行きつけのワインショップ、教えます! 自然派ワインとヴィンテージボトルが揃う「隠れ家」的なショップ、経堂のエニウェイ・グレープスへ!
Gourmet 2024.05.26
フィガロワインクラブのフレンズが足繁く通う、とっておきのワインショップをご紹介。今晩の食卓から週末のパーティ、手土産にぴったりなワインを探すならここだ!
ノーボーダー、メッセージのあるワインを。|コンセプシャル ワインブティック エニウェイ・グレープス|経堂
土日はワインショップ巡りが趣味、な編集YK。世田谷区に引っ越して3年、ずっとお世話になっているのがワインショップ「エニウェイ・グレープス」だ。経堂駅を降りて徒歩3分、商店街と住宅街のちょうど狭間くらいのビルに、ワインボトルがさりげなく飾られた地下への階段が口を開いている。
地下に降りると整然と、しかしぎっしりと並ぶボトルの本数に高揚感を覚えるほど! 取り扱っているのは約1400銘柄、若手の自然派生産者からブルゴーニュ、シャンパーニュをはじめとしたオールドヴィンテージのワインまで幅広く揃う。
店主の高橋寿典さんはグラフィックデザイナーから居酒屋経営を始め、そこでさらにワインに魅了され2008年にワインバーをオープンしたという少し変わった経歴の持ち主。翌年には下高井戸にあったワインバーの上階で、念願だったオールドヴィンテージボトルをメインに取り扱うワインショップをオープンさせた。東日本大震災を機に、現在の場所に移転。そのあたりから自然派ワインにも興味が出てきたのだという。
「ビオワインや自然派ワイン、という言葉がもてはやされるようになりましたが、ブルゴーニュの生産者はかなり自然派的なブドウ造りをやっているし、自然派なワインを造っていても、とりたててそれをアナウンスするような売り方をしない若い世代の生産者も多かったんです」
店内右側にある特徴的なカウンターの下には1000〜2000円台の手に取りやすいラインナップが並び、中央には3000〜4000円台の自然派ワイン、左の棚にはオールドヴィンテージボトル、その奥のスペースにはさらに国別に並べられたワインがぎっしりと揃う。
「"伝えるべきメッセージのあるワイン"を選ぶようにしています。クラシックもあればアナーキーなものもあるし、国を絞ることもない、ボーダーレスなセレクトで、ふわふわやっています(笑)」と語る高橋さん。店舗内にあるカウンターでは不定期で勉強会と称して珍しい産地や希少なボトルの試飲ができることも! 大人な飲食店も多い、落ち着いた経堂にある"ワインの隠れ家"で、ぜひお気に入りの生産者を探してみては?
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店主が思う、「ウチの店らしい」ワイン!
自然派ワイン、オールドヴィンテージの取り扱いに加え、マグナムボトルの取り扱いも多いエニウェイ・グレープス。 ボトルの中の液量が多い分、熟成がゆっくり進み、750mlのボトルでは味わえない格別な味わいを楽しむことができるという。マグナムボトルを取り扱う基準を、高橋さんは「自分で飲んでみたいかどうかです(笑)」と語る。
「ドメーヌ・レオン・バラルは、単純明快でおいしいボトルが多い南仏ラングドックの産地の中で、とても繊細で複雑性のあるワインを作る生産者です。ムールヴェードルとシラーという、重くなりがちな品種を30日間、丁寧にピジャージュ(発酵中の液体の上に浮いてきたブドウの皮や実を棒でかき回してタンニンや香りを引き出すこと)することで、フィネスのあるエレガントな仕上がりに。2009年収穫のワイン、どんな熟成を経ているでしょうか」
世界的な需要や気候変動によって、ブルゴーニュのワインは高騰を続けている。「これ以上価格が上がったら、取り扱いもなかなか難しい」というブルゴーニュワインだが、そのワインを飲むという経験には、値段以上の価値が確かにあるだろう。
「ドメーヌ・ピエール・ボワッソンはムルソー村に本拠地を構える家族経営のドメーヌ。生産量が少ない上に輸出を嫌っており、長い間メーリングリストを通じて個人客への販売がメインだった為に日本での知名度は高くありませんでしたが、2016年からようやく日本へ輸出が決まりました。ワインのスタイルは還元的で若いうちはマッチ香が漂いますが、熟成とともに落ち着き、テロワールを反映した非常にクリアで洗練されたムルソーに仕上がります」
コンセプシャル ワインブティック エニウェイ・グレープス
東京都世田谷区経堂2-13-1-B1階
tel: 03-6413-9737
営)10:00〜18:00(日・月)
10:00〜20:00(水〜土)
休)火 ※ほか不定休あり
http://anyway-grapes.jp
Instagram: @wineshop_anywaygrapes
text: Yosuke Kanai(madame FIGARO japon)