Hyogo Prefecture おいしいを紡ぐ人々と、兵庫のテロワールを巡る旅。

Gourmet 2023.01.20

PROMOTION

摂津・播磨・但馬・丹波・淡路からなる多彩な“ひょうご五国”のうち肥沃な播磨平野や豊穣な播磨灘など食材の宝庫である播磨。フードエッセイストの平野紗季子と播磨エリアの豊穣な恵みと食に携わる人々に出会った。


生産者と直に繋がって生まれた、繊細で淡味な日本料理。

兵庫県の面積の約4割を占める播磨エリアは、前に播磨灘、後ろに中国山地が連なり、山海の幸にあふれている。その地で播磨の魅力を料理で表現するのが、日本料理 淡流の中江悠文。2ツ星、銀座小十で料理長を任され、独立して4年目ながら全国の食通が足しげく訪れる店を育てた実力派だ。自身も表千家茶道の茶人。数寄屋造りの凛とした空間で、生産者の顔が見える食材を仕立てている。

平野紗季子が訪れた冬のある日、日本料理の要である椀物は「カニの真丈 カブのすり流し」が供された。蒸したワタリガニの身をほぐし、つなぎを最小限にした椀種にカブのすり流しをひと口飲めば、清らかな味の余韻が続く。椀物で料理人の世界観がうかがい知れると言う平野も「気高いと言っていいほど出汁が見事に調和している」と絶賛。続くのが「朝穫れダイコン 牡蠣味噌」。播磨・坂越の牡蠣をゴマ油で炒め、白味噌を加えペーストにしたものを、店から車で10分の距離にある岡本農園で収穫し、炊いたダイコンに添える。牡蠣の旨味が口いっぱいに広がり、「牡蠣とダイコン、どちらが主役かというヒエラルキーがなく、両者の旨味が合わさり美しい波紋が広がっていくよう」と平野が余韻を味わう。

繊細な淡味の料理には、播磨の地酒を合わせたい。独立前に岡田本家で酒造りを学んだ中江は、酒造りの大変さを知ったからこそ説得力をもって薦められると言う。料理に使う水は、地下180メートルから湧き出る岩部天然名水。週に4回程度汲みに行くなど、播州の食材をおいしく料理する労力を厭わない。

[ 姫路市 ]
日本料理 淡流

姫路駅からほど近い場所に立つ日本料理店。オーストラリア、ドバイ、銀座など国内外で腕を磨いた中江悠文が、播州の山海の恵みを映し込んだ料理を表現すべく故郷の地で開業。使用する食材は、生産者から直接買い取りするものがほとんど。購入した近郊の山で獲れるタケノコや山菜、自身で育てた野菜を料理に盛り込むのが夢。聚楽壁や網代天井など数寄屋造りの洗練された意匠の空間で、奇をてらわない淡味あふれる料理を供する。

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料理はいずれも¥20,900のコースの一例。 左:「カニの真丈 カブのすり流し」。あしらいは芽カブで吸い口は地元・姫路産のユズをちらし、カブの甘味に鮮烈な香りが加わる。 右:坂越の牡蠣をペーストにし、炊いたダイコンに合わせる。陶芸家の盆出哲宣(ぼんであきのり)のうつわで供する。 

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店を開業する前に中江が蔵人として酒造りを学んだ岡田本家の名酒「盛典」や、播州・吉川産の山田錦を使用した「純米吟醸 超辛 播州山田錦」などの地酒。1合¥1,600~

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平野紗季子/
フードエッセイスト・フードディレクター

Sakiko Hirano
食に関する独自の視点を、本や雑誌、ラジオ/ポッドキャストやTV で発信。代表を務める菓子ブランド、ノーレーズンサンドイッチとトラヤあんスタンドとのコラボ商品を1/31までの期間限定で発売。

Nihon Ryori Tanryu
兵庫県姫路市朝日町58 メゾンソレイユ 1F
079-240-8872
営)12:00~12:30最終入店、18:00~20:00最終入店
※毎月第3日曜のみ朝食営業(8:30一斉スタート)
不定休
要予約
http://tanryu.com

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中江が信頼する生産者のひとりが、赤穂市にある松本水産の松本和也。祖父の代から坂越の牡蠣養殖を営む。坂越湾は、天然記念物の生島樹林と日本名水百選の清流千種川の豊かな養分が流れ込み、プランクトンも多く一年で大きくなる「一年牡蠣」で有名だ。「えぐみが少なくクリーミー。火を通してもフレッシュな味わいで生食はもちろん、焼くのもおすすめです」と松本は太鼓判を押す。

