人類初! 宇宙での醸造計画が進行中。「獺祭MOON〜宇宙醸造」、そのお値段は1億超え!?
Gourmet 2025.02.21
「獺祭」と聞けば、日本酒好きなら口にしたことがあるに違いない。日本酒に興味がなくても一度は耳にしたことがある銘柄だろう。2023年には、ニューヨークにも酒蔵を設立。アメリカ産の山田錦(酒米)を使用した「DASSAI Blue」を造って、アメリカや日本でも販売している。
「アメリカで作る酒なんて......」と思うだろうか? いやいや侮るなかれ。口にすれば、日本で造ったものより華やかな香りが強く、しかしスッとキレて後味よく、言ってしまえば予想を遥かに上回る高品質。日本酒の可能性はまだまだ広がると感じさせてくれる味わいなのだ。そしてこの度、その秘めたる可能性は、なんと地球を飛び出し、宇宙へまで! 「獺祭」宇宙醸造計画が進行中である。
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今年、宇宙ステーション「きぼう」に行く宇宙船に材料(米、麹、酵母、水)を乗せ、宇宙空間で発酵。できたもろみを冷凍状態で地上に帰還させ、解凍して搾る。おおよそ200mlの酒が出来上がる予定で、半分は分析に使い、残りの100mlは「獺祭MOON〜宇宙醸造」として販売予定だ。その予約を、2月19日から伊勢丹新宿店で行われる「獺祭 ザ・ステージ」で開始した。
気になるお値段は、なんと1億1,000万円(税込)!!! びっくりマークがいくつあっても足りない......。ちなみに、予約希望者が多数の場合は抽選となる。売り上げは全額宇宙開発事業に寄付するとのこと。つまり、酒蔵としてはまるまる赤字ではあるが、2040年以降、月に人が住む時代になったときに、向こうに住む人たちにも現地で造った酒を飲むような楽しみがあってもいいじゃないかという心で実験開始というわけなのである。いやはや、スケールの大きさに脱帽だ。
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人類初の「宇宙産酒」
いったい、宇宙で発酵させるとどんなの酒になるのだろう? 「まったく予想できないんです」と桜井一宏社長は語る。
「そもそも無重力状態できちんと発酵するのか? 計算上は可能ということですが、何しろ人類初の試みなので、やってみないことにはわかりません。味わいも想像がつかないですね。吟醸香は米へのストレスで出てくるという説もあり、無重力状態をストレスがないと考えると香りが出ないかもしれない。その逆で、強いストレスとなり香りも強くなるということもあり得る。本当に、我々にとっても未知ですし、結果は、日本酒業界だけではなく、科学、医療といった分野からも注目されるのではと思います」
はたしてどんな酒ができあがるのか? 日本に持ち帰り、酒として完成するのは来年の予定だ。ワクワクしながら続報を待ちたい。
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伊勢丹で開催される「獺祭 ザ・ステージ」では、「獺祭MOON〜宇宙醸造」の予約のほか、限定ラベルの「DASSAI Blue」や、アメリカでの醸造技術を詰め込んだ「DASSAI Blue Beyond the first Step」、日本で作られた限定酒など約20種類を販売。この機会にぜひ、世界から宇宙へ羽ばたく「獺祭」のチャレンジングな世界観に触れてほしい。
2025年2月19日(水)〜25日(火)
伊勢丹新宿店本館1階ザ・ステージの他、本館1階ISATAN SEED、本館地下1階和酒コーナー、本館7階イートパラダイスにて開催。
https://www.asahishuzo.ne.jp/
text: Chieko Asazuma