グルメ班のおいしいこぼれ話 Vol.8 アートとともに愉しむ、最旬アフタヌーンティー。
Gourmet 2023.09.15
フィガロのグルメ班が、足を使ってかき集めたおいしいネタをトーク! 最新ニュースから推しグルメまで、食いしん坊なら押さえておきたい耳寄り情報をテーマ別にお届け。第8回は、いますぐ押さえておきたい注目のアフタヌーンティーについて、本誌グルメ担当のまりモグとmadam FIGARO.jpグルメ担当のYKが語り尽くします。
ザ・ペニンシュラ東京で優雅に満喫したい、9月限定のアートなアフタヌーンティー。
まりモグ(以下M) 今回は、いま注目のアフタヌーンティーの情報をお届けしたいと思います。先日行ってきたザ・ペニンシュラ東京の1階にあるザ・ロビーでは、9月1日から9月30日まで期間限定の「ANTEPRIMA アフタヌーンティー」が開催中です。ワイヤーバッグで知られるアンテプリマとのコラボってことで、宙に浮いたような鳥かご型になっていて、見た目からもう心つかまれます。ザ・ロビーを訪れる人の多くがこれを頼んでましたね。ワイヤーのキラキラ感がどういうふうに表現されるのか気になってたんですけど、ケーキもちょっとジュエリーっぽいっていうか、金箔などできらめきがあしらわれていました。
それから、ザ・ロビーでは現在、アンテプリマが注目するアーティストの横山奈美さんの絵画を展示しているのですが、そのネオンサインのような作品にインスピレーションを得たケーキやセイボリーが登場するんです。色味がピンクとか赤とかですごく映えるし、可愛いんですよ。ツナときゅうりのピンクサンドは、食べると普通においしいツナサンドなんですけど、見た目で気分がちょっと上がるというか。バンズがピンクになったちっちゃいミニバーガーなんかは、バーベキューポークが挟まっているんですが、こういったしょっぱい食事系もピンクピンクしてて、抜け目ないな~と。さらに、このアフタヌーンティーには、あのアンテプリマのワイヤーバッグがちっちゃくなったチャームがついてくるんですよ。限定品で無くなり次第終了になるんだと思うんですけど、お土産もあるっていうのも女子心をくすぐるんじゃないでしょうか。
ちなみに私、無類の粉もの好きなんですけど、アフタヌーンティーのいちばんのお楽しみがスコーンでして。スコーンって結構好みが分かれると思うんですけど、ここのはしっとり感とホロホロ感が同居したような食感で。プレーンのスコーンともう1種類、洋ナシのスコーンが出てくるのですが、珍しくていいなと思いました。9月1日からスタートしていて、30日までと期間が短いんですけど、横山奈美さんのアートとアンテプリマの世界観を楽しめる特別感あるアフタヌーンティーになっています。
YK(以下Y) ちなみにお値段は?
M ぴったり1万円。18時ラストオーダーで20時クローズなので、アフタヌーンティーといっても夜にお仕事帰りに行くのもありかなと思います。ボリュームもしっかりありますので。さすがはペニンシュラ、お茶がすごく充実しています。私のおすすめはザ・ペニンシュラ オリジナルティーっていう紅茶。ちなみに5月にプライベートで香港に行った際、ザ・ペニンシュラ香港のアフタヌーンティーに行こうと狙ってたんですけど、全然入れなくて。
Y 香港でも人気なんですね。
M 行きたい場合は予約する必要がありますね。宿泊者の方は優遇してもらえるみたいなので、余裕があるならその方がいいと思います。
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アンリ・ルソーの幻想絵画が、アフタヌーンティーと融合して登場。
Y 竹芝にあるオートグラフ コレクション ホテルのメズム東京では、アフタヌーンティーのことを“アフタヌーン・エキシビジョン”と呼んでいるようです。その16階のレセプション奥にある「ウィスク」っていうラウンジで、フランスの画家アンリ・ルソーの代表作『夢』をテーマにしたアフタヌーン・エキシビジョン「ドリーム」を12月1日までやっているんですけど、ルソーの世界観をお菓子で表現しています。
3段のボックスにはセイボリーが10種類、ほかにもルソーの出身地であるロワール地方生まれのクレームダンジュが登場。クレームダンジュって一般的にはベリー系のソースを合わせることが多いですが、今回はミックスベリーのモクテルが付いてきます。クレームダンジュのふわふわ感とベリーのモクテルの酸味が絶妙にマッチしていました。昼に優雅な気分に浸りたい、でもまだ酔いたくはないって人にはいいかもしれない。もう1種類用意されていた、レモンバームのモクテルもバージンモヒートみたいで印象的でしたね。僕、モヒートを飲み終わった後に、炭酸水や水を入れてミントソーダやミント水にしてチェイサーで飲むことがあるんですけれど、バージンモヒートもその感覚に近いかも。暑さが残るいまの季節に、ミントの清涼感がたまらないです。
M こちらのアフタヌーンティーは、飲み放題ではないってことですか? ほかはお代わり自由のところが多いと思うんですけど。
Y 基本は先ほど紹介したモクテルが2種類、プラス1000円でコーヒーフリーのプランを付けることができるようです。
M メズムはカクテルがすごくおいしいですよね。いわゆるミクソロジーで、見た目もアートをテーマにしたカクテルがあって。
Y まさに今回も絵画をモチーフにしたミクソロジーですね。モクテル2種類にしても、お菓子の味わいにマリアージュしたすごくスッキリとした飲み口と、酸味があって甘やかな飲み口っていうのが対比的でいいなあって感じました。
M お酒、シャンパーニュ付きのコースとかもあるんですか?
