Franciacorta イタリアの家族に受け継がれる、職人気質な泡......。フランチャコルタを巡る旅!

Gourmet 2022.08.26

PROMOTION

シャンパーニュ、カヴァと並び称されるスパークリングワインの名産地が、イタリア北部に位置するフランチャコルタだ。前者ふたつに比べ後発となるフランチャコルタの生産者たちは、あえて厳しい条件を自分たちに課し、自然派を志向した高品質なワインを生み出している。現地のワイナリーを訪れ、香り高く味わい深い泡がどのように育まれているのかを追った。

前編:イタリアの太陽が育てた、自然派な泡を求めて。フランチャコルタを巡る旅!

父の思いは息子、そして娘へ。「ミラベッラ」の物語

_MRE1017.jpg
ミラベッラの正面玄関。

フランチャコルタの東端に位置する「ミラベッラ」は、1979年に誕生。82年には1930年代に発足した旧生産者協同組合のワイン醸造施設を購入し、拠点をここに定めた。現セラーマスターにして醸造責任者でもあるアレッサンドロ・スキアーヴィは、創業者である父に連れられて幼いころからワインセラーを見て育ったという。

「物心ついた時には、もう自分は醸造家になるものだと思っていましたし、何の疑問もありませんでしたね。最近は5歳になる私の娘も、保育園で『将来の夢は醸造家!』と言っているようで、頼もしい限りです(笑)」

_REI0409.jpg
セラーマスター兼醸造家のアレッサンドロ・スキアーヴィ。

ミラノ大学で醸造学を学んだ後、シャンパーニュの名門ワイナリーで6年間働いた。フランスとイタリア、時には他の国でもスパークリングワインの醸造に携わってきたため、同世代の醸造家に比べて経験豊富なのが自分の強みだという。

_MRE0935.jpg
現在では珍しいセメントタンクを発酵に使用している。

ミラベッラは生産者協同組合時代の名残で、巨大なセメントタンクがあるのが特徴だ。タンク内には配管がめぐらされ、冷水を循環させることで温度を一定に保つことができる。同社では、ベースとなるワインをここで発酵させている。

---fadeinpager---

フランチャコルタの出荷まで

_MRE0943.jpg
瓶内のガス圧を計りながら熟成を重ねる。
_MRE0954.jpg
二次発酵で生じた澱を、時間をかけて瓶の首に集めていく。

ミラベッラでは、瓶内のガス圧を計っている様子が見られたのはとても興味深かった。出荷を迎える瓶の一部はコンテナに詰められ、傾斜をコントロールできる機械によって、澱が混ざらないようにゆっくりと瓶の口近くに集めていく。ボトルの首に澱が集まったら、その部分を瞬間的に冷凍して澱を抜く。澱を引いた分量だけ、リキュールやブランドが持っている過去のリザーブワインを補填し、コルクを詰めたら出荷の準備は完了だ。

_MRE0976.jpg
澱抜きからラベリングまで、ベルトコンベアで機械的に行われている。
_MRE0997.jpg
瓶内二次発酵が完了したヴィンテージワインが、抜栓の時を待ちながら静かに並んでいる。

---fadeinpager---

ベテラン醸造家による、フレッシュで優雅な味わい。

_REI0456.jpg
ヴィンテージワイン貯蔵庫の真上にある応接スペースで試飲。それぞれのグラスの色合いの濃淡にもご注目。

ミラベッラの試飲で出色だったのは「ロゼ」と「サテン」だ。ロゼはシャルドネ50%、ピノ・ネロ40パーセントにピノ・ビアンコ10%の割合で生み出されたふくよかな味わいが特徴。10%だけの配合にもかかわらず、ピノ・ビアンコの特長である白い花のような香り、果実感とミネラル感が凝縮されたエレガントなフレッシュさが際立っている。専門誌「ワインスペクテイター」で世界のロゼ部門TOP100にランクインしたのも納得の味わいだ。

日本にも輸入があるなかでオススメしたいのが「サテン」。サテンとはフランチャコルタ独自の規格で、5気圧以下にガス圧を抑えた、なめらかな泡が特長。やわらかい泡立ちの中に、樹齢25年以上のシャルドネから取れた果実由来のエレガントな香りが立ち上る。36カ月以上の熟成を経たというのに、たったいま摘んだばかりのようなフレッシュさにも驚かされる。

さらに、フランチャコルタの規格からは外れてしまうのだが、ピノ・ビアンコ100パーセントで作られたボトルも試飲させてもらった。ミネラル感と果実感、そしてフローラルな香りを特徴づける、樹齢の長い木から取れた果実を使用した。しっかりと熟成の進んだ果実で糖度が十分にあるため、ノン・ドザージュでもほのかな甘さを感じる引き締まった味わい。ミラベッラが大切にしている華やかな味わいの原点を感じた。

「ミラベッラも完全有機栽培を実施しています。自然を大事にするのは当たり前。いまは、いかにエネルギーを使わないでワイン造りができるのかを探求中です」

優雅な味わいは、一切の妥協がない醸造家の哲学で作られていた。

_REI0485.jpg
左から「イデア」「サテン」「ロゼ」「ピノ・ビアンコ」。
_MRE0948.jpg

Mirabella|ミラベッラ
Via Cantarane, 2, 25050 Saiano BS, Italia
www.mirabellafranciacorta.it

---fadeinpager---

女性オーナーが率いる、新進気鋭の「ヴィッラ・クレスピア」

新進気鋭のワイナリーとして注目なのが、1999年創業の「ヴィッラ・クレスピア」。現オーナーのミケーラ・ムラトーリは3代目にあたる。6つの地域に畑を持ち、それぞれで完全有機栽培によるフランチャコルタを作り上げている。

