RUINART 気候変動の中、シャンパーニュの未来は? ルイナールが提案する「ブラン・サンギュリエ」という新たなキュヴェ。

Gourmet 2025.06.24

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世界最古のシャンパーニュメゾンとしてシャンパーニュ・ランスで創業、290年以上にわたり歴史を紡いできたルイナール。「シャルドネハウス」との呼び声も高い、高貴でガストロノミックなシャンパーニュ造りを行なっている老舗メゾンだ。彼らが新たに生み出した「ブラン・サンギュリエ」は、激しい気候変動の中で新たな方向性を示したキュヴェ。"新時代のフラッグシップ"ともいうべきシャンパーニュを手がけた最高醸造責任者のフレデリック・パナイオティスが、「ブラン・サンギュリエ エディション 19」を伴って来日するにあたり、その思いをインタビューした。

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フレデリック・パナイオティス/1964年生まれ。パリ・グリニョン農学院およびモンペリエの国立高等農学院を卒業後、フランスとカリフォルニアで研修。91年からシャンパーニュ委員会で働き、その後、ヴーヴ・クリコに入社。醸造長であった故ジャック・ペテルスの下で右腕として活躍した。2007年、ルイナールの最高醸造責任者に就任。

「シャンパーニュを造るには、"エレガントな酸味"を保った状態でブドウが熟すタイミングを見極めることが非常に大切。私たちのフラッグシップである、シャルドネだけを使用したブラン・ド・ブランは心地よい酸味、シトラスの香り、フローラルなアロマ、引き締まるミネラル感が特徴的です。ところが気候変動の影響で、この酸味を保つことがとても重要な命題となってきたのです」

ブラン・サンギュリエが生まれたきっかけについてパナイオティスは振り返る。

「2015年の収穫が終わった後、ルイナールの社長であるフレデリック・デュフォーと『これまでのようなブラン・ド・ブランを造り続けるのは難しいのでは?』という話をしたんです。毎年夏の平均気温は上がっているし、ブドウが熟すタイミングが非常に早くなっている。それによって収穫を前倒しにしなければならなくなってきた。これまで通りのシャンパーニュが造れないのであれば、気候変動の時代にはどんなブラン・ド・ブランが造れるのか、という話になったんです」

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トライアルの中から生まれた「ノンドザージュのブラン・ド・ブラン」という個性。

そうして2016年、プロジェクトが始動した。ブラン・サンギュリエの「サンギュリエ(singulier)」とは、フランス語で「特異な」「独創的な」「珍しい」といった意味を持つ。この時点で完成形を目指す意図はなく、新たなキュヴェのためにリザーヴワインを造る、という目的のためにワインを醸造した。

「2017年はルイナールの記録でも3番目に早いタイミングでの収穫を実施したヴィンテージとなりました。ここで、いわばプロトタイプとなるシャンパーニュを仕込み、セラーで寝かせました」

シャンパーニュでは、その年に採れたヴィンテージを中心にしつつも、それまでに造ったリザーヴワインをアッサンブラージュ(ブレンド)する手法が取られることが多い。メゾンが目指すワインの味わいの方向性をキープしながら、ヴィンテージの個性も表現することができる手法だ。

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テイスティングの席では、ブラン・ド・ブラン、ブラン・サンギュリエ 17エディション、18エディション、そして日本で新発売となる19エディションを体感した。

そのリザーヴワインの中に新しいヴィンテージのワインを注ぎ足し、次のシャンパーニュを造るまでストックしておく「パーペチュアル(永遠の)・リザーヴ」と呼ばれるワインを使用する方法が取られることもある。ブラン・サンギュリエでは、キュヴェの約80%にその年醸造したワインを使用、残りの約20%は酷暑のヴィンテージの歴代の個性を記憶したパーペチュアル・リザーヴを使うという方向性に舵を切った。そのため、ワインはヴィンテージではなく「エディション17」など、味わいの決め手となるヴィンテージを示した名前を冠することとなる。

「2018年、この年はとにかく暑く、乾燥して、シャンパーニュ地方の気候の記録を塗り替えるほどの年となりました。栽培に関しても"収穫するまで、どうなるかわからないぞ"と思うほどにチャレンジングなヴィンテージです。そうしてできた2018年のワインとパーペチュアル・リザーヴをアッサンブラージュし、瓶詰めした時に『あ、今回はいけるな』と確信したのです。気候変動を表現するのはこんなシャンパーニュだという方向性と、実際に造っているワインが共鳴しているのを感じました」

パナイオティスにとって、ブラン・サンギュリエとは「ノンドザージュ(糖分調整なし)で長期熟成ができる、暑かったヴィンテージの個性を感じるシャンパーニュ」なのだという。

