心地よく暮らすための小さな美の見つけ方 どこまでもフレンチシックに、気分で壁色から変えて。
Interiors 2021.09.09
洋館のような佇まいの木造一軒家。門をくぐれば異国のガーデンが広がり、その景色を切り取ったかのような壁紙が、リビングを鮮やかに彩っている。真鍮の取っ手、ボルドーのカーテン、テーブルに並ぶブロカントの絵皿。
フランス人の刺繍デザイナー増井ジェラルディンの住まいは、どこまでもフレンチシック。6年前、家族の移住に合わせて日本人の夫とともに建てた家には、家具だけでなくフランスの建材も随所に使用した。
インテリアへの思い入れは強く、季節や気分で壁色から部屋をガラリと変えてしまうほど。「私にとってインテリアはファッションと同じなんです」と、自らペイントを施し、家族の目を丸くさせる。
いまの気分は黒。大好きだというフランス映画やイギリス映画の断片からアイデアを集めて、独自のセンスを加えていく。窓から入る木漏れ日が、壁、テーブルクロス、椅子の多様な黒色に美しい濃淡を描き出す。光の届かない部屋の片隅やキッチンカウンターには、小さなキャンドルがいくつも灯されて、彼女の過ごす日常は、どこまでもコージーで温かい。
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1. 壁紙はシックに
自分で黒にペイントしたという壁色に合わせ、つい最近、ウィリアム・モリスの壁紙に変えたばかり。ゴールデン・リリーと名付けられたクラシカルな絵柄が気品ある空間を演出。質感の異なる黒を組み合わせて。
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2. ブロカントを日常に
フランス人にとってブロカントとは、名もなき骨董品。高価なアンティークと違って気兼ねなく日常使いできるものだから、カジュアルなティータイムにも大活躍。フランスから持ち込んだデコラティブな平皿、友人から購入したクラシカルな絵皿などを自由に組み合わせるのが、ジェラルディン流。
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3. 壁を惜しみなく飾る
使うには惜しいくらいに愛らしいアスティエ・ド・ヴィラットの皿や、壁掛けの小さな本棚、自身の刺繍コレクションにアートまで。気分で塗り変えた壁色に合わせて、ウォールデコレーションも一新。映画『アメリ』の美術を担当したミヒャエル・ゾーヴァの絵画も。
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4. 手仕事をインテリアに
自身の手刺繍の作品を小さな隙間にデコレーションしたり(上)、雑誌の切り抜きに文字を書き込んだものや、手書きのレシピをキャビネットに張り付けたり(下)。
いまハマっているカリグラフィも、木のデスクに広げた道具とともに、そのままで温かみあるインテリアのひとつに変身。
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5. 小さな灯りで暮らす
大きなシャンデリアや蛍光灯は一切使用せず、照明に使われるのは小さなペンダントライトと、LEDのイルミネーション、そしてキャンドル。小さな暖色系の灯りがそこここにさりげなく灯り、部屋全体がノスタルジックに演出されている。キャンドルのカラーもインテリアのテーマに合わせて、チョイスされる。
*「フィガロジャポン」2021年9月号より抜粋
photography: Akemi Kurosaka (Stuh) text: Miki Suka