グラスを片手に、チョコとスパイスの絶妙なマリアージュを愉しもう!
Gourmet 2022.02.09
チョコレートを酒と合わせていただく、いわゆる「ペアリング」が普及した昨今。チョコ自体にお酒を含ませたモノや、酒との相性でラインナップを揃えた商品も多く見られる中、まったく新しい発想で誕生したチョコレートブランド「YES. SHE KNOWS(イエス シー ノウズ)」は要注目だ。
ブランドを立ち上げたのは、料理家として企業、レストラン、ホテルなどのレシピ開発やコンサルティングを手がけてきた実績をもつ石井秀代。2006年に日本人として初めてイタリアオリーブオイルソムリエ協会のソムリエに認定され、世界初の無添加肉骨茶を開発するなど、素材や地域性の研究に力を入れる第一人者だ。
世界を旅する彼女がチョコレートの奥深さに触れたのは、パリの友人宅で夕食に誘われた時のこと。ディナーが終わると、集まっていた友人たちは一度自宅に帰り、それぞれがお気に入りのチョコレートとお酒を持って再集合。思い思いの組み合わせを愉しみながら談笑し始めたのだという。そんな「大人の遊び」のような自由なチョコレートを作りたいと、石井は2018年にショコラティエの資格を取得。目指したのは、酒を合わせた時にまったく新しい表情を見せる、いままで味わったことのないチョコレートだ。
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素材が光る、無限の可能性を秘めたひと粒。
「酒に合わせる」ことを命題にする「YES. SHE KNOWS」のチョコレートだが、アルコールそのものを入れることはしない。それぞれのチョコレートには、酒を引き立たせてくれるスパイスやボタニカルが絶妙に仕込んであるのだ。
ガナッシュには、八重山諸島の海水塩、バラやフランボワーズ、味噌、トウガラシ、葡萄山椒、はては泡盛と紅麹に豆腐を漬け込んだ「豆腐窯(とうふよう)」といった変わり種まで、6種類のチョコレートにそれぞれの風味を閉じ込めている。口の中で甘みとスパイスが混ざり合い、味わいが変化していき、食後に長い余韻が訪れる。通常、チョコレートには赤ワインやウィスキー、ブランデーを合わせるのがセオリーだが、日本酒や焼酎、またマティーニやマンハッタンといったカクテルにも合いそうな複雑さが魅力だ。料理によってワインを変えるように、6種類のチョコレートそれぞれの味わいに合う酒を探しながら食べるのも愉しいだろう。
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常識外の時間と手間をかけ、新たな味が誕生。
風味も特別ながら、チョコレートづくりにも徹底的にこだわった。ガナッシュの風味をより感じられるよう、外側を包むチョコレートは限界まで薄く作り上げられている。持ち運びの際に割れることなく、それでいて口に含んだ瞬間に溶ける薄さに仕上げるため、48時間もの時間をかけて温度調整しながら攪拌する必要があるのだという。一般的なチョコレートでは10時間ほどの工程だというが、時間も惜しまず品質を追求することで、他では味わえない食感を纏うことができたのだ。
ローストしたナッツをキャラメリゼし、カカオパウダーを纏わせた「ペカンナッツ」も、同様に時間と手間をかけた少量生産で生産している。こちらは、お茶うけにもぴったりのほうじ茶の粉末を纏わせた商品もラインナップに加わる。
バレンタインのプレゼントに、また自分自身へのご褒美のために、グラスとチョコレートを合わせる優雅な夜を過ごしてみては?
text: madame FIGARO japon