京都・西陣織の細尾が、初の旗艦店をオープン。
Interiors 2019.09.18
創業を1688年(元禄年間)にさかのぼる西陣織の老舗、細尾。伝統的な技術で紡がれるテキスタイルは、ラグジュアリーブランドの店舗内装や国内ブランドの素材として用いられるなど、国やジャンルを超えて注目されている。そのオリジナルのテキスタイルブランド「ホソオ」のコレクションを展開する初の旗艦店が、9月2日、本社ビル内に誕生した。
通常30〜32cmである帯の幅で織られてきた西陣織を、独自に開発した織機によって150cmの広幅で織ることを可能にした「ホソオ」。究極のクラフツマンシップが自宅で楽しめるホームコレクションは、クッション¥35,640、ポーチ ハーフムーン¥22,680、ルームシューズ¥75,600など。
黒漆喰の外壁と4色の土壁に覆われた「ホソオフラッグシップストア」。中に入るとまず正面には、西陣織のテキスタイルを使ったクッションやポーチなどのホームコレクションが美しく並ぶ棚。そしてフロア右手の回廊には、オーダーカーテンやソファ用のテキスタイル約100点が展示されている。
1階窓際には、「ホソオ」のテキスタイルコレクションを展示。立体的で複雑な織が特徴の西陣織は、見る角度や光の具合で異なる紋様が浮かび上がる。
併設の「ホソオラウンジ」には、「ホソオ」のファニチャーを配置し、「開化堂」のアフタヌーンティー缶、「朝日焼」の抹茶碗、「ポンテ」のグラスなど、京都を代表する伝統工芸の器で、選りすぐりのドリンクやスイーツが提供される。
西陣織のテキスタイルを使ったソファやチェアーで寛げる「ホソオ ラウンジ」。コーヒーや紅茶、抹茶のほか、ルイナールのグラスシャンパンもいただける。
オリジナルのマカロンとショコラは、京都の人気パティスリー「グラン ヴァニーユ」と共同開発したもの。季節ごとに色と味わいが変わる「かさね色目のマカロン」は、平安時代に公家文化から生まれた女性の着物の配色美がテーマ。左より、初紅葉(すだち)、青紅葉(和栗)、紅葉(さつまいも)各¥432。持ち帰り可能なので、手土産にも。
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2階は、織物を介して、日本の歴史や文化を発信する展覧会を年に2〜3回不定期に開催する「ホソオギャラリー」。現在は、『ザ ストーリー オブ ジャパニーズ テキスタイル-日本の美しい布-』展を開催中。
2階のギャラリーで開催中の展覧会(〜12/14)では、12代目細尾真孝が、日本各地の染織産地を訪ね歩いた越後上布や黄八丈、大島紬などの反物とそれにまつわる道具や素材が一堂に会し、多種多様な布の物語に引き込まれる。
織屋のほか、問屋としての側面を持ち、日本全国のきものや帯を取り扱う細尾。一般客は入れないが、3階ショールームには、人間国宝作家の希少な作品をはじめ、北海道から沖縄まで厳選されたきものや帯が、約7000点揃う。
「ストアへは国内外から、日本の文化や伝統工芸に興味のある方々に訪れていただきたいし、また、いままで興味がなかった方々にも興味を持っていただくきっかけになればと思っています」と12代目の細尾真孝。西陣織をはじめとする日本の染織文化に触れながら、伝統工芸を世界に向けて発信するプラットフォームで、未来に向けた京都の新しいパワーを感じたい。
漆喰に炭を混ぜた黒漆喰の外壁、京都近郊の4か所の土を使って、古来の技術である版築で4層のグラデーションに仕上げた土壁が、オフィス街で異彩を放つ。設計を担当したのは12代目の実弟、細尾直久率いる「ホソオ アーキテクチャー」、左官仕事は京都・宇治の「さくあん」が手がけた。
Hosoo Flagship Store
京都市中京区姉小路下ル柿本町412
tel:075-221-8888
営)10時30分〜18時
休)日、祝、年末年始
www.hosoo.co.jp
※この記事に掲載している商品・サービスの価格は、2019年9月時点の8%の消費税を含んだ価格です。
texte:NATSUKO KONAGAYA