[ 赤穂市 ] 
松本水産

赤穂市漁業協同組合の坂越かき直販所と加工場が軒を連ねる一角。ここで、祖父の代から坂越牡蠣の生産と加工を手がけているのが松本水産だ。「坂越は海流の関係で養分が豊富。ここで育った牡蠣は身がふっくらとし、クリーミー。最もおいしくなるのは1~2月です」と代表の松本和也。坂越牡蠣の養殖業者は現在16軒。毎年くじ引きで養殖場が決められるという。飲食店の卸しがメインだが、通販での購入も可能。

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代表の松本(右)から坂越の牡蠣の特徴を聞く平野。 

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左:一度水揚げし殻に付着している藻などの汚れをヘラで綺麗に落とし、身入れを良くするため約2~3週間してから再び海に戻す。この手間が身を肥えさせ、甘味が強くクリーミーな味わいとなる。 右:坂越湾の沖合で春に種付けし養殖する。

Matsumoto Suisan
兵庫県赤穂市坂越319
tel : 0791-48-1293

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[ 姫路市 ]
坊勢漁業協同組合

瀬戸内海東部に浮かぶ家島諸島中部の坊勢島は、漁船850隻と漁港あたりの漁船数が日本一。島民2000人の約7割が漁業関係で生計を立てている。脂ののったブランドサバ「ぼうぜ鯖」の発祥の地でもあり、春は「華姫さわら」、夏は「白鷺鱧」、冬は牡蠣や「ぼうぜがに」など、多種多様な魚介が獲れる。姫路港にある姫路まえどれ市場は直売店で、朝獲れの新鮮魚介が購入できたり、その場で食べられる。

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春から夏にかけて播磨灘にてまき網漁で漁獲した真サバ。海中の大型いけすで天然に近い状態で養殖することで、島の名物である「ぼうぜ鯖」になる。ブランドサバの先駆けともいわれ、臭味がなく上質な脂がのった身は冬が旬。刺し身にしても美味だが、島の漁師たちのおすすめはサバしゃぶ。

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海に浮く全長130mの浮桟橋。 作られた当時は東洋一と謳われ、現在でも全国の漁港で第2位の長さを誇る。

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播磨の大地の味を提供する、志ある作り手たち。

姫路駅南側にあるトラットリア ピッコラシチリアの店主・山本豪一も播磨の食材の多様性に魅せられたひとり。もとはシチリア料理専門店としてオープンし、輸入食材も使っていたが、「地産地消と気構えなくても、近くに想いのある農家や自然派ワインを造る人もいる。繋がりを大切にしていたら、いつしか自然と播磨の食材中心に。考えてみると、イタリア郷土料理はその土地の食材で育まれてきたもの。イタリア料理の精神性と通じるものがあると思います」。たとえば「ワタリガニとカブのタリアテッレ」のパスタも姫路産小麦のもの。平打ちパスタのぎゅっと凝縮した味わいがカニとカブの葉のソースと絶妙に絡み合う。「カニだけでなくカブの葉を使うことで大地に目線がぐっと近くなり、その土地の味になる」と平野も顔をほころばせる。

[ 姫路市 ]
トラットリア ピッコラ シチリア

東京で10年間修業した山本豪一がシチリア島に魅せられ、2015年に地元・姫路にシチリア郷土料理店をオープン。播磨の生産者たちと交流を続け、野菜や播磨灘の魚介、ジビエ、パスタやパンに使う小麦など播磨の食の多様さをイタリア料理に落とし込む。調味料以外すべてが地元産、メニューも黒板に潔く書かれている“本日の食材名”のみ。地元産のヴァンナチュールとともに、おまかせコースで播磨をまるごと堪能して。

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左:料理はすべて¥8,000のコースから。「牡蠣 ニラオイルと生落花生とフロマージュフレのソース」 右:加西市で獲れたジビエを使った「イノシシのモツのグリル」

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「ワタリガニとカブのタリアテッレ」。カニ身と内子、カブがたっぷり。八方美菜の小麦で作った平打ちパスタの、ぎゅーっと凝縮した味わいが絡み合う。 

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加西市で自然をリスペクトしたワイン造りをするボタニカルライフの「Vin Shu(播州)」を合わせて。ワインはペアリングで¥4,000〜

