれど、見た目は完璧。あるいは、野菜室に忘れていたビール。でも、いざ開けてみようとすると一抹の不安がよぎる。食べてお腹を壊したりしないだろうか? そんなわけで、多くの場合こうした食品は捨てられることになる。

食品廃棄に関する最新のデータである環境エネルギー管理庁の調査(2016年発表)によると、フランスで廃棄されているまだ食べられる食品の量は年間約1000万トンに上る。国民ひとり当たりに換算すると、1年で150kgの食品を捨てている計算だ。

しかし賞味期限を数日、さらには数カ月過ぎてもまだ口にできるものとは、どんな食品や飲み物なのだろう? 化学者のラファエル・オーモンと、国立食品環境労働衛生安全庁(Anses)食品リスク評価部門に所属する科学者ローラン・ギリエに聞いた。

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砂糖と塩はリスクゼロ

食品のなかには実際に消費期限(Date limite de consommation : DLC)が表示されていないものもある。塩と砂糖はそのひとつ。化学者のラファエル・オーモンが言うように、これらの調味料には分子量の小さい化合物という利点がある。劣化しにくいのはそのためだ。「砂糖や塩には生命がありません」とオモンは説明する。「塩は塩素とナトリウムの分子から成り、砂糖の主成分はスクロースです」。生命活動がない環境では栄養源となるものがないために、細菌は定着することができない。

「細菌は生きるために水分を必要とします」とAnsesの食品リスク評価部門に所属する科学者のローラン・ギリエは補足する。塩や砂糖に含まれる水分はほんのわずか。それゆえ腐敗しやすい食品を長持ちさせるために、砂糖や塩が食品保存方法として利用されている。ジャムや生ハムがその一例だ。「塩や砂糖を大量に加えると、食品に含まれている水分が抜け、細菌が繁殖するのを防ぐ」とギリエは解説する。

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パスタ、米、小麦粉…乾燥食品

この古来の食品保存方法が食品産業にインスピレーションを与えた。微生物の繁殖を止める、あるいは不活性化するためには、食品から水分を取り除くだけでいい。「ハムやヨーグルトのような食品の水分活性は0.9以上です。こうした食品の消費期限が短いのはそのためです」とギリエは解説する。「しかしこれより数値が低くなればなるほど、安定性の高い、ほとんど劣化しない食品となります」

塩や砂糖のほかにも、小麦粉、コーンスターチ、米やパスタなどの乾燥させた穀物、コーヒー、スパイス、油などもこのカテゴリーに含まれる。

多くの場合、これらの食品には「なるべく~日までに食べること」とラベルに表示されている。この日付は賞味期限(Date de durabilité minimale : DDM)に当たる。「この期日を過ぎても、健康へのリスクが上がるわけではありません」とギリエは断言する。

難点は、食品に含まれる多くの成分が外部の環境と作用して、時間の経過とともに食品の風味や栄養価が低下すること。「チョコレートやビスケット、油に含まれる脂質は空気にさらされると酸化するため、時間が経つと味が悪くなります」とオーモン。

スパイスも例外ではない。「胡椒をひと粒食べると、何百もの香りの分子を摂取することになります。口のなかでまろやかさや持続する風味を感じるのは、それらの分子のおかげです」と化学者は補足する。「ただこの分子は揮発性がとても高く、熱や光に接触すると変質することがあります」

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殺菌された飲み物

飲み物はどうだろうか? 液体である以上、かなりの量の水分が含まれているのは明らか。飲み物も、室温で保存できるものには賞味期限が表示されている。「超高温殺菌牛乳やジュース類は基本的に殺菌処理されています」とギリエは言う。「飲料に含まれているすべての微生物を殺滅した後に包装容器に詰めているのです」

実際に、パックや瓶から中身が漏れていなければ、健康を害する危険は一切ないと科学者は言う。賞味期限が切れた後も、数カ月間保存可能だ。「ただフルーツジュースは、直射日光が当たる場など、保存に適していない場所で保管すると、ビタミンが失われる可能性があります」とギリエは注意を促す。

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“自己治癒効果”を備えたアルコール

いいワインは年を重ねるごとに美味しくなるといわれる。オーモンの言葉もそのことを裏づける。「ワインにはアルコールが含まれています。これがいわば自己治癒効果を発揮し、細菌の繁殖を防止します」と化学者は分析する。「アルコールに耐性のある酵母が存在し、まさにその酵母の働きによってワインができるわけです」とギリエは補足する。

「アルコール度数が高いほど、保存に向いています」とギリエは言う。おじいちゃんのウイスキーや、おばあちゃんのスーズ、新婚旅行で行ったグアドループ土産のラムも、まだまだ楽しめそうだ。

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長期間保存するにはどうすればいい?

食品や飲料品の風味を損なわずに長期間保存するにはいくつかコツがある。とくに軽視できないのが保存容器のチョイスだ。ビニール袋は避けて、タッパーウェアのような密閉できるケースを利用しよう。「空気にさらされると、砂糖は湿気を吸収して固まります」とオーモン。

同じ理屈で、糖類の一種であるはちみつも、使った後すぐに瓶の蓋を閉めるようにすれば、結晶化して固まるのを防ぐことができる。

シャンパーニュのような発泡性アルコール飲料も外気との接触に弱い。繊細な泡をできるだけ損なわずに、開栓後も数日間シャンパーニュを楽しむには、専用の栓を使うか、ソーダサイフォンで炭酸を足すといいと化学者はアドバイスする。

最後に、食品パッケージによく記載されているように、熱や光は食品にとって一番の敵だ。「油と同じように、スパイスも遮光ガラスや金属などの不活性な材質の容器で保存すると長持ちします。冷暗所に保管するのがベストです」と化学者はアドバイスする。

棚に仕舞ってあるスパイスを整理したら、まだ食べられるスパイスの瓶をきちんと保管するために、冷蔵庫の大掃除をすることも忘れてはならない。

 

 

text: Tiphaine Honnet (Madame Figaro)

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