昼から営業するバーで、自慢のカレーを肴に一杯。

2016年に熊本県を中心とした九州各地に甚大な被害をもたらした熊本地震。6年が経過したいまも復興への取り組みは続いている。現在開催中の「阿蘇フェスティバケーション2022夏」では、熊本県の人気飲食店が集まった「阿蘇スカイレストラン」がオープン。食を通じて熊本の復興を目指す9つの参加飲食店のこだわりの一品、ぜひ味わってみて。

熊本の食の魅力を堪能できる「阿蘇スカイレストラン」参加店をチェック！

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昼から営業するバーで、自慢のカレーを肴に一杯。

good time bar yomnom

熊本市の中心部、上通アーケード街の一角、100年以上続く老舗本屋があるビルの2階に「good time bar yomnom」はある。オーナーの岩城史明さんは大学卒業以来バーの仕事に携わり、27歳のときに初めて小さなバーを出した。その店はいまでもあるが、それとは別に昼からお酒が楽しめるバーというコンセプトで誕生したのがこの店だ。

「昼なら食事もできた方がいいだろうという理由でカレーを出すようになりました」というように、地元の人たちにはおいしいカレーの店としても浸透している。“yomnom”とは“読む・飲む”を意味し、1階の本屋で買った本をここで読む人がいるなど、カフェのように落ち着く空間が広がっている。

オーナーの岩城史明さん。

ランチタイムは「バターチキンカレー」、「豚軟骨カレー」、「甲殻類のカレー」、「期間限定カレー」の4種類を提供。昔からカレーが好きだったとはいえ、実はカレー店で修業した経験はないという岩城さん。学生時代に飲食店のアルバイトで得た知識や、頼れる人のアドバイスをもとに、ほとんど独学で完成させた。スパイスを重視しているが、大阪発祥のスパイスカレーとも異なり、「結果的にいろいろなジャンルのカレーができてしまい、『何風のカレーですか？』と聞かれても答えられない（笑）」。いうなればスパイス欧風カレーという表現が最も近いかもしれない。

一番人気の「バターチキンカレー」は、スパイスにひと晩漬け込んだチキンとバターのまろやかさによるマイルドな味わいが特徴だが、後からスパイスの辛さがピリリとくる。「豚軟骨カレー」は軟骨がゴロゴロ入り、カレーとしては珍しい歯ごたえが楽しめる。そして、常連に人気なのが、4種類から2種類を選べる「2種類合がけカレー」。いまの季節の「期間限定カレー」は「グリーンカレー」を用意。ズッキーニやパプリカ、レンコンなどの野菜とチキンを使ったもので、ココナッツミルクのコクと青唐辛子などによる独特の辛さが病みつきになる。

2種類合がけカレー。

期間限定カレーのグリーンカレー。

コロナ禍では、飲食店を助けようという働きかけの中で、病院や会社へ出向いてカレーを販売する機会にも恵まれた。購入した人の中には、店まで定期的に食べに来てくれる人も現われた。「これまで外に出店することはほとんどなかったので、改めて情報を発信することの大切さを知りました。福岡では当たり前のように見られる昼からお酒を飲む文化も、熊本には浸透していないので、そんなスタイルも広げていきたい」と、今後を見据えた活動に熱意を見せる。

岩城さんは生まれも育ちも熊本だ。「学生時代は県外へ出ていくことにも憧れましたが、水がおいしくて住みやすい環境は何ものにも代えがたい。町がコンパクトなので、多くの人の活動範囲が決まっているのもいい。だから人と人との繋がりが強い町でもあります。そんな繋がりを生かして、元気な熊本を取り戻したい」と願う。

昨年生まれた子どもは食物アレルギーを持っているため、食の安全性にも気を配るようになった。「カレーはピッツァやパスタのようにシェアするのが難しいので、いま一番つくりたいのはアレルギーフリーのお子さまカレー」と、子連れの客で賑わう店づくりにも力を入れていく予定だ。