ヴァンナチュールでゆるりと過ごす、那覇の夜。
Gourmet 2022.12.23
するすると軽やかに飲めるヴァンナチュール(自然派ワイン)は、温暖な気候にもぴったりで、沖縄にて空前のブーム。絶妙なワインセレクトの店で、センスのいいつまみと一日を締めくくりたい。
マニアックな銘柄もグラスで気軽に。
那覇市|和洋葡yoshi
手前から「おばんざいの盛り合わせ」¥880、「あわびの肝和えパスタ」¥2,200、スーチカ(豚の塩漬け)に着想した「アグー豚の自家製ハム」¥1,210。店主が敬愛する陶芸家・紺野乃芙子のうつわで提供。
看板のない隠れ家のような空間。セラーには「時代に左右されず、軸のぶれない造り手」から選んだ約300種のワインが眠る。店を起ち上げたのは、フジマルや中戸川といった東京の人気店で和洋両ジャンルを経験した伊禮達哉ソムリエ。鶏白レバーの生姜煮、焼もろこし豆腐など、ワインに寄り添うアテはシンプルながら、イタリアンのエッセンスも忍ばせる。希少な銘柄を含むヴァンナチュールは、日替りで15種がグラスで楽しめる。
おすすめはルトンデスリーズ「フーデュロワ 2018」(右から2番目)ボトル¥7,370など。セレクトの傾向は「発酵期間の長いもの」が多い。ワインはボトル¥5,500〜、グラス¥990~
カウンター6席、テーブル3席の店内は、ワインを飲むゲスト限定。
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切りたてハム×ナチュールの、極上ペアリング。
那覇市|リキッド ザ ストア
ヴィトフスカ品種に情熱を注ぐ、イタリアのヴォドピーヴェッツ「オリージネ2015」などのグラス¥800〜、併設のTESIO 2×(テシオニカケル)より「自家製ハムの盛り合わせ」¥900
"飲むこと"をテーマに、食器や飲みものを提案する専門店。沖縄を含む国内外で生まれたものに焦点をあてつつ、ヴァンナチュール、日本酒、ジンやラムなどの蒸留酒、お茶や茶器、グラスにいたるまで、村上純司代表の審美眼で選び抜いた飲料やアイテムが並ぶ。コザに本店を置くドイツ製法のハム&ソーセージ専門店、テシオの2号店を併設しているので、角打ちスペースでグラスを片手に切りたてハムとのペアリングを満喫したい。
「沖縄で飲んでこそ、よりいっそうおいしいワイン」という視点で選んだナチュールは、イタリア産が中心。ボトル¥2,200〜。左は村上がディレクションするクラフトジン&ラム ボトル¥5,500~
グレーを基調にした店内。北谷町の「タイムレスチョコレート」(¥950~)も販売。
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おひとりさまも大歓迎、昼飲みが楽しい一軒。
那覇市|沖縄那覇 花木酒店
井上千尋店主が、岡山で精肉店を営む実家から取り寄せる自家製メンチとナチュールのペアリングはぜひ試したい。手前から「ちちめんち」2個¥770、「アグー豚ソーセージとインゲンのエチュべ」¥990、ワインはオーストリアのオレンジワイン。グラス¥1,100〜
大阪のワインビストロ、花木酒店の姉妹店。路地裏に佇む建物2階奥、シックなバー空間では、ソムリエールが厳選するヴァンナチュールを約50種ラインナップ。ウフマヨやクロケットなど、フレンチビストロと居酒屋を掛け合わせたような小皿料理は12品ほど。グラスワインは泡、白、赤、ロゼ、オレンジから、料理に寄り添う銘柄を適宜抜栓する。火〜木と日曜日は15時に開店するため、ゆったり飲める昼飲みがおすすめ。
おすすめはアグリコーラ・リュイット・リミタダ「ペット ナット」(中央、ボトル¥6,000)など。
おひとりさまや、ナチュールビギナーも歓迎。
沖縄県那覇市牧志3-13-12 HACCHI 202
tel:070-2796-7677
営)15:00〜22:00L.O.(日、火〜木) 16:00〜23:30L.O.(金、土)
休)月 ※ほか不定休あり
@hanakisaketenokinawa
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県内最多の品揃え! ワインショップで角打ち体験。
那覇市|ツチトイブキ
泡、白、赤、ロゼ、オレンジ、グランヴァンもグラスで楽しめる。グラス¥660〜。料理は左から「イチジクの白和え」¥550、デリカテッセン、ヌチブタの「県産スモークレバー」¥550
「裏国際通り」の通称で親しまれる浮島通りに2020年オープン。昼13時から角打ちが楽しめるワイン専門店。ソムリエがセレクトするワインはヴァンナチュールを中心に約500種。その日の気候などに合わせてラインナップするグラスワインは30種以上と、県内最多の品揃えも評判だ。ワインに合わせた料理は、ちょい飲みにもぴったりな小皿料理を中心に、県内専門店の餃子やパテなど、和洋中が揃う。
竹内佐織店主が力を入れるのは、オーストリア、チェコ、スロバキアなどの東欧エリア。おすすめは、チェコのドナトゥス「リシャック」(左、ボトル¥3,960)。抜栓料は1本¥1,500
店舗の右半分がセラー、左手が角打ちエリア。
沖縄県那覇市松尾2-7-27 プチメゾンド松尾1F
tel:080-3906-9753
営)13:00〜21:00L.O.
休)月 ※祝日の場合は営業、翌火曜日定休
@tsuchitoibuki
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ビストロの王道メニューに、飲み疲れしないワインを。
那覇市|ビストロ アビエ
左から、4種のキノコぺーストを使った自家製マヨで半熟卵を包んだ「ウフマヨ」¥330、アサリ出汁と合わせたトマトソースの辛味が後を引く「エビと県産野菜の軽い煮込み」¥1,560、ワインはグラス¥550~
東京のイタリア料理店を経て、宜野湾の人気フレンチ、加藤食堂で修業した友利秀昭シェフが2019年に独立。ウフマヨや鶏レバーのムース、ステークフリットなど王道ビストロメニューをはじめ、トウガンのスープ、サトイモのオーブン焼きなど、地のものや旬の食材を使った「本日のおすすめ」も好評だ。ワインは店主が好む日本ワインをはじめ、飲み疲れしないヴァンナチュールのラインナップにも力を入れている。
の音wines「ReSTAURANT 2021」(左から2番目、ボトル¥5,000)やタケダワイナリー「ペティアン」(右から2番目、ボトル¥4,000)など、飲みやすさで人気の日本ワインも。
店内はオープンキッチン。
*「フィガロジャポン」2022年12月号より抜粋
photography: Wataru Oshiro (camenokostudio) text: Akari Matsuura