Y 基本のメニューが6500円で、ドリンクは随時追加でチャージしていくことになります。
M なるほど。で、あの景色のいいところで飲めるっていう。
Y 竹芝って劇団四季さんがあったり、再開発してから足を運ぶことも多いんですけど、上から見るとこんなにきれいなんだなーって感じますね。
M 一度、メズム東京に泊まったことあるんですけど、東京らしさはありながらも、違った景色が見えてくるっていうか。竹芝の景色ってなんだか新鮮ですよね。
Y 下には隅田川と浜離宮公園を眺められますし、運が良ければ、窓際の席から庭園を見下ろしながら食べられますね。話はアフタヌーンティーに戻りますが、セイボリーもひとつひとつが凝ったつくりになっていて、それぞれがルソーの『夢』っていう作品に出てくる動物や植物になぞらえたスイーツになっているんです。
たとえば、鳥だったら下にミートパイが入っていたり、蛇の形をしたモンブランだったり。蛇使いの女性は、肌が黒く描かれているんですが、ラム酒をしっかり効かせたカヌレになっています。面白いのが、ルソーの恋人がヌードの女性として描かれているんですが、ヤドヴィガさんっていうポーランド出身の女性で。そのため、スコーンの代わりにポーランドの菓子パンのマコビエツっていう、チェリージャムが詰まったスイーツを使っています。初めて食べたんですけど、ちょっと独特な味わいでしたね。それから、セイボリーが入ったボックスは、最初の登場時には蓋をした状態で出てくるのですが、開けると中からぶわっとドライアイスの煙が! 動物たちが乗っかっているような様子が、本当に白昼夢ぽいというか。
M やっぱり凝ってますね。
Y 平日に24食限定ってことですが、僕が伺ったのは14時の回。3部制なんですけど、14時の回でも僕らを含めて12人ぐらいが一斉にオーダーしていたので、その回だけですでに半分は出てしまっているという! 平日なのにかなり人気だなっていう印象でした。
M メズムのアフタヌーンティーがいつもアートをテーマにしているのは、ホテル全体がそういう雰囲気だからですよね。
Y ホテル全体がすごく凝ったつくりですよね。あと、メズムの制服はヨウジヤマモトがつくっているのも、個人的な推しポイントです。
M かっこいいですよね。いい意味でホテルらしくない。
Y ホテルマンに見えないスタイリッシュな従業員が運んでくれるアフタヌーンエキシビジョンっていうのも、ひとつポイントかなと。
M ペニンシュラもそうですけど、ホテルではやっぱり泊まるのもありかなと思います。景色がすごくいいし、メズムなんて客室にピアノがあって、普段ピアノ弾かなくても絶対弾きたくなっちゃいます。クリエイティブで刺激をもらえますし。
Y そうですよね。週末金曜日とかに泊まって、ちょっとテレワーク。アフタヌーンティーと併せて、週末のリチャージみたいな感じですかね? ちょっと憧れますね。
M ちなみに私が以前、メズムのアフタヌーン・エキシビションに伺ったときは、クロード・モネの『日傘をさす女』がテーマでした。本当に日傘を差してる女の人のケーキとか出てきましたが、そのときもストーリー性が凄かったですし、ここのアフタヌーンティーは唯一無二だなと思いました。
Y 今回が第9弾になるそうですけど、第10弾が始まる12月に向けて、養父(やぶ)シェフとクリエイティブディレクターの小泉さんがもう話し合いを始めているとのことでした。
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リニューアルしたベージュ アラン・デュカスで、シャンパンとともに優雅なヌン活を。
M 私たちはまだ行ってないけれど、シャネル銀座のビルの10階にあるベージュ アラン・デュカス東京のレストランが新しくなって、アフタヌーンティーもリニューアルしたっていうニュースが気になっています。
Y すでに別で記事が出ているのですが、ぜひ行ってみたいです。
>>関連記事:ベージュ アラン・デュカス東京で味わう極上アフタヌーンティー。
M ベージュは、シャンパンとかもやっぱりすごくよくて。アフタヌーンティーもグラスシャンパーニュをプラスして楽しめるそうです。で、飲み足りなかったら、終わった後に上の階のルーフトップに行ってさらに味わうもよし。
Y あのテラス席がとても素敵なんですよね。
M ね、そういう楽しみ方もありかなって思います。
Y そこでしか見られないシャネルのアートや写真があったりしますし、銀座の中でも特殊な空間だなと毎度のように思います。
M ね。サヴォアフェールが感じられる空間になっていて。今回紹介したところは皆そうなんですけど、たった2時間過ごすだけでもかなりリフレッシュリチャージできる感じ。空間も含めて満喫できるというのが共通してる。
Y そうですね、まさに大人のためのアフタヌーンティー!
www.peninsula.com/ja/tokyo/special-offers/dining/peninsula-afternoon-tea
www.mesm.jp/news/dream.html
YK/大学時代、元週刊プレイボーイ編集長で現在はエッセイスト&バーマンの島地勝彦氏の「書生」としてカバン持ちを経験、グルメの洗礼を浴びる。ホテルの配膳のバイト→和牛を扱う飲食店に就職した後、いろいろあって編集部バイトから編集者に。好きなものはオーセンティックバーとトラットリア。目前に迫るワインエキスパートの二次試験(テイスティング)に向け、ワインに溺れる毎日。
text: Eri Arimoto