「暑さの中で、酸がしっかりしながら糖度が十分に上がったワインであれば、ノンドザージュでもバランスの取れた個性が得られるのでは、と思ったのです。そうして2022年、確信を得られたエディション18の仕込みから4年目に、市場に出す準備を始めました。正直、エディション17に関しては、個人的にはドザージュをしたほうがバランスが良いのでは、と思う仕上がりになっています。しかし『気候変動というものはもうここまで来ている、避けては通れないのだというメッセージ性を持ったシャンパーニュを』というデュフォー社長の思いで、エディション17はルイナールのワイナリー限定で発売することにしたのです」

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黄色い柑橘のような香りに、スパイシーで旨味のある味わいが誕生。

パーフェクトな方向性が見えた、と語るブラン・サンギュリエ エディション18は、2023年からフランスとアメリカ市場限定で発売を開始。24年にはヨーロッパ市場にも発売を広げた。

「エディション17をテイスティングすると、ミネラル感、シャープなシトラスの香りです。エディション18は、個人的にも驚くほどに"新しいシャルドネ"の可能性が浮かび上がっていました。スパイシーで、旨味があって、少しグリッシーな余韻がある。シトラスやライムというよりは、ミカンやキンカンのような黄色い柑橘のニュアンスを感じる香りが漂います」

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新発売となったブラン・サンギュリエ エディション19。ラベルには再生紙を使用。実はエディション毎にラベルの色味も変化させているのだとか。

「そして2025年、エディション19を発売することとなりました。2019年、この年はとにかく暑く、熱波が何度も来て、畑の最高気温は42、3℃になることも。ワイナリーに停めておいた私の車の室内温度は46℃になっていたくらい暑かったんです。ブラン・サンギュリエ エディション19の個性も、やはりエディション18で確信した方向性と似通っています。エレガントな酸は保ちながら、スパイシーさのボリュームは大きい。黄色い柑橘の香りがあり、言うなれば『セイボリー』的な塩味があるのです」

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ブラン・サンギュリエは『未来のブラン・ド・ブラン』

パッケージに関しても、ブラン・サンギュリエでは意欲的な取り組みをしている。

「ボトルの形はブラン・ド・ブランと同じですが、ブラン・サンギュリエでは90%再生ガラスを使用しています。そのため瓶はダークな色合いになっており遮光性が高いので、透明なガラスを採用しているブラン・ド・ブランで使っているセカンドスキン(=天然木質繊維を主として作られた、ボトルを包むように保護する包装)は使用していません。ラベルは再生紙を使い、インクも再生可能な素材を追求。また、通常は金属とプラスチックを混ぜて作るボトルネックのホイルですが、これも100%アルミニウムを使用して、リサイクル可能にしました」

気候変動の中で生まれたシャンパーニュだからこそ、環境に配慮したボトルをというメゾンの思いだ。

「ブラン・サンギュリエが伝えるメッセージはふたつあります。ひとつは『気候変動はもうここまで来ている』ということを明確に伝えること。そしてもうひとつは『変化の中でも、ルイナールらしさを保った美しいシャンパーニュを造ることはできる』ということです。今後も気候変動は続いていくでしょうし、われわれは身近なことからできることをしなければいけない。でも、その気候変動に向き合わなければならない、共存していかなければならないことも事実なのです」

その姿勢を、パナイオティスは「陶芸家」にたとえた。

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「ルイナールは朝の9時から夜の9時を超えても、いつ飲んでもおいしく人生に寄り添うシャンパーニュです」とパナイオティスは口癖のように語っていた。

「陶芸家の方たちがいつもの土で、いつものやり方で美しい陶磁器を作り上げていく。もし彼らが違う土を使うとしたら? もちろん、いつもと勝手が違うでしょうし、いつもの焼き上げ温度では思った色が出ないかもしれない。しかし自身が培ってきた技術で、試行錯誤の上にいつもとは違った、でも彼らの味がある焼き物が出来上がることでしょう。ブラン・サンギュリエも同様です。これまで造ってきたシャルドネとは趣きが違う、でもわれわれにはルイナールが伝えてきたスタイルとノウハウがある。これを組み合わせることによって、まさに『未来のブラン・ド・ブラン』が生まれたのです」

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「ルイナール ブラン・サンギュリエ エディション 19」750ml ¥18,920/MHD モエ・ヘネシー・ディアジオ

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問い合わせ先:
MHD モエ ヘネシー ディアジオ
https://www.mhdkk.com/brands/ruinart
6月15日に急逝されたフレデリック・パナイオティス氏の訃報に接し、深く哀悼の意を表します。

 

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