"奇跡のヴィンテージ"が語る、老舗メゾンの美しきプライド。

Gourmet 2022.12.20

"品格あるシャンパーニュ"として女王のような風格を見せる「ルイナール」から新ヴィンテージが登場。最高醸造責任者のフレデリック・パナイオティスがその深い魅力を語った。

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リリースに際して来日した、ルイナール最高醸造責任者のフレデリック・パナイオティス。

シャンパーニュ最古のグランメゾンが1729年創業のルイナール。シャルドネを美しく表現することから"シャルドネハウス"と呼ばれ、その繊細でエレガントな味は、英国王室をはじめとする王国貴族や世界中のシャンパーニュファンに愛されてきた。2022年秋、最高峰キュヴェの新ヴィンテージ「ドン・ルイナール 2010」が登場、早くも多くの華やかなシーンを彩っている。芳醇かつ奥深い味わいで、ピュアな酸味を持つ。ルイナールは"シャンパーニュの宝石"とも称されるが、確かに面目躍如の味わいだ。

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「ドン・ルイナール 2010」。"シャルドネの聖地"コート・デ・ブランのシャルドネを90%、モンターニュ・ド・ランスにあるシルリー村のシャルドネを10%ブレンド(すべてグラン・クリュ)。アイリスやスズランなどフローラルな香り。ミネラル豊かで、ナツメグやヘーゼルナッツのニュアンスも。味わいは"極めて"魅惑的。750㎖ \39,050

ドン・ルイナールは、17世紀、シャンパーニュ造りに大きな影響を与えたベネディクト派の高僧ドン・ティエリー・ルイナール修道士へのオマージュとして誕生した、同社の最高級シャンパーニュ。メゾンの創業者は彼の甥にあたるニコラ・ルイナールで、おじから知識と技を受け継ぎ、シャンパーニュ造りをスタートさせた。
最高醸造責任者のフレデリック・パナイオティスはこう話す。
「ドン・ティエリー・ルイナール修道士はとても博学な文筆家でした。通常はパリに在住していましたが、各地の情報を得るために多くの旅をしました。修道院は、当時"情報が集まる場所"でしたから、多くの修道院に足を運んだのです。そして彼は、当時、ドン・ピエール・ペリニヨンが在籍していたシャンパーニュ地方のオーヴィレール大修道院を訪れましたが、この3カ月後にここで生涯を終えました。これは、私の想像にすぎませんが、もしかしたら、彼らはシャンパーニュをともに酌み交わしたかもしれませんね」

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特筆すべきは、ドン・ルイナールは極めてブドウの作柄のよい年にしか造られない特別なキュヴェだということだろう。過去10年を遡れば、造られたのは2002年、04年、06年、07年、09年のみ。今回の2010年ヴィンテージの次に登場するのは2013年ヴィンテージだという。使用されるブドウはグラン・クリュのシャルドネのみで、熟成は9年以上。最上級のブドウを使用し、手間暇かけて造られているのだ。

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また、2010年ヴィンテージという年について、パナイオティスはこう語る。
「2010年の春は、爽やかではありましたが冷涼で、開花が遅れました。夏はブドウの成熟が始まる8月上旬に酷暑と集中豪雨に襲われました。高温多湿の影響からピノ・ノワールとムニエに被害がありましたが、シャルドネは美しい酸と豊かな果実味を備え、健全に育ちました。ですから、2010年は"奇跡の年"と言ってもよいでしょう」
ちなみに、この年は黒ブドウの生育が理想的でなかったことから、ロゼは造っていない。「目指すのは最高の味」というパナイオティスのこだわりがここにも感じられる。
「ドン・ルイナール 2010」最大の魅力は、何といってもガストロノミックなシャンパーニュであるということ。フランス料理はもちろんながら、日本料理などにも自然に寄り添ってくれるのだ。日本料理に精通するパナイオティスは「上質の湯葉料理との相性は抜群」と笑顔を見せる。丁寧に造られた"最高峰"のシャンパーニュは、これから迎える華やかなシーズンに彩りを与えてくれる。

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パナイオティスの来日時、愛宕にある精進料理 醍醐でお披露目会が行われた。出汁を使った一品や素材そのものの味を大切にした料理とルイナールの相性は抜群。

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「ドン・ルイナール 2010 ギフトパッケージ」。メゾンのセラー「クレイエル」をオマージュ。クレイエルはガロ・ロマン時代の石切り場跡で、2015年「シャンパーニュの丘陵、メゾンとカーヴ」として世界遺産に認定された。「美しさを大切にしながらも、サステナブルの観点からギフトパーケージの軽量化にも取り組みました」とパナイオティス。750㎖ \42,680

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フレデリック・パナイオティス
ルイナール最高醸造責任者。ヴーヴ・クリコ・ポンサルダンでロゼの醸造に携わり、キャリアを積む。2007年、ルイナールの最高醸造責任者に就任。大の親日家で、自身でも蕎麦打ちを楽しむなど日本文化に造詣が深い。今回は合羽橋で調理器具の買い物を楽しんだ。

 

●問い合わせ先:
MHD モエ ヘネシー ディアジオ
www.krug.com/jp

text: Kimiko Anzai

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