懐かしい雰囲気の古民家で、こだわりの食材を堪能。

2016年に熊本県を中心とした九州各地に甚大な被害をもたらした熊本地震。6年が経過したいまも復興への取り組みは続いている。現在開催中の「阿蘇フェスティバケーション2022夏」では、熊本県の人気飲食店が集まった「阿蘇スカイレストラン」がオープン。食を通じて熊本の復興を目指す9つの参加飲食店のこだわりの一品、ぜひ味わってみて。

熊本の食の魅力を堪能できる「阿蘇スカイレストラン」参加店をチェック！

---

懐かしい雰囲気の古民家で、こだわりの食材を堪能。

旬彩料理邸宅 八伍邸

築100年以上の古民家を改装し、2015年にオープンした「旬彩料理邸宅 八伍邸」。オーナーの小西俊治さんは生まれも育ちも福岡で、料理の修行をさせてもらった友人の飲食店が熊本にあったことから熊本に根付いた。「33歳のときに最初につくった店が、第一回全国居酒屋甲子園で優勝。以来、料理人ではなくプロデューサーとして、多くの飲食店を手掛けてきました」と振り返る。

オーナーの小西俊治さん。

小西さんが設計したという店内は居心地がよく、リラックスした状態で地のものを中心に使った居酒屋メニューが味わえる。看板メニューは「せせりつくねの温玉添え」。せせりに軟骨を混ぜて焼いたつくねは歯ごたえがあり、醤油とニンニクをベースにした甘辛いタレが合う。「温玉には独自に仕入れている奥村鶏卵の『キセキの卵』を使用。濃厚な味わいが甘辛い味付けをまろやかにしてくれます」

せせりつくねの温玉添え。

もうひとつの人気メニューが「だし巻き」。こちらにも「キセキの卵」を使用している。一般的なだし巻きとは違い、熱々の陶板に載せ、さらに枕崎のカツオ節でとった出汁を、じゅわーっと音を立てるように掛けて提供しているという。「阿蘇スカイレストラン」で出している豚丼については、「九州産の豚肉が美味しいのはもちろんですが、阿蘇の地下水で栽培された熊本のお米をぜひ食べてほしい」とアピールする。

もちろん熊本を代表する馬肉を使ったメニューも用意している。馬刺しというと赤身しか思い浮かばないが、この店ではレバーやタテガミといった赤身以外の部位も刺身で食べられる。馬肉はもともと生食用として認可されているため審査も厳しく、中でもレバーはゴマ油と塩で食べると絶品なのだとか。「フタエゴと呼ばれるバラは、表面の脂の部分だけをさっと炙ってポン酢で食べるととても美味」と、小西さん自身も太鼓判を押す。

最後に熊本に対する想いを聞いてみた。「最初は友人の店での修業を終えたら福岡に帰るつもりでした。でも、おいしい水や食材に出会い、いろいろな人達が応援してくれたことで、この地に店を出そうと思いました。県外から来た人間には熊本のよさが十分に理解できるのですが、地元の人達にとっては当たり前でしかない。結局、熊本の食材は県外の人たちが高く買ってしまうことが多いので、地元の人たちにこそ熊本の食材を食べてほしいですね」