ラデュレのチョコレートLes Marquis(レ・マルキ)のブティックパリ1区、カスティリヨーヌ通り14番地にオープン
Gourmet 2012.12.26
大村真理子の今週のPARIS
チュイルリー公園とヴァンドーム広場を結ぶ、回廊タイプのとてもシックなカスティリヨーヌ通り。 この14番地にレ・マルキ・ドゥ・ラデュレが12月19日にオープンした。ウィンドーに飾られた愛らしいボックスやチョコレートのクリスマスツリーごしに、明るい店内がのぞける。ヴェネチアン・グラスの壮麗なシャンデリアに照らされた横長の白い空間は、輝けるワンダーランドといった様相。通りがかりこのブティックに眼をとめた人々は、催眠術にかけられたかのように、巨大な羽根をつけた重いドアをものともせず、店内にふらふらと吸い込まれてゆく。

レ・マルキというのは侯爵たちのこと。教養豊かで、装いもエレガントな18世紀の侯爵様たちが21世紀に表敬訪問にやってきた、という架空のストーリーが、このチョコレートブランドの裏に隠されている。というわけで、楕円のメダルに刻まれた侯爵様の横顔が店内の壁にはもちろん、パッケージングにも、さらにチョコレートにも! ラデュレが提案する魅惑的な味覚の冒険。 かつて王侯貴族たちが邸宅を構え、この物語の舞台に相応しいカスティリヨーヌ通りから、まずはスタートというわけだ。

チョコレート、チョコレート味のマカロン、チョコレート・ケーキ、チョコレート・ジャム、チョコレート・ティーなどが、眩い店内を埋め尽くしている。誘われて、ブティック内に入ったはいいけれど、あまりの種類の豊かさに、何を選んだらいいのか......。パッケージングの色も形もいろいろあって、決断に時間がかかりそう。楽しい"困った"が待っているブティックである。

チョコレートのボンボンはどれも1個から購入できる。100グラムで11.10ユーロ。既存のラデュレ・ブティックの住所を名前にした、75 Champs Elysées, 16 Royalに続き、レ・マルキの住所をつけて登場した14 Castiglioneは、軽いフルーツ風味に加え、カリッというヌガチーヌ片がくせになるボンボンだ。
つなげてブレスレットにしたくなるようなボンボンは、薄い楕円のレ・マルキ(侯爵)とレ・マルキーズ(侯爵夫人)。男女の横顔が浮き彫りしたカメオで、ブラックとミルクチョコレートがあり、それぞれに味が異なる。例えば、レ・マルキのブラックはラム風味、レ・マルキーズのミルクはヴァイレット風味というように。

(中)カカオのパーセンテージでパッケージの色が異なる板チョコ。大(8ユーロ)と小(5ユーロ)あり。
(右)リボンの色選びすら迷いそう。
ボンボンの種類はここですべて説明できないほど、数限りなく。トリュフ、オレンジピール、マンディアンはいわずもがなだが、レザンコンパラーブル(比類なきチョコレート)とまで名付けている自慢のボンボン6種も試してみないわけには、ゆかないのでは!? 英仏語で書かれた写真つきのミニ説明書2冊(グリーンがチョコレート、ピンクがケーキとマカロン)を入手し、近くのカフェでじっくり検討してから、いざ買物へ!というのでもいいだろう。マカロンだって、柚子チョコレートやパッション・フルーツ・ホワイト・チョコレートといったレ・マルキならではの味もあるのだし......。

(右)レ・コンパラーブル12個詰めの丸いボックス(21ユーロ)
ブティックの奥のテーブルはチョコレートのアトリエ。若きシェフ・パティシエのヴァンサンが、ここのテーブルでお菓子を完成させる姿を見かけることができるかもしれない。エクレア、ボストーク, ルリジューズ、サン・トノレ、サヴァランなどがチョコレート味で入手できるのは、レ・マルキならではの歓びといえる。
もともと興奮作用のあるチョコレートだが、レ・マルキ・ドゥ・ラデュレは味、愛らしさ、美しさなどあいまって、興奮を倍増させる魔力があるので、ご用心を!

14, rue de Castiglione
75001 Paris
tel:01 42 60 86 92
営)10時~19時
休)日曜(2012年12月30日は営業)