全国にその名を轟かせるこだわりのピッツァとチーズ。

2016年に熊本県を中心とした九州各地に甚大な被害をもたらした熊本地震。6年が経過したいまも復興への取り組みは続いている。現在開催中の「阿蘇フェスティバケーション2022夏」では、熊本県の人気飲食店が集まった「阿蘇スカイレストラン」がオープン。食を通じて熊本の復興を目指す9つの参加飲食店のこだわりの一品、ぜひ味わってみて。

熊本の食の魅力を堪能できる「阿蘇スカイレストラン」参加店をチェック！

全国にその名を轟かせるこだわりのピッツァとチーズ。

Pizza.肉.ワイン イルフォルノドーロ

熊本県菊池市にある、全国的に知られるナポリピッツァの名店「ナポリピッツア研究所 イルフォルノドーロ」。おいしいピッツァを追求するあまりモッツアレラチーズとリコッタチーズの自社工場を造り、ジビエのシーズンになると自ら山に入り鹿や猪を仕留める原田将和さんが率いる。その2号店が「Pizza.肉.ワイン イルフォルノドーロ」として、熊本市役所裏に誕生した。コロナが猛威を振るい始めた2020年2月には開店準備が進んでおり、「もうやってしまおう！」と同年6月にオープンした。

オーナーの原田将和さん。

1号店はナポリピッツァをメインとしているが、こちらはナポリピッツァに加え、イタリア全土の料理とイタリアワインをテーマに、こだわりの肉料理にも力を入れる。店に立つのは単身赴任でやってきた原田さん自身というから、かなりの力を入れていることがわかる。

自社工場で作るチーズは、東京の人気イタリアン「リ・カーリカ」に卸すなど、実業家としての手腕にも定評がある原田さん。地域の活性化にも期待が寄せられる。「この辺りは飲食店が苦戦しているエリア。でも、老舗や実力派のレストランが多く、比較的裕福な層が食事に来るので、可能性は大きい」と冷静に分析している。

自ら獲った猪のサルシッチャやイタリアのナチュールワインなど、2号店ならではの自慢は多いが、やはり人気があるのはナポリピッツァ。看板の「マルゲリータ」は、フレッシュ感のある自家製モッツアレラチーズはもちろん、あらゆる要素にこだわりが詰まっている。「僕が理想とする生地は、柔らかくて、香ばしくて、とろけるような感じ。それを目指して生地を作りました。ピッツァ作りはほぼ独学です」と、明るく話す。そして、欲しいと思った食材があれば、生産者に直接連絡して仕入れる行動力が、珠玉のピッツァをつくる原動力になっている。

マルゲリータ。

「カプレーゼ」も自慢の一品だ。冬から初夏にかけては、宇土市にある小森ファームのプレミアムトマト「まいひめ物語」を使用。名水百選にも選ばれた轟水源で育まれたトマトで、さわやかな酸味と濃密な甘さが感じられる。自家製モッツアレラチーズは、菊池産の搾りたて生乳100％でつくられる無添加のもの。ミルクの爆弾を意味する「ミル爆」の名で親しまれるほど、濃厚でミルキーな味わいをもたらしてくれる。「地産地消率を100％にして、ワインはナチュールワインを飲んでいただくのが理想。若い人にも来てほしいので、リーズナブルに提供していますが、いつかは高級店にも挑戦してみたい」と、今後の抱負は尽きない。

カプレーゼ。

コロナ禍の真っ只中にオープンしたため、熊本の復興に関する思いは人一倍強い。とくに熊本では熊本地震だけでなく、2021年に球磨川流域で豪雨による災害が発生するなど、何に対する復興なのかは、人それぞれによって異なるだろう。「長く続いたコロナ禍による飲食店への打撃で、戦争なんじゃないかって思うほど追い詰められました。僕の使命は、まずは一緒に働いている仲間を幸せにすること。そのために今回のイベントにはたくさんの人たちに来てほしい。阿蘇の青空の下で音楽を聴きながら食べる食事は格別です。久しぶりの開放的な気分をぜひ味わってください」