BACCARAT シャンパーニュの味わいが変化する? バカラのグラス3種をテイスティング。
Gourmet 2025.12.16
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2025年3月、創刊35周年を迎えたフィガロジャポンでは、「アールドゥヴィーヴルへの招待」をテーマに読者の皆様にさまざまな体験の場を提供しています。
11月30日(日)には、B bar Marunouchiでフィガロワインクラブ主催、バカラのシャンパーニュグラス3種類を使ったテイスティングセミナーを開催! 当日の様子をお届けします。
今年5月に移転リニューアルしたB bar Marunouchi。シャンデリアやオーナメントが煌めく中、過去の名作から最新作まで約200種類のバカラのグラスでドリンクを楽しむことができるスポットだ。
今回フィガロワインクラブが開催したのは、「グラスの形状でシャンパーニュの風味はどのように変化するのか?」という実験的なイベント。知的好奇心の高いワインファン22名がカウンターとソファ席に勢揃いした。
「バカラは1764年、フランス東部のロレーヌ地方のバカラ村で創設し、以来"メイド・イン・バカラ"を貫くメゾンです」
そう語るのはB barのマネージャーでバーテンダーの福田英徳。バカラのグラスを知り尽くしたプロフェッショナルだ。
「創設以来、バカラは土、空気、火、水の4大要素を大切に、純度の高いクリスタルを作り続けてきました。現在、マニュファクチュールにはフランスのラグジュアリーメゾンでも最大となる12人のM.O.F.(フランス国家最優秀職人)を抱えているということも、技術力の高さを裏付けていると言えるでしょう」
そもそもワイングラスにさまざまな形状があるのはなぜなのか? 「ワインの味というより、むしろ香りのほうがグラス形状の影響を大きく受けます」と、フィガロワインクラブのセミナーでもおなじみのワインジャーナリスト柳忠之が解説する。
「同じシリーズのグラスに赤ワイン用と白ワイン用がある場合、一般に赤ワイン用のほうが大きく作られています。これはワインの香りを開かせるのに、赤ワインのほうがより多く空気と触れさせる必要があるからです。白ワインの場合、リースリングやソーヴィニヨン・ブランのように元々華やかな香りのするワインが多いので、無理やり空気に触れさせる必要がありません。そして一般に白ワインは冷やしますよね。グラスに注ぐ量が多いと、とくに夏場はすぐにワインの温度が上がってしまいます。ですから、白ワインは冷やしたボトルから、小ぶりのグラスに頻繁に注ぐほうが理想的というわけです」
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シャンパーニュグラス、形の変遷の歴史とは。
では、シャンパーニュグラスの歴史とは?「シャンパーニュ用のグラスについては、以前から喧々諤々の論争があってひと筋縄では行かないのですが......」と苦笑しながら、柳は解説を進める。
「大きくはふたつに分かれ、長細いフルート型と、平たいクープ(カップ)型です。歴史的にはフルート型のほうが古いとされますが、それはローマ時代、ガラス製ではなく動物のツノを加工した酒器の話で、まだこの時代に泡の湧き出るシャンパーニュは生まれていません。長細いフルート型の利点は、泡立ちがもっとも美しく見えること、開口部が狭く一度に口に含む量が少なくすむので、ゲップが出にくいことです」
解説の最中、バーのスタッフによってグラスに黄金色をしたシャンパーニュが注がれていく。
「クープ型は『フランス王妃マリー・アントワネットの胸の形を模した』という俗説が有名ですが、17世紀にはヴェニスのガラス工房で作られていたようです。18世紀の人物であるマリー・アントワネット説が広まった背景には、クープ型が夜会などの宴会用として好都合な点が挙げられます。フルート型はすぐ泡があふれてくるので、一杯注ぐのに時間がかかります。一方、カップ型は泡切れが早いので一度にたくさんのグラスにシャンパーニュを注ぐことが可能です。もうひとつ、イブニングドレスに身を包んだ女性がフルートグラスを使うとどうしても脇の下が露わになってしまう。クープ型なら傾ける角度が小さくなるのでその心配がありません」
最近ではレストランやシャンパーニュメゾンでのテイスティングにも、白ワイン用グラスのようにボウル部分にボリュームをもたせたフルート型、もしくは白ワイン用グラスをそのまま代用するケースも増えてきた。
「シャンパーニュをよりシリアスなワインと捉え、液体の持つ複雑な香りや味わいをしっかりと楽しもうという流れがあると思います」
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3種類のシャンパーニュグラスで、テタンジェを飲み比べてみると!