_REI0935.jpg
現オーナーのミケーラ・ムラトーリ。ムラトーリ家は1950年代に紡績業で財を成し、その資産をもとにフランチャコルタの事業に参入。
_REI0850.jpg
自社の畑で育つシャルドネの果実。

アドロ村にある醸造所は、自社の畑に囲まれている。ミケーラは毎日、畑を歩いてブドウの様子をチェックしている。

「いまは雨が降らなくて辛い時期ですが、同時にブドウは太く地下まで根を伸ばし、強いボディを持つ樹に育ちます」

_MRE1957.jpg
畑の上にはソーラーパネルが。

ある区画では、ブドウ畑の上を覆うようにソーラーパネルがセットされていた。

「これで十分ブドウに日光が当たり、しかもワイナリーの電気はすべて賄えるのです」

ここで取り上げた醸造所すべてがエネルギーを自給自足していることに驚きを隠せなかった。しかも、イタリア人は特にそれを誇るようでもなく、当たり前の顔で教えてくれる。「サステイナブル」という感覚が、日本人よりも深い意識として根付いていることを感じざるを得なかった。

_MRE1876.jpg
ブドウ畑に囲まれた、ヴィッラ・クレスピアの醸造施設。

---fadeinpager---

巨大なタンクと小さな樽が醸す、畑ごとの味わい。

_MRE2001.jpg
広大な空間にステンレスタンクが何基も用意されている。畑と品種ごとにタンクを分けて使用する。
_MRE1983.jpg
ステンレスタンクの貯蔵庫の隣に、樽での熟成庫が用意されている。品種や収穫量によってはこちらを使用することも。

各畑で取れたブドウは畑ごとに圧搾され、それぞれの特性を見てステンレスタンク、樽へと振り分けて一次発酵に進む。敷地面積が広く、空間が広大なのがヴィッラ・クレスピアの印象だ。

「まだ若いブランドなので、リザーブワインも少ないです。今後、この空間により多くのヴィンテージのワインを並べていくのがいまから楽しみです」

_MRE1994.jpg
こちらも広い空間に積み上げられた、熟成中のボトル。コンテナに横済みになっているのが現代的だ。

---fadeinpager---

後発だからこその「進取の精神」

_MRE2016.jpg
ブドウ畑を望む小部屋でのテイスティング。広大な敷地を歩いた後の乾いた喉に、爽やかな泡がたまらない。

ヴィッラ・クレスピアで驚いたのは、ノン・ドザージュの商品が3種類もオンリストされていることだ。しっかりと熟成した品質のいいブドウを使用している、という自信の表れにも思える。ノンヴィンテージの「ヌメロゼロ」は、18カ月というフランチャコルタの基準では最低限の熟成期間ながら、果実の段階でしっかりと熟していることが分かる芳醇な香りと、辛口できりりと引き締まった味わいが好印象だった。また、亜硫酸を使用せず完全な無添加・有機栽培を成し遂げた「シンビオティコ」も、新時代を見据えたおもしろい試みだ。次世代のフランチャコルタを担う一角がヴィッラ・クレスピアであることは、間違いないだろう。

_REI0993.jpg
左から「ミッレ」「ヌメロゼロ」「ミッレ リゼルヴァ」「リゼルヴァ デル ジェルソ」「シンビオティコ」。
_MRE1903.jpg

Villa Crespia|ヴィッラ・クレスピア
Via Valli, 31, 25030 ADRO BS, Italia
www.villacrespia.it

---fadeinpager---

「フランチャコルタバー」で、グラスで味わう華やかなひとときを。

_MRE1140.jpg
あるレストランのディナーに登場したのは……なんと天ぷら! ラードを使って、少しフリット風に仕上げた野菜揚げが泡にぴったりだ。

現地でフランチャコルタを味わいながら感じたのは、このスパークリングワインが実にさまざまなシチュエーションに合うこと! 爽やかな空の下、ランチタイムに抜栓するのも最高に気分が上がるし、アペリティーヴォとして食事前にグラスを傾けて話を弾ませるのもいい。食中酒としても、魚介類、パスタ、リゾット、肉料理など何にでも合わせられる万能選手だった。道中、ワイナリーのガイドをしてくれたジャーナリスト、宮嶋勲氏はこう話す。

「イタリアのワインは、いい意味で堅苦しいところがありません。大らかなイタリア人の気風そっくりです(笑)。だから、あまり難しく考えずに好きなように味わうのがいちばんの楽しみ方じゃないかな」

有楽町の阪急メンズ東京には、フランチャコルタ協会の公認となる「フランチャコルタバー」がある。常時約10種類のバイザグラスがラインナップしているほか、持ち帰り用に7種類のボトル販売も行っている。生産者の思いが詰まったフランチャコルタを、ぜひ味わってみてはいかがだろうか?

FRANCIACORTA BAR|フランチャコルタバー
東京都千代田区有楽町2-5-1 阪急メンズ東京 3F
Tel:03-6252-5360
営業時間:11:00~20:00 (アルコールL.O18:30 ソフトドリンクL.O19:30)
不定休
www.facebook.com/franciacortajapan
フランチャコルタ協会
https://franciacorta.wine/ja

photography: Mirei Sakaki

Share:
  • Twitter
  • Facebook
  • Pinterest
Business with Attitude
airB
言葉の宝石箱
パリシティガイド
フィガロワインクラブ
BRAND SPECIAL
Ranking
Find More Stories