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山本シェフと播磨の食材談議に花が咲く平野。 

Trattoria Piccola Sicilia
兵庫県姫路市安田3-108-1
やすだタウンプラザ1F
tel : 079-284-1373
営)18:00~19:30最終入店(月、火、木~日)12:00~13:00最終入店、18:00~19:30最終入店(水)
不定休
要予約
@piccolasicilia

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自然農を営む島袋隆史が、取材時に店を訪れた。週に2日、軽トラックで移動販売をし、畑の土の匂いを纏う生命力ある野菜を届けている。アメリカの大学では経営学を専攻していた島袋が、循環農法を提唱する農家の赤峰勝人に感銘を受け、自給自足の生活を目指して祖母が暮らす姫路に移住、完全無農薬野菜を育てて13年目になる。

「播磨は、他人にどう見えるかを気にすることなく、ただひたすら誠実に真摯に食に向き合う人々ばかり。こうした店や、生産者をひとり知っているだけでも、その土地が輝いて見えます」と播磨の食に魅了された平野。

[ 姫路市 ]
八方美米・八方美菜

姫路市夢前町で約10,000㎡の田んぼと畑で米と野菜を育てる島袋隆史は、無農薬、無肥料と自然に寄り添った農業を実践。黒ダイコンやラブリーキャロットなど年間に約80種の野菜を作り、地元のレストランや全国に発信。その自然栽培の野菜と米を味わえる八葉食堂を島袋の妻が営んでいる。週に2回、姫路界隈を移動販売するほか、畑を飛び出して農と人を繋ぐさまざまなカルチャーイベントを開催。今年は野菜の加工場と宿泊施設、八方美庵を設立する予定だ。

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週に2日、トラックに無農薬・無肥料野菜を積み、移動販売をする島袋。葉までみずみずしいニンジンやまるで象の肌のような黒ダイコンなど珍しい野菜や旬の根野菜など約15種類を揃える。

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島袋(左)の育てた野菜に興味津々の平野。土の香りに誘われ、ニンジンをぱくり。

Happoubimai Happoubisai
兵庫県姫路市夢前町宮置349-1
メール:hppbmsa@gmail.com
https://hppbm.theshop.jp

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豊穣な播磨平野を一望するなら広嶺山にあるセトレ ハイランドヴィラ姫路へ。朝食、ディナーと播磨の食材で紡ぐ創作和食コースを楽しめる。月に一度、シェフや生産者が厨房や畑を飛び出す「セトレ オープンキッチン」もおすすめだ。その素材を深掘りし、生産者の想いに触れることができる。播磨を旅し、食に携わる人々と交流した平野はこう語る。「その地の食を知ることは、その地の文化を知ること。そのきっかけ、“扉”となるのがレストラン。食に触れることで、新たな播磨を発見できました」

兵庫のテロワールを巡る旅は、“おいしい”の先にある喜びにも繋がっている。

[ 姫路市 ]
セトレ ハイランドヴィラ姫路

播磨平野の街並みを一望する広嶺山、その山の上のホテルで味わうことができるのが、「播州百日どり」や姫路のブランド豚である「桃色吐息」、播磨灘の前獲れ魚介をちりばめた和洋折衷料理。料理と地酒のマリアージュを楽しんだ後は、地上300mからの絶景展望風呂やヒーリングテラスといった6種類の癒やし空間へ。1日1組限定の、眺望のいいバレルサウナが併設された客室も誕生し、心も身体も整う滞在を体験できる。

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館内に3室あるコンセプトルームのひとつ。202号室は、森林作りからの地域再生を目指す「西粟倉・森の学校」のデザインによる総ヒノキ張りの部屋。無垢の木の質感と香りが醸す極上のリラックスに心ほどける。

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左:料理はいずれも¥12,000のディナーコースから。カブの甘味が広がる「但馬鹿とカブのすり流し」 右:100日間かけて飼育した「播州百日どりのガランティーヌ」 

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左は天保6年創業の蔵元・田中酒造の「白鷺の城 純米吟醸」1合¥1,500、右は酒米・兵庫錦を100%使用した本田商店「龍力 純米吟醸 ドラゴン黒」1合¥1,800

Setre Highlandvilla Himeji
兵庫県姫路市広嶺山224-26
tel : 079-284-3010
休)火、水
全16室 バスタブ付き5室 1室¥25,000~(1室2名、2食付き)
www.hotelsetre.com/himeji
●問い合わせ先:
兵庫デスティネーションキャンペーン推進協議会事務局(ひょうご観光本部内)
tel : 078-361-7661
www.hyogo-tourism.jp/terroir

photography: Yoshiki Okamoto text: Akiko Wakimoto

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