注がれたシャンパーニュはテタンジェ。テタンジェは白ブドウを基調としたエレガントなスタイルのシャンパーニュを得意とするランスに拠点を置くメゾン。今回提供したのは特級畑(グラン・クリュ)のシャルドネ、ピノ・ノワールのいちばん絞り果汁を50%ずつアッサンブラージュ(ブレンド)した「プレリュード・グラン・クリュ」。最低5年の瓶内熟成を施した香ばしさ、厚み、まろやかさを併せ持つシャンパーニュだ。
「『ベガ シャンパンフルート』の魅力はなんといっても泡立ちの美しさです。まっすぐに立ち上る泡は、シャンパーニュを飲むという祝祭感を感じさせてくれますよね」と福田。ステム(持ち手)の形状が連星のように見えることからこの名が付けられたというが、この突起のおかげで持ちやすく、重さを感じないという機能美にもなっている。「口に直線的にシャンパーニュが流れ込むため、フレッシュな酸味を感じやすいと思います」と柳。
「さすが『オノロジー(醸造学)』というだけありますね」と柳が驚いたのは2番目に注がれた、今回の中ではいちばん小ぶりなグラスだ。白ワイングラス的で実に香りが取りやすそうな形状だが、ここにもバカラの職人技が宿っている、と福田は語る。
「グラスとステムを繋ぎ合わせることなく一緒に成形する、『引き脚』と呼ばれる技法で造られています。さらに泡立ちを美しく持続させるため、ボウル内部の細い窪みにはスポットが刻まれていて、ここからシャンパーニュの泡がずっと湧き出すんです。営業中、1時間ほどお話に夢中になられていたお客様のグラスからまだ泡が出ていたこともありました」
ひと際目立つのが、今回の中では最も大ぶりなパッション シャンパングラスだ。ブルゴーニュで生まれ育ち、現在はブルゴーニュからカリフォルニアにかけて情熱的なワイン造りを行う醸造家、ジャン=シャルル・ボワセがデザイン。「以前取材した時、とても目立つ赤いジャケットを着ていました。彼らしい華やかなグラスですね」と笑う柳だが、その形状にも興味は尽きない。
「液面から飲み口までの距離があるので、かなりシャンパーニュの香りの要素がわかりやすいですね。そしてスワリングもしやすい。グラスを回して液体を壁面に纏わせることですが、これによってシャンパーニュに隠れているニュアンスが立ち昇ってきます。飲む時には自然に鼻がグラスの飲み口に入るようにもなっているので、より香りを取りやすくなるでしょう」
ワイングラスによって全く違うシャンパーニュになるわけではないが、香りの要素の違いはかなり際立つ。泡立ちの多寡によっても、香りの立ち方が異なるのだと柳は言う。鼻腔と口は繋がっているため、香りの変化でワインの雰囲気はかなり変わる。参加者全員が、その違いに驚いているようだった。泡立ちの様子を動画で撮影する人もいれば、グラスを光に翳してうっとりと見つめる参加者も見受けられた。
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美しいグラスが彩る、幸せなひと時。
職人による手作業で生まれるバカラのグラスは、見た目はもちろん、機能面においても優れていると福田は語る。
「よく『バカラのグラスって重くて厚いんですよね』とお声をいただくことがあります。一見重そうに見えるものでも、ボウル部分と底面のディスクのバランスが考え抜かれており、実際に手にしてみると重量感のギャップがあるかと思います。そしてどの形状のグラスがいい、悪いというわけではありません。香りが取りやすいもの、泡立ちが美しいもの、カッティングが綺麗なもの......。B barでは4、5種類くらいのグラスを解説しながらお見せして、お客様に選んでいただくことも多いです」
その言葉を象徴するかのように、会場で「今日いちばん気に入ったグラスは?」という質問をすると、それぞれのシャンパーニュグラスにファンがいることがわかった。美しいグラスの形状にはそれぞれの秘密がある。シャンパーニュに隠された味わいを探ってグラスを傾け、会話に花が咲く。バーカウンターの上に煌めくグラスが、参加者の笑顔を鮮やかに彩っていた。
B bar Marunouchi
東京都千代田区丸の内3-3-1 新東京ビルB1F
03-5223-8871
営)16:00〜02:00
休)日・祝 ※営業時間は時期によって変更の場合があります。
年末年始の営業日は以下のURLをチェックしてください。
https://stores.baccarat.com/jp/b-bar-marunouchi
photograhy: Aya Kawachi






