洗濯のプロとマニアに聞く、センスの良い洗い方<後編> 自宅洗いがラクになる、10の質問で洗濯力をアップ。
Interiors 2019.02.06
大切な服を長く美しく保つため、洗濯の失敗を無くしたい。洗濯が原因でお気に入りの服を手放すなんてもってのほか。
センスよく洗う正しいホームランドリーのテクニックを、10の質問をもとに洗濯のプロフェッショナルとマニアにレクチャーしてもらうこの企画。
前編では、洗濯の基本を中心とした解説、後編では洗いにくいアイテムのお手入れ方法などをご紹介。
Question.06 こんなものもOK。意外な洗濯機の使い方は?
Answer.06
F:「洗濯機は脱水に着目して活用しています。たとえばスニーカーを手洗いした後に、洗濯機の中でソールを中心に向けて置き、脱水をさせると、短時間で中まで乾いたり、枕やダウンジャケットを手洗いした後、洗濯機で脱水してから中の羽根に空気を送り込むように散らばせながら干すと、ダウンは元どおりのふんわり感が戻ります。逆に、洗濯機で脱水をかけないといつまでも中のダウンがくっついたままでカラッと乾かないので、元どおりにならないのです」
K:「手洗いの時、洗いの後に洗濯機の脱水コースを使って中間脱水を行うと、その後のすすぎがとても楽になります。また、縦型洗濯機の場合、ダウンコートなどを洗う桶代わりに洗濯槽を使うこともできます」
(c)IDC/a.collection/amanaimages
Question.07 洗濯NGのアイテムをキレイにするには?
Answer.07
K:「ブラシがかけられるものはしっかりブラッシングをして、目に見えにくい汚れやほこりをできるだけその日のうちに落として蓄積させないこと、繊維や毛流れを整えておくことが重要です。たとえばスパンコールなども乱れがあればそれを整えておくだけでも引きつれなどを防ぎますよ」
M:「装飾品の材質によって洗い方やケアの仕方が異なるので、上手に近くのクリーニング店を利用してください。洋服代金の5%ぐらいがクリーニングやケアの目安です」
F:「たとえば、ドリス ヴァン ノッテンやステラ マッカートニー、エムエスジーエムなどの総ビーズや総スパンコールでできたアイテムは手洗いをしています。普通の手洗いとほとんど変わりませんが、お湯ではなく水を使い、洗剤も少なくするようにしています。羽根などは水鳥の羽根ならば理論的には問題ないはずですが、着色されているものも多いので、目立たない部分で試すか、固く絞ったタオルなどで拭くのにとどめるのが無難そうです」
---fadeinpager---
Question.08 洗濯ネットを使うと汚れが取り切れていない気がします。
Answer.08
K:「洗濯ネットに衣類を詰め込みすぎていませんか? ネットの中で衣類が団子になってしまうと洗濯液がしっかり行き渡らず汚れが落ちにくくなり、すすぎも不十分になってしまいます。」
M:「洗濯ネットを使うメリットは、生地を守ることと型崩れを防ぐことです。まず、デリケートな素材や型崩れさせたくないものは洗濯ネットを使うようにしましょう。洗浄力が落ちるので、汚れが気になる場合にはあらかじめ手洗いも。洗濯物の大きさに適したサイズの洗濯ネットに、きちんと畳んで入れることが大事です。詰めすぎも、少なさすぎるのもNGです」
F:「洗濯ネットを使用する時は、いちばん汚れの落としたい部分を外側にして折り畳み、ネットに対して少し余裕をもって入れるようにしています」
Question.09 カーペットやラグを自宅で手軽に洗うには?
Answer.09
F:「洗濯できないカーペットには、ペット用の細い針のようなブラシでブラッシングすると、掃除機で取り切れない髪の毛や毛玉、ペットの毛など汚れがよくかき出せるんです。その後に、緩めに絞った雑巾で何度も水拭きをすると、臭いや汚れも取れて、とってもきれいになります。お湯で拭くのも効果的だと思います」
K:「家庭洗濯がOKな場合、洗濯機を使ったり、大きいタイプは風呂のバスタブを使っても。ちなみに『クイックル 布・カーペット ウエットぶきシート』なら、洗えない布製品や洗うのが大変なカーペットをさっぱり清潔にできるのでおすすめです」
M:「洗濯機洗いが可能であれば、近くの大型洗濯機のあるコインランドリーへ行くのもひとつの手段です。ダニは高温に弱いので、コインランドリーのガス乾燥機であればほぼ100%死滅させることができて、衛生的です。洗濯機洗いができない場合には、重曹を薄く振りかけ、2,3時間置いてから掃除機で吸い取ります。重曹にはほこりや皮脂を吸い付ける働きがあるんです」
---fadeinpager---
Question.10 ランジェリーやバスタオルなど、実は着るたびに洗わなくてもOKのものは?
Answer.10
K:「それぞれのライフスタイルにもよりますが、バスタオルやTシャツ、ランジェリーなどは直接肌に触れている部分が多く、身体から出る皮脂や汗などで見えない汚れも多いです。汚れは蓄積するほどに落としにくく、黄ばみの原因にもなりえますので、汚れの度合いと総合的に判断されるとよいかもしれません。痛みの観点では、洗ってあげたほうが衣類の繊維の乱れを整えてくれる洗剤もありますから、うまく活用するのもひとつの手段です。」
F:「私の場合、服への愛と環境保護、清潔問題と総合的に加味するので、一概には言えないですが、たとえば毎日洗うことが難しい布団カバーなどは、敷布団と分離してラックにかけて湿度を飛ばしたりと清潔感を保つようにしています。実はオールシーズン、インナーにタートルネックを使用して、服が傷まないようにしているので、メインアイテムを洗う頻度は少ないです。徹底してインナーに気を配ることで、アウターの襟汚れも防げるんです」
(c)SOURCENEXT CORPORATION/amanaimages
河野千絵
花王プレス。業界トップシェアを誇る「アタック」や「エマール」など、ファブリックケア製品のPRを手がける。「洋服好きこそ、衣類ケアを怠るなかれ」がモットー。
スタイリスト。美大を卒業後デザイナーに、その後スタイリストへと転身。現在は数々のモード誌や広告を中心に活躍。「最近のマイブームな洗濯洗剤は、THE LAUNDRESSのFARBRIC CONDITIONERのBABYという香り。幸せな気持ちになるその香りを纏いたくて、まだ洗う必要のないニットやアウターも片っ端から手洗しています」
フレディ・レック・ウォッシュサロンPR。ベルリンとトーキョーに実在するカフェ&コインランドリーのPRを担当。「暖冬の影響で、今年の春服は出番が早そう、ワードローブの春服を洗濯やクリーニングで早めにきれいにしておきましょう。『愛着服はすべて手洗い』これが私のこだわりです」
illustration : LEMONY LEMONADE