洗濯のプロとマニアに聞く、センスの良い洗い方<前編> 意外と知らない⁉ ホームランドリーのQ&A

Interiors 2019.02.06

洋服の洗い方を間違えてサイズや色が変わったり、気が付かずに付いた古いシミが取れなくなったり、洗濯が原因でお気に入りの服を手放すことになった人はいませんか? 洗濯の方法を見直して、愛する服を長く美しく保ちたい。そんなあなたに、正しい洗濯の方法をご紹介。

今回、洗濯のプロフェッショナルとマニアに、正しいホームランドリーについて前編と後編に分けて、10の質問!
プロフェッショナルには、今春話題の新洗剤「アタックZERO」の発売を控える、業界のトップランナー、花王のプレス河野千絵さんと、ベルリンと東京に実在するカフェ&コインランドリーのフレディ・レック・ウォッシュサロンの松延友記さん。そして、数々のモード誌や、広告などで幅広く活躍するスタイリストふくしまアヤさんには洗濯マニアとして回答いただきました。ふくしまアヤさんは学生時代から毎日手洗いを実践、その経験値からくる洗濯の流儀は、マニアと言って過言ではないほど。
経験と理論に基づいた、3名のセンスのよい洗い方を学びます。

Question.01 手洗いと洗濯機洗い、その見分け方は?

Answer.01

花王 河野千絵さん(以下K):「手洗い表記があるものが目安ですが、ほかにもビジューが付いていたり、ボタンや装飾品が特殊なものなどは、洗濯機内で絡まったり傷ついたりという可能性もあるので、手洗いがおすすめです。個人的には、うまく洗えば手洗いに勝るものはないと思っています」

ふくしまアヤさん(以下F:):「以前お気に入りだったステラ マッカートニーのキュプラ、レーヨンのドレスを手洗いし、風合いが変化したことがトラウマに。それ以後同様の素材は、洗濯表記が何であろうと問答無用にクリーニングに出しています。ちなみに、伸縮や摩擦に強いもの以外は、すべて手洗いという判断です」

フレディ・レック・ウォッシュサロン 松延友記さん(以下M):「衣類に付いている取扱い表示(洗濯表示)の確認はもちろんですが、そもそも手洗いのメリットを知ることも大事ですよ。たとえば、水道光熱費の節約、型崩れがしにくいなど。洗濯機洗いが可能でも、長く着たいアイテムは、汚れ落ちの状態を確認できる観点からも手洗いをおすすめします」

Question.02 そもそも基本の手洗いの方法って?

Answer.02

M:「手洗いの基本は『押し洗い』です。衣類に洗浄液を浸透させるように、『沈めて⇒浮かせて』をリピートします。その後、漬け置き洗いや汚れの状態によっては、つまみ洗いやもみ洗い、ブラシ洗いなどを行い、しっかりとすすいで、タオルドライや洗濯機で脱水。型崩れしづらい平干しや通常の吊り干しで乾燥させます。たとえば、ニットでしたら動画のような洗い方です」

フレディ・レック・ウォッシュサロン「HOW TO LAUNDRY」より。

F:「私はいつもお風呂に入る時に大きめのバケツにお湯を張り、洗剤を適量入れて漬け置きします。ニットなどは少し低温にします。汚れのある箇所だけもみ洗いをして、後は軽く押し洗いのみ。水がきれいになるまで数回すすぎます。また、脱水は洗濯機を使いますが、ここで遠心力を考慮して服が伸びないように向きを揃えて入れることが大事。干し方も重力のかかり方を気にします」

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Question.03 粉末、ジェル、液体など洗剤の形状の使い分けは?

Answer.03

K:「現在の洗剤は、どの形状を使ってもしっかり汚れが落とせるように設計されています。剤型で使い分けるというよりも、白く仕上げるための蛍光増白剤が入っているもの、生成りやパステルカラーの衣類に適した無蛍光のもの、また漂白成分や柔軟成分が入っているものなど、衣類の種類や汚れに合わせて使い分けるのがよいと思いますよ。こうした洗剤の特徴を知って使い分ければ、洗いあがりも断然違ってきます」

M:「家庭洗濯では粉末・液体・中性(おしゃれ着)洗剤の3つを使い分けるのがベストです。粉末洗剤には漂白剤などを含んでいるものが多く、液体より洗浄力が高いものが多いです。汚れやにおいが気になるものをしっかりと洗いたい時には粉末洗剤がおすすめです。液体洗剤は、量を適量より多く入れても洗浄力は変わりません。むしろ、低下することもあります。通常使いには液体洗剤を。ジェルボールであれば、常に適量を守ることも可能ですね。そして優しく洗いたいものは中性洗剤を使用してください。ライフスタイルに合わせて、デニムやスニーカーなどアイテム別の専用洗剤を使うのもおすすめです」

 

Question.04 洗剤の消費期限の見極め方は?

Answer.04

F:「これはプロの意見をぜひ聞きたい! 魅力的な洗剤がたくさんあり、使い切れないまま新しいものを開けてしまうこともあって……」

M:「法律では、適切な保存状態のもとで3年を超えても正常で品質が安定しているものは使用期限を書かなくてよいとありますが、開封後はなるべく早く(長くても1年以内)使い切るようにしましょう。品質が劣化すると、洗浄力が落ちることもありますし、洗剤が水に溶けにくくなり、衣類などに残留し、肌荒れやかぶれなどの原因になることもあります」

K:「製造から3年間は品質を保つように設計されていますが、開封後はなるべく早く使い切ることを推奨しています」

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Question.05 シミが付いたらやるべきことは?

Answer.05

M:「シミが付いた場合は、その“すぐ後の処置”が重要です。水洗いが可能な場合は、食器用中性洗剤をぬるま湯で溶いて泡立てながら塗布して、裏側にトントンたたき出し、すすぎます。油性であれば、クレンジングオイルでも可能ですが、なるべく早くクリーニングに出し、何の汚れかを伝えてください」

K:「そうですね、早めの応急処置が大切です。とくに外出先だと、あわててこすってしまいがちですが、これは禁物。醤油やコーヒー、ジュースなどの水溶性のシミなら、水を含ませたティッシュでシミを軽く濡らした後、乾いたティッシュでシミを抑えて移しとるようにします。パスタのソースやドレッシング、口紅など油性のシミの場合は、石けんや洗剤(ハンドソープでもOK)を含ませたティッシュなどでシミをおさえなじませた後、水を含ませたティッシュでおさえ、最後は乾いたティッシュで水分をオフしておくと帰宅後のケアが楽になりますよ」

F:「赤ワインをこぼしたら、塩を盛ってすぐに吸い取らせる、というのはやっています。薬剤を持っていない時は、水性系の食品ならばすぐに濡らしたティッシュなどでたたいて、早期の段階でなるべく汚れが薄まるまで拭き取るようにしています」

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▶▶▶後編へ続きます。

 

illustration : LEMONY LEMONADE

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